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- コシアカツバメ(Cecropis daurica)について

コシアカツバメ(Cecropis daurica)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Cecropis daurica (Laxmann, 1769)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:7~8 mm
・翼長:110~126 mm
・跗蹠:12~13 mm
・尾長:外側 85~112 mm
・体重:14~23 g
・卵:長径 18.8~21.7 mm × 短径 13.6~15 mm 平均長径 19.5 mm × 短径 14.2 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 コシアカツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 342-344.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の温帯で繁殖し、インド、東南アジア、アフリカ大陸中部で越冬する。
日本には夏鳥として渡来し、九州以北で繁殖する。
従来、西南日本に多く分布していたが、近年はその繁殖分布域を拡張し、1972年には北海道でも繁殖が確認された。
南関東地方では1950年代から繁殖分布域を拡大している(仲真, 1984)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 コシアカツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 15.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名はバイカル湖東部のドーリア地方という意味。
参考文献
- 吉井正 2005 コシアカツバメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 220.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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トックリツバメ、アカツバメ、トウツバメ
参考文献
- 吉井正 2005 コシアカツバメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 220.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 ツバメ科
参考文献
- 吉井正 2005 コシアカツバメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 220.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。額、頭上、後頭、後頸は金属光沢のある藍黒色で、前額の各羽には赤錆色の羽縁がある。
後頸の両側には、赤錆色の帯があり、額側から後頸まで走る同色の細い眉斑に引き続き、各羽には藍黒色の極く細い軸斑がある。
耳羽は赤錆色を帯びた褐白色で、各羽には黒褐色の軸斑がある。
腮、喉、胸はわずかに赤錆色を帯びた白色で、各羽には黒褐色の軸斑がある。
背、肩羽は金属光沢のある藍黒色、胸、腹、脇、下尾筒、下雨覆、腋羽はわずかに赤錆色を帯びた白色で、各羽には黒褐色の軸斑がある。
脇は赤錆色が強い。腰、上尾筒は赤錆色で、上尾筒の各羽の羽軸は藍黒色である。
上尾筒の先端近くの各羽は羽端だけ藍黒色であるが、上尾筒の最先端の部分の各羽は全部藍黒色である。
風切羽はわずかに金属光沢のある黒褐色で、外弁は暗色である。
大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は金属光沢のある藍黒色である。
尾は煤けた黒色で、中央の1対は内外弁共に金属光沢があるが、ほかの尾羽は外弁だけ金属光沢がある。
嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は褐色、脛羽はわずかに赤錆色を帯びた白色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 コシアカツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 342-344.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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成鳥冬羽に似るが頭・背・上尾筒は成鳥よりも光沢が乏しく、各羽は極く狭いバフ色の縁を有する。腰の鏽赤色も淡い。
尾も成鳥より褐色を帯び、外側の1対は成鳥のものより短く、また内弁の先半の狭窄も著しくない。
翼羽も成鳥より褐色に富んで光沢は少なく、次列風切には狭く、三列風切と雨覆にはやや広い、淡バフ色の縁がある。
下面の地色は淡く、腹には軸斑を欠く。
【第1回冬羽】
幼鳥は早い場合には7月中に換羽に入り、全身を換羽する。
しかし風切と尾羽の換羽は、体羽より遅れ10月に入ってから換羽を始めるもののごとく、もっとも早いものも11月中旬に至って初列風切の3枚を更新しているにすぎない。
換羽の完了はツバメと同様、翌年の春までかかるであろう。新たに生じた羽毛の色彩は成鳥と区別しがたい。
【第2回冬羽】
第2年秋に成鳥と同様な換羽を行って成鳥冬羽となる。
参考文献
- 山階芳麿 1980 コシアカツバメ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 406-411.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 似ている種 (間違えやすい種)
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ツバメ
参考文献
- 山階芳麿 1980 コシアカツバメ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 406-411.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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夏鳥として本邦に渡来し、主として平地の市、町、村に生息する。往時は東京でも繁殖したが、近年は渡来しない。
山地にも生息し、和歌山県高野山、京都の比叡山では繁殖するものが多い。
夏季四国では標高 500 m以下に生息する。飛翔時には営巣地付近の農作地、草原、河川に至るところに飛来する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 コシアカツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 342-344.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 食性
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主として飛翔している昆虫類を啄み、半翅目(カメムシ、アオカメムシなど)、鞘翅目(ゾウリムシなど)、双翅目(カ、ハエなど)などを啄む。
参考文献
- 清棲幸保 1955 コシアカツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 342-344.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~8月、年に1回ないし稀に2回、一夫一妻で繁殖する(藤井, 私信, 1992)。
通常、1番、あるいは3、4番までのコロニーで繁殖する(堀田, 1992)。人工建造物の軒下にとっくり形の巣をつくる。1巣卵数は4~6個。
参考文献
- 中村雅彦 1995 コシアカツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 15.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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ツバメに類似し、やや濁った声でチュル、チュル、チュル、キュル、キュル、キュル、キュル、ジェリー、ジェリー、ジュイ―と鳴く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 コシアカツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 342-344.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ