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ソウギョ(Ctenopharyngodon idella)の分類 Cyprinidae
ソウギョ(Ctenopharyngodon idella)の概要 Ctenopharyngodon

ソウギョ(Ctenopharyngodon idella)

【 学名 】
Ctenopharyngodon idella (Valenciennes, 1844)

基本情報

大きさ・重さ

全長:50~100 cm

1966年(昭和41)に梅津市森下で約 24 kgのものが採れたとされている(岐阜県高等学校生物教育研究会, 1974)。

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

分布

日本各地に盛んに放流されており、東北地方から九州までの主な河川と湖沼で生息が確認されている。

原産地はアムール川から北ベトナムまでのアジア大陸東部とされている。

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:ソーヒー(別名)

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

分類学的位置付け

コイ目 コイ科 ウグイ亜科 ソウギョ属

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

人間との関係

日本では明治時代以降に移入された外来種である。
水草や川岸の植物を食べるためため、除草を目的として池や沼に放流される。県内の河川や湖沼では繁殖できないが、寿命が長く、大型化するため、生態系への影響は大きい。

京都大覚寺大沢池では、水草を食い尽くしたソウギョが池畔の草や木杭まで食い荒らし、池の景観が崩壊したとされる(真板, 2013)。長良川でも、サツキマス漁の網にかかって破るなどの問題がある。

利根川では全長 1.4 mの大形魚が釣られたことがある。中国ではハクレンよりも好まれる。

大型水草除去の目的で放流されることがあり、好きな水草であれば、1日に体重の1~1.5倍量、陸草でも30~65%を食べる。1ヘクタール当たり100尾の放流で、水草がほとんど除去される。

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.
  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体は細長く、その横断面は偏円形で、後部がやや側扁する。口ひげはない。各歯は薄く、櫛状となる。咽頭歯は2列で、左右不対称である。側線は完全で、下方にわずかに湾曲する。

全体に茶褐色であり、背面は青灰色を、腹面は灰白色を帯びる。体側のうろこの隆起線が暗黒色で縁取られるため、体全体に網目模様がかかっているように見える。

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

卵の形質

卵は球形で、直径は 2.0~2.5 mmの非粘着卵である。色は緑黄色をしている。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

生態

生息環境

河川の下流域や湖沼のやや深い所で生活している。

参考文献

  • 立川賢一 1989 ソウギョ, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 282-283.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

食性

後期仔魚期にはワムシ類を中心とする小動物、稚魚期は小動物のほかに、アオミドロなどの藻類を食べる。成魚はヨシ、マコモや沿岸の陸生植物を好み、その他の水生植物、大型藻類、及びこれらに付着する藻類や動物を食べる。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

ライフサイクル

水温19.5~22℃では42~45時間で孵化する。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

産卵

産卵期:利根川では6月上旬~7月中旬で、最盛期は6月下旬~7月上旬。中国大陸では4~8月である。

産卵場所:熊谷市妻ヌマから羽生市川俣までの利根川水系と江戸川水系の一部である。

産卵床:水面近くに産卵され、卵は流れとともに下流に流下する。

産卵行動:梅雨の増水で見ずが透視度 10~25 cmまで濁り、少し澄みかけたとき1尾の雌と数尾の雄によって、水面近くで産卵される。昼間も行われるが、明け方、夕方が主である。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

その他生態

霞ヶ浦周辺では、産卵期には霞ヶ浦、北浦、利根川下流域から、産卵場でもある中流域まで移動する。

前期仔魚は運動性が低く、用水路や下流の池沼の底層で過ごし、後期仔魚になってから遡上を始める。体長 6 cmまでの稚魚は流れの緩い場所に生息し、秋までは川の氾濫源にある湖沼内にとどまることが多い。

中国大陸では、夏季は主として池沼に入って大型植物を飽食し、冬季には河川下流域の深みに戻る。北部では冬は餌を摂らず、体表を厚い粘液で覆って越冬する。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

関連情報

味や食感

元々は水産資源として移入された魚であり、食べると美味しい。本によっては「ソウギョの肉は大味で、ぜいたくな日本人の口には合わないらしく、評判はあまりよくありません」(滋賀県立琵琶湖文化館, 1986)というものもあるが、「食用としてもかなり良好で、とくに胸びれのつけねの肉はうまい」あるいは「食べてみればたいへんにうまい魚」(宮地ほか, 1963; 板井, 1989)という本もある。

参考文献

  • 2017 岐阜県の魚類, 第2版 - 書籍全体, 向井貴彦(著) 岐阜県の魚類, 第2版. 岐阜新聞社. .

最終更新日:2020-08-27 ハリリセンボン

その他

草食性なので、在来の日本産魚類が捕食されたり、また餌を巡る競合関係に落ち入ることもない。しかし、ソウギョの餌となる水草は、コイ科魚類の産卵床となる場合もあり、この場合にほかの魚類、甲殻類の繁殖に対する影響が出てくる。

参考文献

  • 執筆者不明 1996 ソウギョ, リバーフロント整備センター(著) リバーフロント整備センター(編) 川の生物図典 : 植物・陸生昆虫・水生昆虫・魚類・鳥類・ヒル類・クモ類・貝類・甲殻類・両生類・は虫類・哺乳類. 山海堂. pp. 336-337.

最終更新日:2021-02-15 ハリリセンボン

種・分類一覧