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アブラボテ(Tanakia limbata)の分類 Cyprinidae
アブラボテ(Tanakia limbata)の概要 Tanakia

アブラボテ(Tanakia limbata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

準絶滅危惧種 (NT)

【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Tanakia limbata (Temminck & Schlegel, 1846)

基本情報

大きさ・重さ

全長 4~7 cm程度。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

分布

濃尾平野以西の本州、淡路島、四国の瀬戸内海側、九州北部、壱岐島、五島列島福江島に分布する。

日本海側では京都府由良川水系と島根県江川水系に不連続に分布するが、これは分水界を接する河川の流路変更によって、瀬戸内海側から進入した結果であると推定されている。

国外では朝鮮半島にも分布する。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ボテ(琵琶湖:混称)、クソベンチョコ(福岡県柳川市)、シュブタ(筑後川:混称)

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 アブラボテ属

参考文献

  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

人間との関係

岐阜市の一部の水路では、九州産のアブラボテが放流され、遺伝的攪乱が進んでいる。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体高は比較的高く、側扁する。側線は完全で、1対の明瞭な口ひげを持つ。肩部と体側の縦条はない。体は雌雄ともに褐色で、幼魚のときから黒ずんでおり、他種との識別は容易である。

産卵期の雄は体側が暗黄緑褐色で、いわば重油色を帯びる。腹中線は黒色。背鰭と尻鰭に黄橙色の暗色縦条があり、縁辺は黒色に縁どられる。吻端の追星は左右が癒合して1個のこぶ状をなす。雌の産卵管は黒色で、伸長したときは尾びれ末端付近に達する。

染色体数は2n=48である。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

稚魚・仔魚・幼魚の形質

稚魚はヤリタナゴの稚魚に似るが、体に黒色素胞が密に分布し、体高がやや高い。

初期仔魚の体表はヤリタナゴと同じく、体の後方に向かう角状の微小突起で覆われる。卵および仔魚の形態はヤリタナゴに極めて似ており、識別が難しいが、後期仔魚になるとアブラボテの体表の色素は微小で多く、体が黒ずんでくることにより識別できる。

幼魚の体色は銀色だが、鰭がやや褐色を帯びる。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

生態

生息環境

河川中~下流域、湖周辺の湧水を水源とする平野部の細流、灌漑用水路など、やや流れのあるところを好む。ヤリタナゴより上流側、もしくは小規模な水路に多い。琵琶湖には少ない。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

食性

主にユスリカの幼虫などの底生動物や付着藻類を食べる。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

産卵

産卵期は、福岡県二ツ川で4~8月、岡山県祇園用水で4~6月である。琵琶湖周辺ではドブガイ、ほかの水流ではマツカサガイなどに雄が強いなわばりを持ち、1回の産卵で雌は数粒の紡錘形の卵を産み付ける。産卵母貝はほかにもカタハガイ、ヨコハマシジラガイ、タガイ、イシガイなどがある。

産卵後、貝から泳ぎ出るまでに要する器官や大きさはヤリタナゴとほぼ同じである。

二ツ川で生まれた稚魚は岸辺の抽水植物体の内部に潜んで流下しないのか、稚魚がヤリタナゴのように下流の静水域で群泳することはほとんどない。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

その他生態

寿命は多くは2歳までである。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

関連情報

その他

日本固有だが、朝鮮半島南部に近縁の T. somijinensis が生息する。

6種類のタナゴ類が生息する二ツ川では、さまざまな組み合わせの雑種が見られるが、最も頻繁にあらわれる雑種個体は、本種と他種が交雑して生まれたと思われるものである、一方、朝鮮半島産と日本列島産のアブラボテを正逆交雑して得られた受精卵は胞胚期に発生を停止することが知られており、両者の種の異同については今後検討を要する。

岐阜県レッドリスト準絶滅危惧種、岐阜市レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類、加茂地区レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類。

参考文献

  • 長田芳和 1989 アブラボテ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 356-357.
  • 武内啓明 2018 アブラボテ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 97.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-13 ハリリセンボン

種・分類一覧