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カヤクグリ(Prunella rubida)の分類 イワヒバリ科(Prunellidae)
カヤクグリ(Prunella rubida)の概要 カヤクグリ属(Prunella)

カヤクグリ(Prunella rubida)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Prunella rubida (Temminck & Schlegel, 1845)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:11~12 mm
・翼長:雄 66-71 mm 雌 66~71 mm  
・跗蹠:20~22 mm
・尾長:53~60 mm
・卵:長径 18.5~21 mm×短径 13.8~15.5 mm 平均長径 19.4 mm×短径 14.5 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ

分布

旧北区。日本固有種。徳島県剣山、兵庫県氷ノ山および本州中部以北の亜高山帯以上の山地で繁殖し、冬は低山や暖地に移動する。

なお、エゾカヤクグリ(P. r. fervida)は、北海道の高山や南千島列島で繁殖する別亜種である。

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別名・方言名

タケサザイ、オオサザイ、カヤスズメ

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分類学的位置付け

スズメ目 イワヒバリ科

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形態

成鳥の形質

全身がほぼ暗褐色。背は赤褐色で黒褐色の縦斑がある。翼・尾の羽の外縁は赤褐色。

胸から腹は灰褐色。眼の下から耳羽にかけて黄白色の軸斑がある。足は黄褐色。

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幼鳥の形質

雛は肉食の裸体のままで、濃い鼠色の長くて豊富な初毛が眼の上、後頭、上膊、前膊、背、腿などの羽域に生えている。

口中は橙黄色で、舌の先端と左右には黒点がある。口角縁は紅白色である。

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卵の形質

卵はコバルト色で斑紋を欠く。

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生態

生息環境

夏鳥として、亜高山帯上部のオオシラビソ、コメツガの森林から高山帯のハイマツ林に生息する。

同属のイワヒバリの主な生息地が高山帯の岩場であるのに対して、カヤクグリはハイマツなどの高山の低木林が採食・繁殖の主要な場所である。

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食性

ハイマツ、オオシラビソなどの矮性低木林の枝間を移動しながら、昆虫や種子などの餌を探す。

ときには4~5羽の小群で、雪渓の上やお花畑を歩きながら昆虫や種子を食べることもある。

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ライフサイクル

繁殖期は6~9月、年に1回ないし2回繁殖する。5月初旬に繁殖地に渡来し、雌1羽、雄2羽からなる3羽の春期集合を形成するが、複数の春期集合が合流して、最大12羽の集合に発展する場合もある(松崎, 1985)。

雌だけが巣をつくる(松谷, 1985)。

ハイマツ、オオシラビソなどの低木の枝上に、コケ類を主な材料に枯れ草や小枝を交えて椀形につくる。

1巣卵数は2~4個、1日1卵ずつ早朝に産卵し、抱卵日数は13~14日、抱卵は雌だけが行うが、2個体以上の雄が低頻度ながらも訪巣し、抱卵中の雌に給餌することがある(松谷, 1985 : 松崎, 1991)。

育雛は雌雄共同で行い、育雛日数は13~14日(松崎, 1991)。

雌と交尾した雄か、あるいは雌が求愛した春期集合に中の1羽以上の雄が給餌協力するが、春期集合に加わらなかった雄も給餌協力することがある(松崎, 1991)。

基本的には一妻二夫と考えられる。

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鳴き声

4月下旬頃(乗鞍岳冷泉小屋附近 28/IV 1933 清棲確認)から7月頃の囀鳴期にはチイ―、チイ―、チイ―、チリチリ、チリチリと囀鳴し続けるが、渡来初期や渡去期近くにはチリチリ、チリチリ、またはヒリヒリ、ヒリヒリと鳴くだけである。

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特徴的な行動

雄は繁殖期を通して、腹部から 8 mm程度突出した円柱状の総排泄腔突起を形成する。

雌雄とも突起形成期間にさえずる。

繁殖期の分散様式は、1羽の雌の行動圏に3羽の雄の行動圏が重複したり、2羽の雌と2羽の雄が重複したりとかなり複雑である。

行動圏の広さは約 0.05 ha(松谷, 1985)。

非繁殖期は、低山や丘陵地の落葉樹林や林緑の藪で、単独あるいは小群で生活するが詳細は不明である。

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その他生態

春期集合の雄2羽の間には、お互いの身体をすり合わせ、背を伸ばしたり猫背になったりしながら相互につつき合う行動が見られ、この行動は、雄間の順位行動と交尾獲得のための雌に対する一種の誇示行動の可能性がある(松崎,1991 )。

交尾は、主に春期集会の雌雄間で観察される。雌は尾羽を水平に伸ばし、細かく振動させて求愛する。

このとき、雌の総排泄腔の腔唇部は赤色に肥大しているが、イワヒバリのように交尾期を通して赤色に肥大した突起を形成することはない。

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