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イバラトミヨ(Pungitius pungitius)の分類 Gasterosteidae
イバラトミヨ(Pungitius pungitius)の概要 Pungitius

イバラトミヨ(Pungitius pungitius)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

準絶滅危惧種 (NT)

【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Pungitius pungitius (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

全長:5 cm

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

分布

日本海側では新潟県以北、太平洋側では青森県以北に分布する。北海道では、太平洋側の河川を中心に分布している。

国外では、ヨーロッパ、シベリア、北アメリカなどにおり、北極海を取り巻くように分布している。

日本での分布はこうしたイバラトミヨの世界的な分布の南限にあたる。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:トンギョ(北海道:混称)、キタノトミヨ(別名)

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

分類学的位置付け

トゲウオ科 トミヨ属

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

人間との関係

最近、生物体内の酵素の多型を利用して、集団遺伝学的に種の判別や類縁関係を明らかにする試みが、魚類を対象になされている。

形態的辺に富むイバラトミヨはこれまで1種と考えられてきたが、こうした解析により、汽水型、雄物型、淡水型の3つの遺伝的に明瞭に異なる集団からなることがわかった。

その名前の通り、汽水域に生息する汽水型は、北海道東部に分布し、銀白色の体色を持つ。雄は産卵期にも腹部下面しか黒くならないという特徴を持つ。

また雄物型は秋田県雄物川流域の湧水地帯だけに分布する。

淡水型は遺伝的に大きな変異を持つ集団で、分布域も広い。

いずれの型も形態的に区別することは現在のところ難しい。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

背に8~10本の鋸歯状の小さな棘がある。体側胸部と尾柄の2ヵ所に鱗板と呼ばれる大きな鱗が1列に並んでいる。鱗板の数は6~30枚と変異が大きい。

産卵期には雄の体は真っ黒になる。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

卵の形質

卵は直径約 1.3 mmで、粘着性を持ち、お互いにくっつき合っている。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

生態

生息環境

湿原を緩やかに流れる川の中・下流域や、湖沼に生息する冷水性の淡水魚である。特に岸寄りの水草の中に多い。

北海道・青森県を除く地域では、その生息域は湧水地あるいはその流域に限られている。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

食性

小型の甲殻類やユスリカ科幼虫を摂餌している。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

ライフサイクル

卵は7~10日で孵化する。北海道では1年で成熟する。

寿命は約1年半であるが、雌の一部は2年まで生存する。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

産卵

北海道での産卵期は5月上旬~7月下旬である。

雄は川岸の水草の枝などに、植物の繊維と腎臓から出した粘液をからめてゴルフボールくらいの大きさの巣をつくる。雄は雌を巣に誘うため¨ジグザグダンス¨と呼ばれる求愛のための派手なダンスを踊る。求愛を受け入れた雌は雄に導かれて巣に入る。巣に入った雌の尾柄を雄が口で刺激することにより、雌は40~200粒の卵を産み放つ。雄は数尾の雌を巣に誘って産卵させる。

雄は産卵後も巣にとどまり、卵を食べにくる外敵を追い払ったり、卵が窒息しないように胸鰭で新鮮な水を送ったりして卵を保護する。雄による保護は仔魚が巣を離れるまで続く。

参考文献

  • 高田啓介 1989 イバラトミヨ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 445-447.

最終更新日:2021-02-26 ハリリセンボン

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