- 解説一覧
- エゾライチョウ(Tetrastes bonasia)について

エゾライチョウ(Tetrastes bonasia)
- 【 学名 】
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Tetrastes bonasia (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:10~14 mm
・翼長:157~173 mm
・跗蹠:35~37 mm
・尾長:108~125 mm
・卵:長径 39~40.6 mm×短径 28.3~29 mm 平均長径 39.8 mm×短径 28.6 mm
参考文献
- 清棲幸保 1954 エゾライチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 896-897.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方に分布する。日本では北海道のみに留鳥として繁殖するが、森林伐採により減少しつつある。
参考文献
- 中村登流 1995 エゾライチョウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 153.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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エゾヤマドリ・フミルイなどとも呼ばれ、松鶏とも書かれる。
参考文献
- 吉井正 2005 エゾライチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 73-74.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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キジ目 ライチョウ科
参考文献
- 吉井正 2005 エゾライチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 73-74.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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釧路雪裡の昔話にエゾフクロウの使いのものとして語られている。尾羽は矢羽として用いられることもあった。
参考文献
- 吉井正 2005 エゾライチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 73-74.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雄の頭上・後頭・眼の下・頸側は黒灰褐色で黒い横斑があり、後頭の羽毛は少し長い。
後頸・背・腰は灰褐色で黒い細かい横斑がある。
尾は灰褐色で中央2枚には細かい横斑があり、残りは先端が白く、その内側は黒色。
肩羽は黒と褐色の斑。翼は褐色で黒褐色の斑。喉は黒く、頸との境に白線がある。
胸から下面は白色に黒色の縁がある褐色の三日月斑が並ぶ。
下尾筒は白色。雌は雄に似るが、上面はやや褐色みが強く、喉に黒褐色の斑がある。
雌雄とも眼の上に赤い肉冠、跗蹠には白い羽毛、趾の縁には角質の櫛状突起がある。
参考文献
- 吉井正 2005 エゾライチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 73-74.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に淡黄色の幼綿羽が密生し、体の上面は栗色で、頭上と後頸とは特に暗色勝ちである。
顔は淡栗色、眼先から目の後方までに黒色の過眼線が走り、喉の附近は褐色を帯びる。
参考文献
- 清棲幸保 1954 エゾライチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 896-897.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低山や低山帯の針広混交林や針葉樹林にすみ、湿気の多い川辺や谷間の落葉広葉樹林も好む。
下枝があまり密生していなくて、ササなどの下生えのある林でよく見られる。
参考文献
- 中村登流 1995 エゾライチョウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 153.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 食性
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主として植物食で、広葉樹の芽・若枝・葉・果実・種子などを食べる。
またアリ類やその幼虫、甲虫・鱗翅類の幼虫なども食べる。
冬は雪上に出ている広葉樹の芽を食べるが、とくにシラカバの芽を好む(芳賀ほか, 1987)。
雪の上を歩きながらついばんだり、樹上でついばむ。
参考文献
- 中村登流 1995 エゾライチョウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 153.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は4~6月、多分一夫多妻で繁殖する(Cremp & Simmons, 1980)。
雄は3月下旬から4月ごろにかけて眼瞼上の皮膚が赤くなってくる(芳賀・鷹股, 1986)。
巣は、立ち木や切り株の根元などの枝で覆われた下につくる。
巣づくりは雌のみが行い、地上に直径 20 ㎝ぐらい、深さ 4~5 ㎝ぐらいの窪みを掘り、草や木の枯れ葉を集め、産座に羽毛を敷く。
1巣卵数は4~9個、雌だけが抱卵し、雛は23~27日で孵化する。
雌の抱卵は熱心で、朝夕に2回、20~40分ほど採食に出るだけである(芳賀・鷹股, 1986)。
雛は早成性の離巣性で、孵化すると間もなく巣を去り、雌雄だけの世話を受けながら約35日で自立する。
その後2~3カ月ぐらいカビ―といわれる家族群ですごし、分散する(Cremp & Simmons, 1980)。
参考文献
- 中村登流 1995 エゾライチョウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 153.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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雄はピルルーまたはピッピッピッと啼き、互いに呼び合うときには雄はチッ、チッチッチッチッ、チッと啼き、雌はシッ、シッシ、シッシッと啼く。
警戒時にはウィッウィッウィッ、ウィッドル、ウィッドル、ウィッドル、ウィッウィッウィッと啼き、雌はコッコッコッコッと啼くこともある。
参考文献
- 清棲幸保 1954 エゾライチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 896-897.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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雄は体を起こし、胸の羽毛を逆立て、尾羽を開いて立て、翼を半開にして下げた奇妙なポーズで歩き回る、求愛のディスプレイをする(芳賀・鷹股, 1986)。
繁殖期にはなわばり分散をする。秋のなわばり形成期には、雄は倒木や立ち木の枝上ではばたいて 1 mぐらい跳び上がり、100 m先から聞こえるような大きい羽音を出す(Cremp & Simmons, 1980)。
また特異なさえずりをし、秋や春にツイーッツイッツイッと盛んに鳴く。
雄どうしが出会うと首を伸ばして冠羽を立て、喉の黒斑を膨らませ、翼を下げ、尾羽を扇のように開いて立てる、脅しのディスプレイをする。
参考文献
- 中村登流 1995 エゾライチョウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 153.
最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ