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カワスズメ(Oreochromis mossambicus)の分類 Cichlidae
カワスズメ(Oreochromis mossambicus)の概要 Oreochromis

カワスズメ(Oreochromis mossambicus)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Oreochromis mossambicus (Peters, 1852)

基本情報

大きさ・重さ

全長:40 cm

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

分布

日本へは、最初1954年にタイから220尾が移入された。現在は、南日本の各地、特に沖縄県那覇市の龍潭池や河口域、鹿児島県指宿市の温泉の流入する小さな川で自然繁殖していることがよく知られている。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

別名・方言名

地方名:テラピア・カワスズメ(別名)

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

分類学的位置付け

カワスズメ科 オレオクロミス属

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

人間との関係

原産地はアフリカ大陸東南部、ケニア南部から南アフリカのナタール地方にかけてのザンベジ川・リンポポ川水系を中心とした河川である。アフリカ大陸でも、ジンバブエ、エジプト、チュニジア、アンゴラなどに移植されている。

カワスズメ科の魚は、鑑賞用として多数の種が輸入され、販売されている。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

形態

成魚の形質

体色は銀白色を呈しており、体側にはいくつかの不明瞭な横帯が見られる。尾鰭に少数の鱗がある。背鰭16(15~17)棘10~13軟条、尻鰭3棘9~12軟条、縦列鱗数31(30~32)、脊椎骨数30(28~31)、第1鰓弓下肢鰓耙数18(14~20)、腸長比4~9、頭長比2.8~3.1、体高比2.5~2.8である。

産卵期になると、なわばりを持つ雄には婚姻色があらわれ、頭部腹方が白っぽくなるほかは体全体が黒くなり、背鰭・尾鰭の縁辺は赤くなる。闘争の開始と終了、勝利と敗北、産卵と保護などに関連して、色彩が瞬時にかつめまぐるしく変化する。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

卵の形質

受精卵は洋梨形で、長径が 1.9~3.0 mmである。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

生態

生息環境

主に河川の下流域に生息するが、湖沼や河口域にもよく見られる。多様な環境を生息場所とすることができるため、ダム湖などにも移植されることが多い。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

食性

藻類やデトリタスを主な餌とした強い雑食性を示し、与えられればほとんど何でも摂餌する。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

ライフサイクル

3~5日で孵化する。産卵後10~14日目に雌の口から出て遊泳するようになるが、22日目くらいまでは雌の口内を避難場所として利用するため、雌の周囲にとどまる。えらが形成されるまでは、主に卵黄表面上に分布した毛細血管網でガス交換を行う。

池中養殖魚としては、テラピア類の中で最も成長の速いものの1つで、1年で 850 gにもなる。

アフリカでの平均的な全長は、1年で 8~15 cm、2年で 12~26 cm、3年で 14~32 cm、4年で 17~35 cmであり、11歳まで生きる個体も見られる。

成熟サイズおよび年齢は生息環境によって大きく異なり、熱帯域の浅い池沼では、生後2~3ヵ月で全長が雄では 7~13 cm、雌では 6~10 cmとなり、成熟し産卵する。それに対しほかの地域では、成熟時の全長が 30 cm前後になることもある。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

産卵

産卵期は一般水温が年間で最も高くなる時期と一致する。水温20℃以上で第2次性徴が顕著になり、雄は砂泥底に径 15~50 cm、深さ 5~10 cmの円形の巣をつくり始める。25℃前後で、30~45日ごとに連続的に産卵を繰り返す。

雄のなわばりに雌が入ると、雄はひれと鰓条膜を広げ¨側面誇示¨をする。雄のこの行動に対して、雌が逃げたり誇示をし返さずにそこにとどまると、雄は雌をなわばりの中心にある巣へと誘う。続いて雌の体色が明るく変化し、巣のくぼみで産卵が始まる。この間、咽頭歯をこすり合わせることによって音を発しているという報告もある。

雌は産卵するとすぐに卵を口にくわえ、雄が放精したあたりの水を吸い込み、口腔内で受精を完成させる。1回の産卵数は全長 8 cmの個体で約80粒、11 cmの個体で約300粒である。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

その他生態

水温や塩分濃度に対しても広い適応性を示し、水温17~35℃ではふつうに生活し、15℃以下で死亡する。若魚は海水の2倍の塩分濃度でも正常に生活できる。本種が南太平洋の環礁にも生息できるのはそのためである。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

関連情報

味や食感

味は悪くないが、食用としてはほとんど利用されない。

参考文献

  • 山岡耕作 1989 モザンビークテラピア, 川那部浩哉、水野信彦(監修) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚. 山と溪谷社. pp. 534-537.

最終更新日:2021-03-03 ハリリセンボン

種・分類一覧