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- メボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas)について

メボソムシクイ(Phylloscopus xanthodryas)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phylloscopus xanthodryas (Swinhoe, 1863)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:10~12.5 mm
・翼長:雄 66~72 mm 雌 64~70 mm
・跗蹠:19~21 mm
・尾長:45~55 mm
・体重:10~12 g
・卵:長径 17.1~19.3 mm×短径 12.5~14.3 mm 平均長径 18.2 mm×短径 13.8 mm 重量 1.5~1.9 g
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方のタイガベルト地帯で繁殖し、東南アジアに渡って冬を越す。
日本では北海道、本州、四国に夏鳥として渡来して繁殖する。渡り期には各地で見られる。
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形態
- 成鳥の形質
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上面は黄緑色で、黄白色の眉斑は明瞭で長い。中雨覆の先端に白色が見られ、大雨覆の先端に黄白色不明瞭な翼帯のある個体もいる。
下面は淡黄緑色。上嘴は暗褐色、下嘴は橙黄色。足は淡褐色で、趾は黄褐色。
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- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、オリーヴ褐色の長い初毛が、眼の上、後頭、上膊などの羽域にある。
口中は黄色で、口角の縁は黄色である。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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繁殖地は亜高山針葉樹林や森林限界のダケカンバ林、日本海側ではブナ帯の上部で見られる。
渡り期には低地や低山帯のマツ林や雑木林などで見られ、5~6月の渡りのときは盛んにさえずる。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 食性
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針葉樹林では下層部に多く、藪や低地で採食し、ダケカンバ林では高層部へも入る。
亜高山針葉樹林内では混在するダケカンバやウラジロカンバなどの広葉樹を好み、樹木の下枝から下枝へ移り伝わりながら葉や枝の下側に飛びついて、周辺を飛んでいる虫や止まっている虫をくわえとる。
飛びながら、くちばしを虫にもっている方法は本質的にフライングキャッチ法である(Naka-mura, 1980 ; 中村, 1988)。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は6~8月。さえずり活動は5月下旬から10月上旬までおよび、ずいぶん長い。
一夫一妻らしいが、一夫多妻の疑いもある(羽田・木内, 1969)。
巣は地上につくることが多く、蘚類が茂る窪みや樹木の根の間、ササの根元、落ち枝の堆積の隙間など、うまく隠れた部分に置く。
外装は蘚類で球形に、入り口は側方につくり、内装には細い植物性繊維を使う。
1巣卵数は4~5個、抱卵は雌だけが行い、12~13日ぐらいで雛が孵化し、抱雛も雌のみが行う。
育雛は雌雄共同で行うが、70~80%は雌が行う(羽田・木内, 1969)。
雛に与える餌は鱗翅類の幼虫・蛹・成虫が多く、次いでクモ類である(羽田・木内, 1969)。
雛は13~14日ぐらいで巣立ち、その後約4週間で独立する(羽田・木内, 1969)。
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- 鳴き声
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チョリ、チョリ、チョリ、チョリまたはヂュリ、ヂュリ、ヂュリ、ヂュリとあるいはリュリ、リュリ、リュリ、リュリなどと4声位に句切って、繰返し繰返し囀り、ときどきギュッ、ギュッと啼く。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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雄どうしの対立は2~4羽の集会になり、相互に翼をゆっくり上下に動かしつつさえずったり、ギッという発声をともなうディスプレイを行ったり、ギリリリリリと叫びつつモスタイプの飛翔を行う(Nakamura, 1979)。
さえずり範囲は 3,000~7,000 ㎡で、この中でとくに頻繁にさえずる地域が約 1,000 ㎡あり、雌はその地域に引きつけられやってくる。
雌がくると、雄はその雌について回り、雌が頻繁にさえずる地域の中に入ると求愛のディスプレイを行う(羽田・木内, 1969)。
雌はさえずる雄の下へギリリリリといいつつモスタイプで飛んでゆき、翼をゆっくり上下させる。
雄は数回雌に給餌する。次に、さえずりながら地上に近づき、体を左右にゆすり、両翼の先を下げて腹の下で先をくっつけ、尾羽を上下させるディスプレイを行う。
そして、地上の蘚類や小枝をくちばしでつまみ上げてはほうり投げる(Nakamura, 1979)。
さえずる雄に別の雌が来て交尾にまで至ることがある(羽田・木内, 1969)。
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