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ササゴイ(Butorides striata)の分類 サギ科(Ardeidae)
ササゴイ(Butorides striata)の概要 ササゴイ属(Butorides)

ササゴイ(Butorides striata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Butorides striata (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:62~69.5 mm
・翼長:194~214 mm  
・跗蹠:50~53 mm
・尾長:70~78.5 mm
・体重:250~275 g位
・卵:長径 38~45 mm×短径 29~31.5 mm 平均長径 41.5 mm×短径 30.4 mm 体重 17.6~21 g位

参考文献

最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ

分布

全北区、東洋区、エチオピア区、新熱帯区、オーストラリア区。

世界中の熱帯から温帯にかけて広く分布し、日本など北半球の温帯で繁殖するものは南方に渡って越冬する。

日本には夏鳥として4月ごろ渡来し、本州から九州の各地で繁殖する。

九州南部には冬にとどまるものがあり、薩南諸島以南には冬鳥として10月ごろ渡来し、3月ごろまで越冬する。

かつてはふつうに繁殖していたが、現在では著しく数が減っている鳥である。

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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

コウノトリ目 サギ科

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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上、後頭、頭側は緑色または藍色の金属光沢のある黒色で、後頭の羽毛は長く延びて羽冠をなしている。

眼先は緑色の皮膚が裸出している。

上嘴の基部から頸側の方に緑黒色の長さ 20 ㎜くらいの線が走り、この線と頭側の黒色部との間は灰白色である。

腮と喉は白色で、嘴の両側は灰鼠色である。

頸は灰鼠色、翕と肩羽には暗緑色の細長く延びた飾羽があり、各羽の先端は灰鼠色で、羽軸は白色である。

背、腰は緑色を帯びた灰色、胸、腹、脇は灰鼠色で、胸の中央はやや白色である。

上尾筒は金属光沢のある暗緑色、下尾筒は灰白色で各羽には緑色を帯びた暗灰色の線がある。

下雨覆、腋羽は灰鼠色。

風切羽は暗石盤色で、各外弁には緑色の金属光沢があり、初列風切の内側のものおよび次列風切、三列風切には白色またはクリーム色の細い縁がある。

大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は金属光沢のある暗緑色で、白色の細い羽縁がある。

尾は金属光沢のある暗褐色である。嘴色は黒色の角色、下嘴の大部分は緑黄色、虹彩は暗黄色、脚色はオリーヴ緑黄色、爪は褐色。

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幼鳥の形質

【幼鳥】
頭上は第1年目には褐色の縦斑があり、頭側、後頸には黒褐色と黄味がかった淡赤錆色との縦斑がある。

腮と前頸は白色で、両側には暗褐色の斑があり、喉の下部には暗褐色とクリーム色との縦斑がある。

背は緑色を帯びた暗褐色、翕と肩羽の飾羽は短い。体の下面には褐色の縦斑がある。

翼と初列雨覆の羽端には白色の斑があり、大、中、小雨覆には赤錆色の雨滴形の斑と同色の羽縁とがある。

ほかは成鳥と同じである。

【幼鳥2年】
成鳥に類似するが、前頭には褐色の斑があり、風切羽と雨覆羽の先端には白色の楔形の斑がある。

背の飾羽は成鳥よりも短い。

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卵の形質

卵は青色または緑色を微かに帯びた白色で、斑紋を欠く。

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生態

食性

開けた水辺や浅瀬の中にじっと立ち止まって獲物を待ち伏せ、小魚を見つけると縮めていた首をさっと伸ばし、細くて鋭いくちばしで突きさすか、はさみとる。

このとき、縮められていた首はふだんの体長ほどに伸びる。待ち伏せ法以外に、浅瀬を静かに歩いて水中の魚を狙う。

水田や河原など見通しのよい水辺で餌を探すことが多く、ヨシ原などに潜むことはまれである。

魚以外にカエルやアメリカザリガニ、水生昆虫も食べる。

アメリカササゴイ(B. s. virescens)は、パンくずなどを拾って水面に浮かべ、それを撒き餌にして魚をおびきよせて捕らえるという行動が観察されていたが、近年、日本のササゴイでもおなじような行動が九州で観察された(樋口・坂梨, 1985;Higuchi, 1986)。

九州では、ハエや昆虫の蛹、マツの小枝、木の葉・実、アヒルの羽毛など手近にあるものをくちばしでくわえては水面に投げ、コイ、ウグイなどが餌とまちがえて寄ってくるところを、水面に飛び込んでいる。

また、水面から 1.5 mほどの高さの樹上から葉などを落とし、葉を餌とまちがえて集まる魚をカワセミのように水面に突っ込んで捕らえることもあるが、捕獲成功率は低い。

こうした擬似餌による採食方法は、なわばりの中に餌を狙う好適な止まり場のない個体ほど多用する(Higuchi, 1988 ; 黒沢・樋口, 1933)。

夕方から夜間にかけて盛んに活動するが、日中でも採餌する。

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ライフサイクル

繁殖期は4~7月、年に1回の繁殖がふつうで、一夫一妻で繁殖する。

水辺近くのカワヤナギ、雑木林、マツ、スギなどの樹上に巣をつくる。市街地の街路樹にも巣をつくることもある。

雄は自分の体長くらいの長さの枯れ枝を運び、巣の上にいる雌に渡す。

雌はその枯れ枝を組んで皿形の巣をつくる(内藤, 1985)。

1巣卵数は2~4個、2日おきに1卵ずつ産卵する(Cramp & Sim-mons, 1977)。

初卵を産むとその日から雌雄交替で抱卵を始めるが、このころは1羽の抱卵期間は長くても2時間程度。

その後は24時間ごとに雌雄で交替して抱卵する(内藤, 1985)。親は1昼夜何も食べずに抱卵する。

抱卵日数は21~25日(Cromp & Simmons, 1977)。卵が孵化すると、親はおよそ2時間ずつ交替で抱雛し、餌を運びはじめる。

雛は孵化後約20日で巣立つ。

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鳴き声

常に啼かないが、蕃殖期に巣の近くではグァーまたはゴァーと啼く。

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特徴的な行動

番が互いに遠く離れた場所に分散して営巣する場合もあれば、大きな木に10数番が小集団で営巣する場合もある。

抱卵中の親は、巣の近くの 1 mぐらいまで接近した個体だけを追い払い、巣の周りのごく狭い範囲をなわばりとして防衛する(内藤, 1985)。

採餌場所では単独か番でいることがほとんどで、シラサギ類のように群れることはない。

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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ

種・分類一覧