キュウリウオ(Osmerus mordax)の解説トップに戻る
キュウリウオ(Osmerus mordax)の分類 Osmeridae
キュウリウオ(Osmerus mordax)の概要 Osmerus

キュウリウオ(Osmerus mordax)

【 学名 】
Osmerus mordax (Mitchill, 1814)

基本情報

大きさ・重さ

全長:15~23 cm

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

分布

北海道の太平洋岸と噴火湾およびオホーツク海沿岸に分布する。

国外では、朝鮮半島以北のアジア大陸沿岸から、カムチャッカ、アラスカ、さらにカナダの太平洋および大西洋沿岸に広く分布する。北アメリカ東部では淡水性の系群がふつうに見られる。これら陸封性のキュウリウオは五大湖地方に移植され、漁業的にも成功していいる。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

和名の解説

和名は、粘液中に含まれる芳香族エステル(ノナディナールとノナネール)の発する青臭い匂いに由来する。

参考文献

  • 猿渡敏郎 2018 キュウリウオ(キュウリウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 125.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:キュウリ(北海道)

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

分類学的位置付け

サケ目 キュウリウオ科 キュウリウオ属

参考文献

  • 猿渡敏郎 2018 キュウリウオ(キュウリウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 125.
  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

人間との関係

産卵期には、北海道南部の噴火湾沿いの河川では、夕暮れとともに懐中電灯にたも網とバケツを持った多くの人々が集まり始め、産卵のために遡上してきた親魚を獲っている。夜間国道を走ると懐中電灯の光が美しく、この時期の風物詩となっている。

また、人家の軒先には干したキュウリウオが連なっているのをよく目にする。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

下顎が突出し口は大きく、吻は長い。鋤骨に1対の大きな犬歯があり、舌上(咽舌骨)にも比較的大きな歯がある。側線は不完全であり、縦列鱗数は61~69である。総脊椎骨数は60~68であるが、そのうち腹椎骨数は42~45であることで、32~38のシシャモとは、明瞭に区別しうる。

産卵期の雄は全身に追星が生じ、背側を中心にやや黒い婚姻色を呈する。

参考文献

  • 猿渡敏郎 2018 キュウリウオ(キュウリウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 125.
  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

卵の形質

卵は粘着卵で、卵径はおよそ 1.2~1.5 mmである。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

生態

生息環境

日本のキュウリウオは沿岸域に生息しており、産卵期にのみ河川に入る。

親魚は稚魚よりやや沖合に生息するが、ほぼ沿岸域にとどまっている。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

食性

主に小型甲殻類、多毛類、プランクトン動物などをとるが、小型のイカなども食べるようである。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

ライフサイクル

生後2~3年で成熟し、産卵後死亡する。

孵化直後の仔魚は全長 7.2~7.8 mmほどで、約1週間で吸収し終える卵黄を持っている。孵化後の仔魚は水流に流されながら河口域へ出る。

稚魚は沿岸域で成長し、網走沿岸では1年で体長 5~6 cmになる。体長約 6~8 cmのときにはシシャモの稚魚と外見がよく似ている。これらの稚魚の識別は口をあけて舌上の色素を見ることにより容易に判断できる。シシャモの舌上には地元の漁業関係者から「おはぐろ」と呼ばれる黒色素があるが、キュウリウオにはなく、吻端よりも尖っている。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

産卵

産卵期は噴火湾沿岸で4月~6月上旬、夕暮れどきから遡上し始め、ピーク時には大群をなして遡上し、夜半ごろから産卵を開始する。卵数は、体長 193~207 ㎜のもので4万4200~8万2100粒ほどといわれているが、体長や地域により差がある。

産卵は河川の規模により異なるが、主として河口からおよそ 1 km以上上流の砂礫底で行われる。卵は砂礫にしっかりと付着し、受精後の卵は自然条件下では孵化までに1ヵ月余りを要すると言われているが、孵化実験によれば水温11℃で約19日で孵化する。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

その他生態

キュウリウオ科の魚は、みなキュウリの匂いがするが、その中でもキュウリウオが最もその匂いの強い魚のようである。

参考文献

  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

関連情報

漁獲方法

産卵直前の4~5月に河口周辺に集まるところを小型定置網や刺網で漁獲される。

参考文献

  • 猿渡敏郎 2018 キュウリウオ(キュウリウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 125.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

味や食感

新鮮な魚を2~3日干したものが美味である。フライ、天ぷら、マリネなどで食される。

参考文献

  • 猿渡敏郎 2018 キュウリウオ(キュウリウオ属), 中坊徹次(著) 中坊徹次(監修) 中坊徹次(編) 小学館の図鑑Z, 日本の魚類館. 小学館. p. 125.
  • 柳川弘行 1989 キュウリウオ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 54-55.

最終更新日:2020-08-19 ハリリセンボン

種・分類一覧