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ワタリガラス(Corvus corax kamtschaticus)の分類 カラス属(Corvus)
ワタリガラス(Corvus corax kamtschaticus)の概要 ワタリガラス(Corvus corax)

ワタリガラス(Corvus corax kamtschaticus)

【 学名 】
Corvus corax kamtschaticus Dybowski, 1883

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:69.5~84 mm
・嘴高:29~32 mm
・翼長:410~492 mm
・跗蹠:62~75 mm
・尾長:210~257 mm
・体重:2041~2267 g

参考文献

最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

分布

全北区、エチオピア区、ユーラシア大陸、北アメリカ大陸、アフリカ大陸中北部にかけて広く分布する。

日本では繁殖せず、冬に北海道の一部の道東・道北部に渡ってくる。

知床半島、利尻島、礼文島などでは繁殖しているともいわれるが(清棲, 1978)、まだ確認されていない。

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分類学的位置付け

カラス科

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形態

成鳥の形質

【雄雌】
全身はすべて黒色で、頭上は紫色または緑色の金属光沢が強く、耳羽と腮は緑色の金属光沢を帯び、喉は赤紫色の金属光沢が強く、各羽は細長い柳葉形をなしている。

顎は緑色の金属光沢を帯び、肩羽と上尾筒は藍色または赤紫色の金属光沢が強い。

胸には藍色または赤紫色の金属光沢があり、腹には緑色または藍色の金属光沢がある。

初列風切と小翼羽には緑色の金属光沢があり、次列風切は赤紫色の金属光沢を帯び、三列風切は藍色の金属光沢が強い。

大雨覆は赤紫色の金属光沢を帯び、中・小雨覆は紫色の金属光沢を帯びている。

尾は赤紫色または緑色の金属光沢が強く、外側尾羽は中央のものより 60~72 mm位短い。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は暗肉色の裸体のままで、後頭、上膊、背、腹などの羽域から灰褐色の著しく長い初毛が疎生している。

口内は紅色で、虹彩は美しい緑色である。

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卵の形質

卵の色は青緑色、または灰緑色で、褐色の斑点と縦斑が一面に散在する。

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生態

生息環境

断崖の多い海岸、大陸では山岳や砂漠の岩石の多い地域にすみ、森林にはいない。知床半島では河口部や漁港に現れる。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

食性

地上を歩きながら採食する。雑食性で、動物の死骸、哺乳類の後産、爬虫類、両生類、鳥類の卵・雛、昆虫、また果実や穀物などを食べる。

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鳴き声

啼き声を遠くで聞くとコッ、コッまたはカポッ、カポッとやや濁った声に聞こえる。

啼くときには小高い岩の上などにとまり、柳葉形の喉の羽をふくらまして啼く。飛翔中にもクルッ、クルッと啼くことがある。

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特徴的な行動

繁殖期は5~6月、一夫一妻で繁殖する。岩棚の上に枯れ枝を重ねて、皿形の巣をつくる。巣が巣材を運び、雌が構築する。

1巣卵数は3~7個、抱卵は雌のみが行い、雄は餌を運ぶ。

雛は18~19日ぐらいで孵化し、両親に養われて、40日ぐらいで巣立つ。約5~6か月で独立する。

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その他生態

繁殖期にはなわばり分散をする。非繁殖期は群れ生活で、塒集合や採食群が知られている。

番メンバー間に相互羽づくろいがある。

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関連情報

その他

両脚を揃えて地上をとび跳ねながら餌を探し、動物の死骸などを発見すると翼を半開きにして警戒しつつ横とびして近づいてこれをついばむ。

食物を一定の場所にわざわざ運びそこで啄む習性がある。

翼を緩慢に羽搏いて飛翔し、ときには輪を描いて高空を帆翔することもある。

巣に外敵が近づくと、雄雌が飛びながら交互に翼をすぼめて、錐もみ形に急降下してこれを威嚇する。

岩壁の間隙を塒とし、夕刻には定まった塒に帰るのが常である。

おもに地上や岩上にとまって休み、樹上にとまることは稀である。

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種・分類一覧