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ワタカ(Ischikauia steenackeri)の分類 Cyprinidae
ワタカ(Ischikauia steenackeri)の概要 Ischikauia

ワタカ(Ischikauia steenackeri)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

絶滅危惧IA類 (CR)

【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

【 学名 】
Ischikauia steenackeri (Sauvage, 1883)

基本情報

大きさ・重さ

全長:30 cm程度

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

分布

琵琶湖淀川水系の固有種であるが、関東平野、北陸地方、奈良県、岡山平野、宍道湖、山口県、福岡県遠賀川にも移植され定着している。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

学名の解説

属名 ischikauia は日本動物学界の父ともいうべき石川千代松博士に因んだものである。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ワタコ・セムシ(琵琶湖)、ウマウオ(奈良県)

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 カワヒラ亜科 ワタカ属

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

人間との関係

琵琶湖から移植されたと考えられるが、導入についての詳細は不明である。

化石記録や古文書によると、江戸時代までは奈良盆地と福井県三方湖にも自然分布していたと思われる。近年、琵琶湖では著しく減少している。

原産地の滋賀県では激減して絶滅寸前だが、増殖試験や種苗放流が行われている。茨城県霞ケ浦や九州の河川では、国内外来種として多数生息している。岐阜県ではフナやコイ釣りの外道として釣れることもあるようだが、個体数は少ない。

なれずしに利用されることがあるが、概して不味い。

ワタカ属に近縁の魚の化石は、日本海を取り巻く各地の第3紀中新層から得られている。

ワタカ亜属はワタカのみからなる単型的な亜属で、背鰭の第3棘軟条がやわらかいことが特徴である。中国産の Erythroculter が別の亜属であると考えられる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.
  • 武内啓明 2018 ワタカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 101.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体は細長く側扁する。腹鰭基底から肛門までの腹縁部は竜骨状の隆起縁を形成する。大形の個体では、頭部後方の背縁が盛り上がる。頭は小さく眼は大きい。口は吻端にあり、やや上に向く。

胸鰭・背鰭・尻鰭の前縁部は概して長い。背鰭の第3棘状軟条は柔軟性がある。尾鰭の後縁は鋭く切れ込む。尻鰭は3棘13~15軟条、尾鰭の基底は日本産コイ科のなかで最も長い。

体色は銀白色で、背部は緑青色、体の側線は完全、下方に強く湾曲する。咽頭歯は3列である。

成熟した雄では、顆粒状の追星が頭部、背面、胸鰭にあらわれる。婚姻色は目立たない。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

卵の形質

最大径 1.1~1.3 mmの沈性粘着卵である。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

生態

生息環境

ヨシ場を主な生息場所として、琵琶湖では湖南・湖東部の沿岸や内湖に生息する。河川では下流域の「わんど」や流れのほとんどない水路に多い。幼魚は水深 2~3 mの泥底に生息する。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.
  • 武内啓明 2018 ワタカ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 101.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

食性

水草を主体とする雑食性。幼魚はミジンコ類、水性昆虫、付着藻類も食べる。

参考文献

  • 細谷和海 1989 ワタカ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 286-287.

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

ライフサイクル

産卵期は6~8月である。日本産コイ科魚類の中では最も高い22~25℃の水温で、主として降雨後の夜間に産卵する。受精後3~4日で孵化し、直後の仔魚は全長 4.5~5.0 mm、孵化後4~5日で卵黄を吸収する。満1年で全長 5~10 cm、2年で 15~20 cm、3年で 20~25 cmに成長し、雌雄とも満2年で成熟する。

参考文献

最終更新日:2020-07-17 ハリリセンボン

種・分類一覧