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キクイタダキ(Regulus regulus)の分類 キクイタダキ科(Regulidae)
キクイタダキ(Regulus regulus)の概要 キクイタダキ属(Regulus)

キクイタダキ(Regulus regulus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Regulus regulus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:8.5~10 mm
・翼長:50~59 mm  
・跗蹠:15~18 mm
・尾長:35~43 mm 
・体重:3~6 g
・卵:長径 13.5~14.6 mm×短径 10.1~10.7 mm 平均長径 14 mm×短径 10.5 mm 重量 0.7~0.9 g

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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方に、中央の砂漠地帯をとり巻くように広く分布する。

日本では北海道と本州の中部以北で繁殖し、冬は各地に現れる。

四国の石鎚山と剣山の亜高山針葉樹林に、夏の記録や幼鳥の記録があり、繁殖している可能性がある(石原, 1982)。

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和名の解説

黄金の冠羽に由来。

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分類学的位置付け

スズメ目 キクイタダキ科

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人間との関係

ルクセンブルクの国鳥

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形態

成鳥の形質

全長約 10 ㎝で、日本最小。

【雄】
灰色で各羽の先端は黄色、頭上、頭側の羽は長くて羽冠をなし、頭の中央は鮮やかな朱黄色、頭側と後頭は鮮黄色で、頭側の鮮黄色の外側には更に黒線が走っている。

眼の周囲はきわめて細く黒色で、その外周には幅の広いは白色の輪になった斑がある。

腮、喉、頸側はクリーム色を帯びた灰白色、耳羽はオリーヴ灰色である。後頸、前背は灰色、背、肩羽は暗黄緑色である。

胸、腹、下尾筒は灰白色で、胸、下尾筒はクリーム色を帯び、腹は淡黄褐色を帯びている。脇はオリーヴ緑色である。

風切羽は暗褐色で、初列風切の第2羽から第6羽までにはオリーヴ黄色の細い縁があり、第6羽以上の外弁の基部(全体のおよそ4分の1くらい)は黄色を帯びた白色で、その先 5 ㎜くらいは黒褐色で、それから先端までにはオリーヴ黄色の細い縁があり、内弁には灰白色の縁がある。

次列風切は初列風切の第6羽以上と同様で、内弁の先端に白斑がある。

三列風切の羽縁はオリーヴ黄色で、各羽の先端には白斑がある。大、中雨覆は暗褐色で、緑黄色の細い縁があり、先端には白斑がある。

小雨覆は暗黄緑色、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、黄緑色の細い縁がある。尾は暗褐色で、オリーヴ黄色の細い外縁がある。

嘴色は黒色または黒褐色、虹彩は褐色。脚色は黄色を帯びたオリーヴ褐色である。

【雌】
頭の中央は鮮黄色。ほかは雄と同様である。

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最終更新日:2020-06-15 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、暗灰色の短い初毛が眼の上、後頭などの羽域に生えている。

口中は橙黄色、口角縁は紅色を帯びた白色である。

【幼鳥】
頭上・後頭・肩羽あは灰褐色でわずかに緑色を帯び、頭上の両側には黒斑がある。

背と腰は緑色味が多い。尾は成鳥と同じ。翼は小雨覆が褐色であるほかは、成鳥と同じ。

頭側・腮・喉は灰白色。そのほかの下面は成鳥と同様であるが、白色味勝ちである。

【第1回冬羽】
幼鳥は7~9月に体羽・中雨覆・小雨覆を換羽して第1回冬羽となる。新たに生じた羽毛は成鳥冬羽と同じ。

【第2回冬羽】幼鳥は第2年秋季の完全な換羽により成鳥冬羽となる。

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卵の形質

卵は黄味がかった灰色の地に淡黄褐色の不明瞭な小斑点があり、鈍端近くのものは環をなして密集するが、著しく明瞭なものと不明瞭なものとがある。

ときには灰白色の地に淡褐色の小斑点の散在するものもある。

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生態

生息環境

タイガタイプの亜寒帯針葉樹林、亜高山針葉樹林で繁殖し、とくにトウヒ属、モミ属の樹林を好む。

夏季本州中部の北アルプス地方では標高 1600 m位から 2600 m位の亜高山帯のオオシラビソ、トウヒ、コメツガなどの森林および高山帯下部のオオシラビソ、ミヤマハンノキ、ダケカンバなどの矮小樹の散在する林に生息し、特に標高 2000 m以上の林に多い。

冬は低地や低山帯のマツ林、スギ林などの針葉樹林で見られ、とくにスギ林を好む。

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食性

昆虫類を採食し、鞘翅類、鱗翅類、膜翅類、双翅類、半翅類などを好み、またアカマツの種子を啄むこともある。

針葉樹の上層部の外側の樹冠部を中心に採食する。

小枝から小枝へと頻繁に位置を変えて樹冠部の針葉の間を渡り歩き、小枝や葉にいる虫に飛びついて捕える。

本質的にはフライングキャッチ法と共通の方法で採食する。とくに、葉の前でホバリングしながら虫をとることが多い(Nakamura, 1980)。

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ライフサイクル

繁殖期は6~8月、一夫一妻で繁殖する。

巣は、針葉樹の樹冠部の小枝の間にハンモック状に吊るした椀形で、外装には地衣類や蘚類、ダケカンバの樹皮などを、内装には獣毛やシダ類の仮根を使う。

雌雄共同でつくるが、雌のほうがより多く作業する。

しかし雄だけで巣づくりをすることもあり、この場合雄は外装だけで、その周りでしきりにさえずる(羽田・大原, 1973)。

おそらく雄は求愛用の巣をつくるのであろう。1巣卵数は5~8個、抱卵は初卵から始め、雌のみが行う(羽田・大原, 1973)。

雄は雌に給餌することがある。抱卵日数は14~16日。育雛は両親が行い、初期雛の抱雛は雌だけが行うため、雄のほうが多く餌を運ぶ。次

次第に雌の育雛も増えていく。雛は18日ぐらいで巣立つ(羽田・大原, 1977)。

雛への餌は鱗翅類の幼虫・蛹・成虫が多い。次いでチャタテムシ類、ザトウムシがある(羽田ほか, 1971)。

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鳴き声

チッ、チッまたはチリリ、チリリと金属性の鋭い声で地啼きする。

囀鳴時にはチチ、チチ、チイ、チイ、チイ。チチ、チイ、チイ、チイ、チイ、チイと早口に調子高く囀り、巣材を搬びながらも盛んに囀り、ディスプレイしながら囀り続ける。

ほかの鳥類の様に樹頂などにとまって囀らず、枝葉の間を彼方此方と活発に活動しつつ囀り続ける。囀鳴期は、5~6月である。

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特徴的な行動

繁殖期にはなわばり分散をする。

雄どうしのなわばり争いは冠羽を逆立て、尾羽を開閉し、翼を半開にしつつジージーと叫ぶディスプレイをする。

番の行動圏は約 7000 ㎡、その中のさえずり範囲は約 3200 ㎡(羽田・大原, 1973)。

冬はカラ類の混群に入っているが、キクイタダキどうしは雌雄1対ですごすことが多く、ときには雄どうしで境界争いすることもある。

樹上生活が主で、針葉樹にとまって枝葉の間をあちこちと潜りながら餌を探り求めることが多い。地上に下りることは比較的稀である。

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種・分類一覧