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- クロツグミ(Turdus cardis)について

クロツグミ(Turdus cardis)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Turdus cardis Temminck, 1831
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:18~21 mm
・翼長:107~122 mm
・跗蹠:28~31 mm
・尾長:64~82 mm
・体重:57~65 g
・卵:長径 22~31 mm×短径 17.5~21.3 mm 平均長径 27.1 mm×短径 20 mm 重量 4.5~6 g
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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富士山麓地方の農家は玉蜀黍の苗を荒らすということで嫌がっている。鳴き声が美しいことから「和鳥四品」のひとつに数えられて飼育された。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
頭部は黒色で、ときには腮に白色斑のあるものもある。
後頭、背、肩羽、上胸は黒色、下背、腰、上尾筒は暗石盤色である。
胸、腹、脇は白色で、各羽端には灰黒色の扇形の小斑がある。下尾筒は白色で、その側部の各羽は石盤灰色である。
翼は黒褐色で、初列風切、次列風切、三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽の各羽縁は暗石盤褐色である。
尾は黒褐色で、中央の1対は暗石盤灰色を帯び、不明瞭な横縞が数条ある。
ほかの尾羽の外縁は石盤灰色である。下雨覆、腋羽は暗石盤灰色。嘴色は秋季には黄色、春季には褐色を帯びた黄色。
虹彩は褐色、脚色は黄色、脛羽は雄の場合は石盤灰色、雌はオリーヴ褐色。
【雌】
額、頭上、後頭、語頸はオリーヴ褐色、眼先と耳羽は同様である。
腮、喉、頬、胸は赤錆色か黄味がかった赤錆色をおびた白色で、各羽端には黒色の扇形の小斑がある。
脇は同様であるが、全体に黄味がかった赤錆色が強い。
背、肩羽、腰、上尾筒はオリーヴ褐色、翼は黒褐色で、初列風切、次列風切、三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽にはオリーヴ褐色の羽縁がある。
尾は黒褐色で、中央の1対はオリーヴ褐色を帯び、ほかの尾羽の外縁はオリーヴ褐色である。
下雨覆、腋羽は黄味がかった赤嘴色。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、眼の上、後頭、上膊、前膊、背などの羽域に黄色を帯びて灰色の長い初毛が生えている。口中は黄色である。
【幼鳥雄】
背面は帯黄褐スレート色で、明らかな淡バフ色の軸斑がある。尾羽と翼も同色であるが、外縁は一層黄褐色に富む。
雨覆の先にある赭バフ色の斑点は中雨覆のものが最大で、大雨覆のものは極く小さい。
下面は白色で、大型の暗褐色斑を散在しており、胸と脇はわずかに赭バフ色を帯びている。
【幼鳥雌】
背面は鈍いオリーヴ褐色で、各羽の縁は薄黒く、狭いバフ色の軸斑がある。
翼と尾は雄のものよりも黄褐色に富み、スレート色味は帯びていない。
また大雨覆の先の赭色斑は大きく明瞭である。前頸・胸・脇は強く赭色を帯びている。
【第1回冬羽】
雄の場合、背面は鈍い鉛色または青色を帯びたスレート灰色であるが、頭と肩間部はわずかに黄褐色を帯び、次列風切と大雨覆は強く黄褐色を帯びている。
大雨覆には狭い赭バフ色の縁がある。頭側はわずかに黄褐色を帯びた淡黒色。腮・喉は帯赭白色。
前頸と胸は淡い鉛色で、大きく薄黒い扇形斑がある。
そのほかの下面は白色であるが、胸側は赭色を帯び、脇は鉛色を帯び、胸側には胸と同様の扇形がある。下雨覆は帯赭黄褐色。
雌の場合はこの羽衣で既に成鳥冬羽とほぼ同様である。
【第2回冬羽】
雌は第2年秋季の全身の換羽で成鳥となるが、雄の場合は第2年秋季の全身の換羽のあとに生じる羽毛は、まだ成鳥にはなりきっていない。
背面はほとんど成鳥と同様で、頭と顔は黒いが、前頸と喉とは帯褐スレート色で、腮のみ白い。
次列風切と大雨覆は強く黄褐色を帯びている。そのほかの下面は全く赭色を帯びず、下雨覆はスレート灰色で、先のみ赭色を呈している。
雄が完全な成鳥の羽毛となるのは第3年秋季の換羽からである。
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生態
- 食性
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広葉樹林、スギなどの造林針葉樹林の地上をはね歩きながら採餌する。
数歩はねて立ち止まり、ミミズやゴミムシなど鞘翅目、双翅目、鱗翅目などの昆虫を食べる。
植物ではヤマザクラ、ノブドウ、ヒサカキなどの果実を食べる。
雛に与える餌は、雄はミミズが多いのに対し、雌は昆虫を比較的多く運ぶ(石塚, 1991)
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最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、年に1~2回繁殖する。雄は渡来後なわばりを形成し、遅れて渡来した雄と一夫一妻の番となる(宮沢, 1971)。
木の枝の上に、コケ類や枯れ草、土などを材料に椀形の巣をつくる。
巣づくりは雌だけが行う(宮沢, 1971)。1巣卵数は3~5個、抱卵は雌だけが行い、雛は13~14日で孵化する。
雌雄共同で育雛し、雛は孵化後11~13日で巣立つ(宮沢, 1971)。給餌や糞処理の約3分の2を雄が受けもつ(石塚, 1991)。
育雛期には、雛への給餌前後に雄による給餌歌が観察される(石塚, 1992)。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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5月から7月頃までが囀鳴期で、樹梢近くで囀るが、アカハラの様に樹頂に全身を露わしてとまることは稀で、樹葉の間で囀る。
キキコ、キキコ、キョイ、キョイ、キョ、キョ、キョコ、キョコ、ピョ、ピョまたはピコ、ピコ、コイ、コイ、コイ、ピヨ、ピヨ、キョイ、キョイ、キョイ、ピコ、ピコ、キョイ、キョイ、キョイ、ピョコ、ピョコ、ピリコ、ピリコ、ピョ、ピョなどと美しい声で囀る。
しばしばほかの小鳥の囀りをその囀りの中に入れることもある。
雄は雌が抱卵や育雛する附近の樹木の上で囀ることが多い。
警戒時にはキョッ、キョッと啼き、飛び立つ前には鋭い声でシーと鳴く。朝は早暁から囀る。
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最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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地上を跳ね歩きつつ餌を捜し求めることが多いが、樹上で餌を啄むこともある。
ピョン、ピョン、ピョンと5~6歩位迅速に跳ね歩いてはときどき立ち止まり、また5~6歩跳ね歩く習性がある。翼を羽搏いて直線的に飛翔する。
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最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ