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マミジロ(Geokichla sibirica)の分類 Turdidae
マミジロ(Geokichla sibirica)の概要 Geokichla

マミジロ(Geokichla sibirica)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Geokichla sibirica (Pallas, 1776)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:19~22 mm
・翼長:117~130 mm
・跗蹠:27~32 mm
・尾長:雄 82.5~97 mm 雌 85~93 mm
・体重:56~75 g
・卵:長径 26.5~33 mm×短径 20~22.5 mm 平均長径 29.2 mm×平均短径 20.7 mm  重量 5.8~7 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マミジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 276-278.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分布

旧北区に分布する。
ユーラシア大陸東部の温帯・亜寒帯で繁殖し、中国南部、インドシナ半島に渡って越冬する。
日本には夏鳥として渡来し、北海道や本州中部以北の山地で繁殖するが、個体数は多くない。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マミジロ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 133.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズメ目 ツグミ科

参考文献

  • 吉井正 2005 マミジロ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 468.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

形態

成鳥の形質

雄:額、頭上、後頭、後頸は暗石盤灰色で、各羽縁は黒色である。眼の上には白色の眉斑があり、眼先、耳羽は黒色を呈する。えら、喉、頬、背、肩羽、胸、腰、上尾筒は頭上と同様である。

腹、脇、下尾筒の各羽端には白色の縁がある。風切羽は黒褐色で、初列風切の外弁には石盤灰色の縁があり、内弁には白色の斑をつける。

次列風切、三列風切の外弁には石盤灰色の縁があり、内弁の基半部は白色である。

大雨覆、初列雨覆、小翼羽は黒褐色で、外縁は石盤灰色をしている。小雨覆は暗石盤灰色である。

下雨覆は黒色で、各羽端は白色、腋羽は白色で、各羽端は黒色を呈する。尾は黒褐色で、中央の1対は石盤灰色を帯びる。

ほかの尾羽の外縁は石盤灰色を帯び、外側の4対の羽端には白色の斑があり、この斑は内側の尾羽程小さい。

嘴色は雄は黒色、雌は黒褐色、虹彩は暗褐色、脚色は黄褐色、脛羽は雄は石盤灰色、雌はオリーヴ褐色である。

雌:額、頭上、後頭、後頸はオリーヴ褐色で、各羽縁は暗色である。眼の上にはクリーム色の眉斑があり、眼先、耳羽は赤錆色を帯びた黄色で、各羽縁はオリーヴ暗褐色をしている。

えら、喉、頬、胸、脇は赤錆色を帯びたクリーム色で、頬、胸、脇の各羽端にはオリーヴ暗褐色の縁がある。

背、肩羽、腰、上尾筒は頭上と同様である。腹、下尾筒は白色で、下尾筒の各羽縁と基部はオリーヴ褐色を呈する。

下雨覆はオリーヴ褐色で、羽端にはクリーム白色の幅の広い縁があり、腋羽は白色で、各羽縁はオリーヴ褐色を帯びる。

風切羽は黒褐色で、初列風切には赤錆色を帯びたオリーヴ色の外縁があり、内弁には赤錆色を帯びた白色斑がある。次列風切、三列風切にも同色の外縁があり、内弁の基半部は赤錆色を帯びた白色をしている。

大雨覆は黒褐色で、オリーヴ褐色の外縁があり、羽端には赤錆色を帯びた黄色の斑がある。

中、小雨覆はオリーヴ褐色で、各羽端には赤錆色を帯びた黄色の斑をつける。

小翼羽、初列雨覆は黒褐色で、赤錆色を帯びたオリーヴ色の外縁がある。

尾は黒褐色で、中央の1対はオリーヴ赤錆色を帯びている。ほかの尾羽の外縁は、赤錆色を帯びた黄色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マミジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 276₋278.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

幼鳥の形質

雛:抱卵後11日くらいで孵化し、孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、眼の上、後頭、上はく、前はく、背などの羽域に黄白色の長い初毛が生えている。口中は黄色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マミジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 276₋278.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

卵の形質

卵1巣の卵数は3~4個で、3個が常である。卵は美しい青緑色の地に、赤褐色と淡紫色の斑点が散在し、斑点は鈍端の方に密在するのが常である。卵の地色及び斑点は、濃いものと淡いものがある。卵は卵形、長卵形である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マミジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 276₋278.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

生態

生息環境

平地から山地のよく茂った広葉樹林、針広混交林、亜高山帯のシラビソ、トウヒ、コメツガの針葉樹林に生息する。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マミジロ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 133.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

食性

地上をはね歩いて餌をついばみ、脚で落ち葉をかき分けて餌を探す。ミミズ、昆虫、ミヤマザクラなどの実も食べる。雛にはミミズと鱗翅類の幼虫・成虫が最も多く、セミなども与える(藤林 1976)

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マミジロ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 133.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

鳴き声

チョボイ、チー、チョボイ、チーまたはチロイー、チー、チロイー、チーなどと囀り、近くではキョロイ、ツーと聴こえるが、後句のチーまたはツーを長く引くのが常である。警戒時などにはキョッ、キョッと鳴き、飛び立つ前にはシーと鋭く鳴く。

5月から7月頃の囀鳴期には、見通しの良い喬木の梢や枝上で早暁から囀り、夕方もまた囀るが、日中は比較的少ない。春は4月下旬頃から囀り始める。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 マミジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 276₋278.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

産卵

繁殖期は5~7月、年に1回繁殖する。巣づくりは5月初旬に始め、雑木林、落葉広葉樹林、アカマツ林、亜高山帯の針葉樹林の中に営巣する。ミヤマイボタ、ナツグミ、ウツギなどの灌木の枝に、草本の枯れ茎や根を大量に用いて、泥で固めて椀形の巣をつくる。産座には菌糸束、細い枯れ枝を用いる。

1巣卵数は3~4個、1日1卵ずつ産卵し、抱卵は雌雄交替で行い、抱卵日数は約11日(藤林,1976)。抱卵中の雄も雌も、巣の中で囀ることがある。育雛日数は約11日、雛への給餌も雌雄共同で行う(藤林,1976)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マミジロ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 133.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

特徴的な行動

一夫一妻の番ごとになわばりをもって分散する。雄は繁殖に先駆け、直径 300 mほどのなわばりを形成し、チョボイ、チィーとよく囀る(藤林,1976)。渡り期に小群が見られる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マミジロ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 133.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

関連情報

その他

日米渡り鳥条約、日豪渡り鳥協定、日中渡り鳥協定指定種である。

参考文献

  • 吉井正 2005 マミジロ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 468.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

種・分類一覧