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コアジサシ(Sternula albifrons)の分類 カモメ科(Laridae)
コアジサシ(Sternula albifrons)の概要 Sternula

コアジサシ(Sternula albifrons)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Sternula albifrons (Pallas, 1764)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:28~32 mm
・翼長:167~192 mm  
・跗蹠:17~18 mm
・尾長:65~114 mm 
・体重:44~108 g
・卵:長径 29.8~34.1 mm×短径 22.5~25.5 mm 平均長径 32.2 mm×短径 24.2 mm 重量 7.5~9.5 g

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

分布

北極圏と南極大陸を除く全世界に繁殖地が散在する。

コスモポリタンであるが、繁殖地は連続しておらず虫食い状に各大陸に分散し、比較的ユーラシア大陸の西部と東部、北アメリカ大陸の東南部に集中している。

冬は各大陸の赤道近くに渡って越冬する。

日本では夏鳥として本州以南の各地で繁殖しているが、限られた繁殖地であるためあまり見かけない。希少種に指定されている。

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分類学的位置付け

チドリ目 アジサシ科

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形態

成鳥の形質

アジサシ類中最小。

【雌雄夏羽】
額は白色で、眼の上まで白色の短い線が延びている。

眼先から眼の後方まで国生の過眼線があり、頭上、後頭の黒色部に引き続いている。

耳羽の大部分および頬、腹、喉は、純白色である。後頭は淡灰色、前頸、頸側は白色である。

肩羽、背、腰は淡灰色、胸、腹、脇、上尾筒、下尾筒は純白色である。

下雨覆、腋羽は白色。初列風切は淡灰色で、内弁には羽白色の縁があるが、第2~3羽は石盤黒色で、内弁には白色の縁があり、羽軸は白色である。

次列風切は淡灰色で、中央のものの羽端には白色の縁があり、内弁は大部分が白色である。

三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は淡灰色である。

尾は白色で、中央の尾羽は短く、外弁は灰色を帯びている。

嘴色はクローム黄色、先端は少し黒色、冬季は全部黒色である。虹彩は暗褐色。脚色はオレンジ黄色またはオーカー黄色、爪は黒色。

【雌雄冬羽】
額の白色部は後頭近くまで達し、頭上の各羽には淡灰色の縁があり、後頭には黒色の帯がある。

雨覆羽の外側の縁の部分には暗灰色または石盤灰色の斑がある。尾の外側のものは夏羽のものより短い。

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幼鳥の形質

【幼鳥】
額はクリーム色、頭上は黒色で、各羽にはクリーム色の縁があり、後頭には黒色の帯をなした斑があり、黒色の過眼線に引き続いている。

後頭の各羽には白色の極く細い縁がある。体の上面はクリーム色で、各羽の先端には黒色の三日月形の斑紋がある。

腰、上尾筒は淡灰色である。体の下面は白色。尾は白色で、中央近くの尾羽の先端には黒色の不規則な斑紋がある。

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卵の形質

卵は青味を帯びた灰白色の地に黒褐色、暗褐色の斑紋や斑点と灰色の斑点とが散在し、斑点は鈍端の方に密在するのは常である。

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生態

食性

水面から 5~7 mぐらいの上空を水面を見ながら飛び回り、イカナゴ、イトヨ、イワシ、コイ、フナなどの魚を見つけるとくちばしから水中に飛び込んで捕えて食べる。

体長 10 ㎝ぐらい以下の魚をとる。3~12 mぐらいから飛び込むが、水中の浅いところに入るだけである。

空中から狙いをつけて、ホバリングをしたり、ホバリングと前進を繰り返して階段状に下降して飛び込むこともある。

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ライフサイクル

繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は、捕食者が近づきにくい小島や中州などの砂地に浅い窪みを掘ってつくる。

雄がいくつもの窪みを堀り、雌を誘う。雌がそのひとつを決めて産卵する(鳥羽, 1991)。

1巣卵数は1~4個で、3個が多い。雌雄交替で抱卵するが、雌のほうが多い(鳥羽, 1991)。

雛は19~21日で孵化し、早成性の半離巣性で、2~3日巣にとどまり雌の抱擁を受ける。

雄が餌を運ぶ。その後、両親の給餌によって育ち、19~20日ぐらい飛べるようになるが、なお1~2月ぐらい両親の給餌を受ける。

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鳴き声

ピウィウィー、ピウィウィーまたはクイッ、クイッ、クイッなどと鳴き、またキピッ、キピーッと啼くこともある。

繁殖期に巣卵のあるときや雛のいるときにはキイッ、キイッ、キイッ、キイッ、クイッ、クイッ、クイッ、キリキリキリキリキリキリキリと鋭い声で鳴き立てて付近を飛び廻るのが常である。

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特徴的な行動

年中集合性があり、群れ生活をする。繁殖期にもコロニーをつくり、集団繁殖をするものが多く、5~15番ぐらいの場合が多いが150番にもなることがある(Cramp, 1985)。

コロニー内での巣間距離は 1~10 mぐらい、平均 7 m(鳥羽, 1991)。

巣の周りに狭いなわばりを設立し、強く防衛する。コロニーの近くに魚の豊かな採食地があることが多く、採食地には採食なわばりを設定している。

侵入者があると叫び声をあげて激しく追い回し、空中に上がる。

コロニー内に捕食者が入るといっせいに飛び立ち、共同防衛をし、しばしば急降下の攻撃をしかける。

なわばり内に侵入者があると、雄も雌も首を伸ばしたポーズで脅しのディスプレイをする。

番の形成は塒の集まりで始まる。空中のディスプレイと地上のディスプレイがある。

空中ディスプレイは、雄は魚をくわえてコールしながら飛び廻り、雌を引きつけようとする。

これに対して、1~2羽、ときにはもっと多くの個体が舞い上がり、追いかけのようになりながら上空へ上がっていくハイフライトとよばれるアジサシ類に共通のディスプレイが始まる。

雌は急ピッチのはばたきで雄を追い、これに数羽が混じって螺旋状に 100 mぐらいも上昇する。

頂点に達すると雄は翼動を止めてグライドしつつ下降する。雌もそれを追うようにグライドに入る。

こうして2羽以上が左右にゆれながら下降していく。一方地上ディスプレイは、雄は猫背ポーズで魚をくわえて雌に迫る行為をする(Cramp, 1985)。

コロニーでは雌が番以外の雄から餌をとるための番以外の交尾行動が知られている(鳥羽, 1989)。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

その他生態

海岸、河流や水田などの地上から 3~4 m位の低空を翼を緩慢にひらひらと羽搏き、身軽に飛翔しつつあちこちと頭部を左右に向けて餌を捜している。

翼を上方に上げて烈しく羽搏き、尾を下げて拡げ、体を垂直に位置し、嘴を垂直に下げて停空飛翔しつつ水面に浮かぶ魚類を捜し求め、魚を発見すると、突然翼を穿めて尾部から落下する様に舞降って嘴で魚を捉える。

捉えると脚で水面を蹴って、再び舞い上がるが、ときには体を水面に浸けずに魚を捉えることもある。

飛翔中には脚を下腹部にぴったりつけるが、獲物を捉えるために落下するときと地上に舞い下りる直前とには脚を下げるのが常である。

ときどき地上、棒杙の上、漂木の上などに降りてじっと休んだり、羽並を直したりし、ときには1時間位静止することもある。

地上に降りて極く短距離を両脚を交互にしてちょこちょこ歩むこともある。

河原の水溜まりで水を飲んだり水浴したりすることもある。稀には水面に浮かんだり泳いだりすることもある。

飛立つときには、翼を緩慢に力強く羽搏いて垂直に近くひらひらと上昇していくのが常である。

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種・分類一覧