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スミウキゴリ(Gymnogobius petschiliensis)の分類 ハゼ科(Gobiidae)
スミウキゴリ(Gymnogobius petschiliensis)の概要 Gymnogobius

スミウキゴリ(Gymnogobius petschiliensis)

絶滅の恐れのある地域個体群 (LP)

【環境省】地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

【 学名 】
Gymnogobius petschiliensis (Rendahl, 1924)

基本情報

大きさ・重さ

全長:10 cm程度

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

分布

北海道日高地方~渡島半島、青森県~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海沿岸、青森県~屋久島・種子島の太平洋沿岸、朝鮮半島南岸・東岸までの河川に分布する。これまでのところ、湖からは記録されていない。

国外では朝鮮半島南岸・東岸、済州島、中国河北省、浙江省に分布する。

ウキゴリより温暖な地域に多い。

参考文献

  • 原田慈雄 2018 スミウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ゴリ(日本各地:混称)

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズキ目 ハゼ科 ウキゴリ属

参考文献

  • 原田慈雄 2018 スミウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

口が大きく、腹鰭は吸盤状をしている。頭部は扁平する。

第1背鰭の後端部に黒色斑を欠く。ただし、産卵期の雌は第1背鰭の膜の上方約3分の1が黒くなり、産卵後も薄黒く残る場合がある。

体側には7~8本の横帯があるが、肛門から後方の3~4本の横帯以外は明瞭ではない。側線上に黒色の縦列斑はない。

婚姻色は雌雄ともにあらわれ、腹鰭と尻鰭がやや黒ずむ。鰓膜の黒化はあまり認められない。雌では腹側部が橙黄色を呈し、泌尿生殖孔前方の腹部は黒くなる。雄では第1背鰭の上方約3分の1が淡黄色を呈し、鰭膜の後端部が薄黒くなる。

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

稚魚・仔魚・幼魚の形質

孵化仔魚の平均全長は 4.92 mmと、ウキゴリの 5.72 mmやシマウキゴリの 5.44 mmと比べて小さい。

孵化仔魚の発育状態は3種間でほとんど差はなく、いずれも口と肛門が開き、腹部に卵黄嚢をつけている。

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

卵の形質

スミウキゴリの体内熟卵は径が 0.81~1.01 mmで、ウキゴリの 1.00~1.17 mmや、シマウキゴリの 0.90~1.11 mmに比べて小さい。

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

ウキゴリ、シマウキゴリ

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

生態

生息環境

主に河川の汽水域から下流域に生息する。

ウキゴリと同じ水系にいる場合、本種はより下流側に生息するか、異なる支流に分かれて生息している。

流れの緩やかな下流域が発達する木曽三川ではウキゴリが優占し、本種は少ない。その一方で、静岡県のように河川が中流域の景観のまま海に注ぐような地域では、ウキゴリはほとんど生息せず、スミウキゴリが多く見られる。

参考文献

  • 原田慈雄 2018 スミウキゴリ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 402.
  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

産卵

産卵期は対馬・九州北部では12~3月、北海道では5~6月である。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

その他生態

川を流下中の仔魚の消化管を調べてみると、外部の餌は全く認められない。このことから、生存に必要なエネルギーはもっぱら自身の卵黄に依存しているものと考えられる。限られた量の卵黄に依存する孵化仔魚は、流下距離が長くなればなるほど、河川内に停留する時間が長くなり、飢餓にさらされる危険性が高まるであろう。

スミウキゴリの卵や仔魚が、ウキゴリやシマウキゴリに比べて小型であるのは、スミウキゴリがほかの2種に比べて下流で産卵するからであり、逆にほかの2種の卵や仔魚が大型であるのは、河川流下期間中の飢餓に対する耐性を高める適応的な意味を持つのかもしれない。

参考文献

  • 石野健吾 1989 スミウキゴリ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 622-623.

最終更新日:2020-09-07 ハリリセンボン

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