- 解説一覧
- ヤマガラ(Poecile varius)について

ヤマガラ(Poecile varius)
- 【 学名 】
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Poecile varius (Temminck & Schlegel, 1848)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・全長:約 14 cm
・翼長:雄 75.33±1.46 mm (n=31) 雌 69.36±2.24 mm (n=31)
・尾長:雄 54.54±2.33 mm (n=31) 雌 50.05±2.44 mm (n=30)
・露出嘴峰長:雄 10.93±0.89 mm (n=31) 雌 11.15±0.76 mm (n=31)
・ふ蹠長:雄 19.12±1.20 mm (n=31) 雌 18.82±0.51 mm (n=31)
・体重:雄 16.33±1.07 g (n=31) 雌 15.33±0.60 g (n=30)
・卵:長径 18.7-19.4 mm × 短径 14.2-14.5 mm 平均長径 18.9 mm × 短径 14.4 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマガラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 167-169.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸東部、朝鮮半島、日本、台湾だけに限定されて分布する。日本では留鳥として、小さい島も含めてほとんど全土にいる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマガラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 77.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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ナミエヤマガラ、ダイトウヤマガラ、タネヤマガラ、ヤクシマヤマガラ、アマミヤマガラ、オリイヤマガラ
参考文献
- 吉井正 2005 ヤマガラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 520-521.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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稀に頭および喉の黒色部が灰色を帯び、頬・額・耳羽が栗色を帯びているものがあり、飼鳥家はこれを弁慶山雀とよんでいる。
参考文献
- 山階芳麿 1980 ヤマガラ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 381-383.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 シジュウカラ科
参考文献
- 吉井正 2005 ヤマガラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 520-521.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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日本ではかつて縁日などでつるべをたぐり上げて水を飲むとか、扉を開いておみくじを引くなどの芸を盛んに見世物としていた。
『太平記』(巻17)に「山ガラガサノミモドリヲウツノミヤ都ニ入テ出モヤラヌハ」とある。
俳句では秋の季語で、小林一茶「山雀の輪抜しながら渡りけり」。
参考文献
- 吉井正 2005 ヤマガラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 520-521.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。頭部は黒色で頭頂から後頸にかけて細い淡色線が入る。額と頬は黄白色。翼と尾は青灰色。
喉から胸にかけては黒色。腹と上背は橙褐色。ただし、亜種間でかなりの色彩変異を示し、南方に分布する亜種ほど羽色が濃くなる傾向にある。
幼羽の羽色は全体にくすんでおり、腹部および額から頬は乳白色、上背は暗灰色。
嘴は丈夫で嘴峰は少し弯曲し、底線は上方に弯曲している。嘴高は嘴幅より小さい。嘴毛は長くはないが、鼻孔を覆っている。
ひげはあるが短小。嘴の色は暗角色、脚は上部で暗スレート色。虹彩は褐色。
参考文献
- 山階芳麿 1980 ヤマガラ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 381-383.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、暗鼠色の初毛が眼の上、後頭、上膊、背などの羽域に生えている。
幼鳥は、額・眼先・耳羽は煤けたバフ白色。後頭にはバフ白色の大斑がある。そのほかの頭上はバフ色を帯びた暗灰色。
以下の背面はすべてオリーブ色をおびた煤灰色で後頸は滑翔を帯びている(雄はときに、明らかな黄褐色を呈するものもある)。
尾羽および風切は成鳥より暗色。雨覆は成鳥のものに似るも少しオリーブ色を帯び、大雨覆の先はバフ色を帯びている。
腮・喉・胸は淡バフ灰色、腹は汚淡バフ色にて胸は褐色を帯びている。
口は暗スレート色で嘴縁は淡土色。そのほかは成鳥と同じ。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマガラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 167-169.
- 山階芳麿 1980 ヤマガラ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 381-383.
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- 卵の形質
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卵は白色の地に淡紫色と赤褐色との微細な小斑点が散在し、斑点は鈍端の方に密在するのは常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマガラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 167-169.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低地帯から山地帯にかけての、主に常緑広葉樹林(特に照葉樹林)に生息するが、落葉広葉樹林や針広混交林にも広く生息する。
山地の谷間の大きい樹木のある林で見られ、大きい木が茂る公園や人家周辺でも見られる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマガラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 77.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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社会的一夫一妻。つがい関係は周年維持するが、離婚して違う相手とつがうことも頻繁にあり、1シーズンに複数回繁殖をする場合に、つがい相手を変えることもある。
樹洞営巣。ただし、自身で巣穴を掘ることはせず、既存の樹洞を利用する。巣箱などの人工構造物もよく利用する。
巣の基底部には苔を積み上げ、産座は獣毛や綿毛上の植物繊維などで作る。
都市近郊では化学繊維を産座に利用していることもある。
著者が調査した中には、イノシシの毛を産座として利用している巣もあったが、この巣は異様に獣臭かったし、 産座はゴワゴワしていて何だか居心地が悪そうだった。
抱卵は雌のみが行い、その間雄は雌に給餌する。孵化直後の抱雛も主に雌が行うようである。抱卵期はおよそ2週間。
育雛期は16日前後で、ヒナへの給餌は雌雄ともに行う。
給餌頻度はそれほど高くなく、著者の観察では、ヒナの日齢が7~10日ほどになっても、15分に1回程度が普通であった(つまり親一個体が30分に一度餌を持ってくる)。
餌は燐翅目の幼虫(イモムシ)や成虫 (ガ,チョウ)が多く、給餌貢献は雌雄ほぼ平等である。
ヒナが飢えで死ぬことは稀で、巣立ち成功の是非は多くの場合、ヘビなどによる捕食圧によって決まる。
参考文献
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期には一夫一妻でなわばりをもって分散する。雄は盛んにさえずり活動となわばり争いをする。
争いにはピクリギリリリリという独特の発声がある。冬も雌雄1対でいるが、その行動圏が繁殖期より大きく広がり、ほかのカラ類の混群に入る。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマガラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 77.
最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ