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ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)の分類 Cyprinidae
ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)の概要 Gnathopogon

ホンモロコ(Gnathopogon caerulescens)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

絶滅危惧IA類 (CR)

【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

【 学名 】
Gnathopogon caerulescens (Sauvage, 1883)

基本情報

大きさ・重さ

全長:14 cm

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

分布

琵琶湖の固有種。内湖や瀬田川にも分布するが、琵琶湖流入河川ではまれである。山梨県の山中湖や河口湖のほか、東京都の奥多摩湖や岡山県の湯原湖のようなダム湖へも移植され繁殖している。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ホンモロコ・ヤナギモロコ(関西)、モロコ(関西:ほかのモロコ類と混称)

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 モロコ亜科 タモロコ属

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.
  • 川瀬成吾 2018 ホンモロコ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 102-103.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

人間との関係

琵琶湖を代表する魚の1つだが、1990年に入ってから水位操作による産着卵の干出、産卵場の減少、外来種による捕食などが原因で激減している。

参考文献

  • 川瀬成吾 2018 ホンモロコ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 102-103.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

タモロコに似るが、本種の方が大型になり、体が細長く吻がとがる。また、口が上を向き、口ひげが短いなどといった遊泳魚としての体制をいっそうよく備える。さらに、側線より下の縞模様が不明瞭な点でも識別される。

体は銀光沢が強く、薄い暗色縦帯が肩部から尾部に向かって延びる。鰓耙数はタモロコより多く、14~20である。

成熟した魚では、タモロコと同様に微細な追星があらわれるが、婚姻色は目立たない。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.
  • 川瀬成吾 2018 ホンモロコ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 102-103.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

卵の形質

卵は粘着力の強い沈性卵で、最大径 1.3~1.6 mm、タモロコの卵よりいくらか大きい。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

生態

生息環境

完全な湖沼型淡水魚で、琵琶湖では主に水深 5 m以深の沖合の中層を群泳している。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

食性

もっぱらプランクトン動物を食べ、産卵のため接岸すると水生昆虫も食べる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

ライフサイクル

仔稚魚の発育や成長は、タモロコの場合と同様であるが、かなり早い発育段階で外湖へ移動する。満1年で全長 7~10 cm、2年で 10~12 cmに成長するが、雄より雌の方が成長がよく、個体数も多い。

全長 7 cm以下の個体の多くは、越冬できずに死亡するといわれ、これが性比に偏りを生じさせているらしい。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

産卵

産卵期は3~7月である。琵琶湖での盛期は4~5月で、タモロコよりやや早い。成熟した親魚は、湖岸のマコモ群落、内湖や灌漑用水路へ移動するが、タモロコほど陸地の奥へ侵入しない。

雨で増水したあとの晴天の日中に、1尾の雌を数尾の雄が追尾して産卵する。産卵場所はヨシやヤナギの根、水草などに産み付けられる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.
  • 川瀬成吾 2018 ホンモロコ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 102-103.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

関連情報

漁獲方法

琵琶湖では周年漁獲され、春先、産卵のため接岸したものは魞や、もんどりの一種であるもろこ筌で、夏から秋の沿岸部のものは地曳網で、越冬群は沖曳と呼ばれる底曳網や、小絲網と呼ばれる刺網で、それぞれ獲られる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

味や食感

味が淡白で肉質がよいうえ骨がやわらかく、日本産コイ科魚類の中で最も美味である。旬は1~3月とされ、特に¨子持ちのモロコ¨がうまい。代表的な料理としては塩焼きや甘露煮がある。関西では高級魚である。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ホンモロコ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. p. 297.

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

その他

琵琶湖固有種のホンモロコは高級食材として日本各地で養殖されているが、2016年に関東地方の養殖ホンモロコを購入してmtDNAを調べたところ、タモロコE1系統のmtDNAを持つ個体が含まれており、タモロコとの雑種が養殖ホンモロコとして流通していると考えられた。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-30 ハリリセンボン

種・分類一覧