- 解説一覧
- ビワコオオナマズ(Silurus biwaensis)について

基本情報
- 大きさ・重さ
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全長:100 cm(最大 1.3 m)
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 分布
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琵琶湖・淀川水系の固有種で、琵琶湖の沖帯や琵琶湖流出河川の瀬田川・宇治川・淀川に分布する。
まれに琵琶湖から流出する河川で釣れることもある。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 ビワコオオナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 別名・方言名
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地方名:オオナマズ・ハゲナマズ(琵琶湖)
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ナマズ目 ナマズ科 ナマズ属
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 人間との関係
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早春に 15 cm余りの幼魚がヒウオと呼ばれるアユの幼魚とともに魞に入ることがあるが、孵化した仔魚が湖のどこで発育するかなど、生活史についてはほとんど知られていない。
雌の方が雄よりも極端に大型の個体が漁獲され、数年ほど前までは 120 cmを超す個体も見られた。しかし、今では稀にしか見られない。
本種に類似した頭骨の形態をもつナマズ類の化石が、鮮新世初期(約500万年前)の古琵琶湖の堆積物から産出している。琵琶湖固有種の出現の過程をたどる上でも興味深い種である。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
形態
- 成魚の形質
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体形はナマズに似るが、ナマズよりも下顎の突出が著しい。頭部もより縦扁している。また日本産のほかの2種に比べ、頭部が長い。
尾鰭は後縁の中央がわずかに窪み、上葉の方が下葉よりもやや長い。成体では上顎と下顎に1対ずつのひげがあるが、上顎のひげは短く、胸鰭に達しない。下顎のひげも弱々しく、発達が悪い。背部は黒色で金属的な光沢を帯びるが、黒い斑紋があらわれることもある。腹部は純白であり、鋤骨歯帯はつながる。
雄よりも雌の方が顕著に大きくなる。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 ビワコオオナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
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- 卵の形質
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産み出された卵は黄褐色で、外側が透明な厚いゼリー層に覆われており、ゼリー層を含めた径は 3 ㎜を超す。表面の凹凸はナマズ同様著しくない。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
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生態
- 食性
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刺網にかかったゲンゴロウブナやビワマスを襲ったり、湖水の中層にしかけた刺網にかかることから、夜間に湖水沖合を遊泳して、フナやコアユなどを摂餌すると考えられる。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- ライフサイクル
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ほかの日本産ナマズ属2種よりも成長が早く、1歳で 20 cmに達する。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 ビワコオオナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- 産卵
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6月下旬~7月の梅雨明け頃、産卵のために接岸する。梅雨明けの大雨で湖水が増水すると、多数が岸辺のヨシの生えた礫底域に集団で押し寄せ、ダイナミックな産卵行動を繰り広げる。水深 50 cmに満たない浅瀬に乗り上げることもある。ナマズ同様、雄が雌に巻き付いて産卵させる。
産卵は、最盛期には夜10時頃から始まり、空が白み始めるまで続けられる。産卵が始まると、ドボン、バシャ、バシャという大きな水音があちこちで聞こえる。これは産卵後に雌雄が離れるときの音である。
産卵前に雌が大きな白い腹を見せて、岸辺をゆっくり泳ぐこともある。
卵は礫などに付着して発生する。水温22℃では50時間足らずで孵化する。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- その他生態
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雌雄では成長速度に違いが認められず、大型の雌は年齢が高く、10歳を超えるものもいる。
ナマズやイワトコナマズに比べて著しく大型化する要因は、卵発生と成長が速く、さらに寿命が長いことにあると考えられる。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
関連情報
- 味や食感
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肉は白身で体が大きいため肉量も多いが、独特の臭みがあり、商品価値はない。
参考文献
- 小早川みどり 1989 ビワコオオナマズ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 416-418.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン
- その他
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中国の長江から珠江にかけて分布する¨大口鮎¨ S. merideonalis が本種に最も近縁と考えられている。
中国の S. merideonalis は、ビワコオオナマズと同じく 1 mを超える大型のナマズ属魚類で、胸鰭には細かい棘が散在することや、尾鰭の上葉が下葉より長くなることなど、いくつかの共通点がある。
このことから、ビワコオオナマズは琵琶湖で進化した初期固有ではなく、温暖期に日本から中国にかけて広く分布していた祖先種が、琵琶湖・淀川水系に取り残された遺存固有と考えられている。
参考文献
- 川瀬成吾 2018 ビワコオオナマズ, 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 119.
最終更新日:2020-08-17 ハリリセンボン