トラツグミ(Zoothera dauma)の解説トップに戻る
トラツグミ(Zoothera dauma)の分類 Turdidae
トラツグミ(Zoothera dauma)の概要 Zoothera

トラツグミ(Zoothera dauma)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Zoothera dauma (Latham, 1790)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:23~30 mm
・翼長:雄 154~166 mm 雌 149~165 mm  
・跗蹠:33~39 mm
・尾長:雄 95~115 mm 雌 89~112 mm 
・体重:260~278 g
・卵:長径 30~37.5 mm×短径 22~25.5 mm 平均長径 33.7 mm×短径 23.5 mm 重量 7~9.3 g

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区、オーストラリア区。シベリア東南部、日本、インド、中国南部、大スンダ列島、オーストラリア大陸などに不連続に分布する。

日本では全国的に分布し、積雪の多い地方のものは、冬に暖地の雑木林に漂行する。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

亜種・品種

奄美大島にはさえずりがまったく異なる別亜種のオオトラツグミ(Z. d. amami:日本固有亜種)、西表島では台湾と共通のコトラツグミ(Z. d. horsfieldi)が繁殖するが、ともに正確な生息状況は明らかでない。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 ツグミ科

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上、後頭、後頸は淡黄色を帯びたオリーヴ褐色で、各羽縁には幅の広い黒色の縁と淡黄土色の帯があり、全体に黒色の三日月形の斑をなしている。

眼先、耳羽、頬は同様である。腮、喉、胸、脇は淡黄土色を帯びた白色で、下喉、喉の両側、胸、脇などの各羽縁には三日月形の黒色斑がある。

背、肩羽、腰、上尾筒は頭上と同様である。

腹、下尾筒は白色で、下尾筒の各羽端には黒褐色の小斑があり、全体にやや黄土色を帯びている。

風切羽は暗褐色で、初列風切の外弁には黄褐色の縁があり、縁の中央部は狭く、先端と基部は幅が広く、内弁の基部近くにはクリーム白色の細長い大きな斑がある。

次列風切、三列風切は大体同じであるが、黄褐色の縁の幅がそれよりやや広い。

大、中雨覆は黒褐色で、各羽端には黒色のごく幅の狭い縁と黄褐色の斑があり、羽縁は暗黄褐色を帯びている。

小雨覆は背と同様で、初列雨覆は黒褐色で外弁の中央部近くには黄褐色の幅の広い縁がある。

小翼羽は大体同じである。下雨覆は黒色で、各羽端は幅広く白色、腋羽は白色で、各羽端は幅広く黒色である。

尾は中央の1対は淡黄色を帯びたオリーヴ褐色で、羽端には不明瞭な白斑がある。

外側の尾羽は黒褐色を帯び、外縁は黄褐色に近く羽端には白斑がある。

嘴色は褐色で、下嘴の基部は黄色、虹彩は暗褐色、脚色は褐色を帯びた肉色、脛羽は黄土色。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は紫色を帯びた肉色で、眼の上、後頭、背の羽域にだけ黄白色の長い初毛が生えている。口中は黄色である。

【幼鳥】
成鳥冬羽に酷似する。しかし背面の色はオリーヴ色味少なく、一層橙バフ色に富む。

また上尾筒の各羽の先の黒色部はやや淡く、成鳥のものより著しく狭い。

腮・喉の上部・下尾筒はバフ色で、黒点は淡いか欠いている。そのほかの下面は成鳥よりも黄色味濃く、黒色横斑の幅はやや狭い。

中央2対の尾羽の先には黄バフ色斑がある。

【第1回冬羽】
幼鳥は8~9月に体羽全部・小雨覆・中雨覆・内側大雨覆のみを換羽して第1回冬羽となる。

新たに生じた羽毛の色彩は成鳥冬羽と全く同じ。しかし尾羽の先にバフ色斑があるため、成鳥と区別することができる。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋季に風切と尾羽を含む、全体の羽毛を換羽して成鳥冬羽となる。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は淡緑青色または極く淡い緑青色の地に淡赤褐色の不明瞭な斑点が密在し、地色の部分にも淡赤褐色の極く薄い斑点があり全体として淡赤褐色を呈する。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

生態

生息環境

平地から山地の林に生息し、薄暗い場所を好む。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

食性

夏には動物質が主で、昆虫類の鞘翅目(例えばリンゴハムシ、コメツキムシ、ゴミムシなど)、鱗翅類(例えばカレハガ、ヤガ、シャクトリガ、ミノガなどの幼虫)、半翅目(例えばクヌギカメムシ)、直翅目(例えばケラ)などを啄む。

そのほか蛛形類の真正蜘蛛目のフクログモ、多足類唇脚目のムカデ、軟体動物の腹足類の有肺目(例えばナメクジ)なども食物とし、環形動物毛足類、貧毛目のミミズは特に好んで食物とする。

植物の実も啄む、葡萄科のノブドウの漿果、防己科のアオツヅラフジの核果、山茶科のヒサカキの漿果なども啄む。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~8月、この繁殖期に、主に夜間、口笛のような声でさえずる。

木の枝の上にコケ類や枯れ枝で椀形の巣をつくる。1巣卵数は3~5個、抱卵日数は約14日、雛は孵化後14~15日で巣立つ(清棲. 1978)。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

鳴き声

淋しげな細い声でヒー、ヒョーと極めて静かに啼き、夜間(乗鞍岳山麓白骨温泉 24/V 1934 清棲確認)、夕方に啼くことが多い。

薄暗い密林では昼間にも啼く。グヮッ、グワッと低い声で地啼きし、巣に近づくと細い声でスィー、スィーと啼く。春は3月中旬から啼き始める。

参考文献

最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ

種・分類一覧