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- センダイムシクイ(Phylloscopus coronatus)について

センダイムシクイ(Phylloscopus coronatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phylloscopus coronatus (Temminck & Schlegel, 1847)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:10~12 mm
・翼長:雄 59~67 mm 雌 57~64 mm
・跗蹠:17~19 mm
・尾長:雄 44~51 mm 雌 43~51 mm
・体重:7~12 g
・卵:長径 15~17.5 mm×短径 11.4~13 mm 平均長径 16 mm×短径 12.5 mm 重量 1~1.3 g
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ウスリーから朝鮮半島および日本にかけて繁殖し、マレー半島など東南アジアで越冬する。
近縁種にはアフガニスタン附近、ヒマラヤ、日本周辺で繁殖する4種(Sibley & Monroe,Jr., 1990)があり、日本には本種が夏鳥として渡来し、北海道から九州までの各地で繁殖するほか、イイジマムシクイが伊豆諸島に夏鳥として渡来し、繁殖する。
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- 別名・方言名
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囀りはチョチョビーと聞こえ、これを歌舞伎の先代萩から鶴喜代姫君と聞きなしたとか、チョチョという囀りからチヨムシクイと呼ばれ、千代虫喰が誤読されてセンダイムシクイとなったという説がある。
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形態
- 成鳥の形質
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雄雌同色。額、頭上、後頭は灰色を帯びた暗緑色で、頭上の中央には黄色または灰緑色の不明瞭な頭央線がある。
額側から後頸まで明瞭な黄白色の細い眉斑があり、眼先から耳羽の上方まで灰緑色の過眼線がある。
耳羽、頬、喉の両側は淡灰色を帯びた乳白色である。
腮、喉、胸、腹、脇は乳白色で、上胸はやや淡灰色を帯び、腹の中央はやや淡黄色を帯び、脇は淡灰緑色を帯びている。
後頸、背、肩羽、腰、上尾筒は緑色で、後頸、背、肩羽は灰色を帯びている。
下尾筒、下雨覆、腋羽は硫黄様の淡黄色である。
翼は暗褐色で、初列風切、次列風切、三列風切には黄緑色の外縁があり、大雨覆、中雨覆も同様である。
大雨覆の羽端には緑白色の細い縁がある。小雨覆、初列雨覆、小翼羽などの羽縁は黄緑色である。
尾は暗褐色で、羽縁は緑色である。羽換したときには羽端に細い白色の縁がある。
嘴色は暗褐色、下嘴は淡黄色。虹彩は褐色、脚色は褐色、脛羽は淡黄色。
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- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は黄肉色の裸体のままで、眼の上、後頭、上膊などの羽域に淡灰色の初毛が生えている。
口中は黄色、嘴縁は淡黄色。
【幼鳥】
頭上は成鳥のものより遥かに淡い暗オリーヴ緑色で、頭央線は後頭部にのみ存在し、とても不鮮明である。
背以下の背面は成鳥とほとんど同じ。尾と翼は成鳥のものと同様だが、成鳥よりも緑色味が鮮やかである。
眉斑はややオリーヴ色を帯びており、過眼線はオリーヴ緑色なので、顔の諸線は成鳥ほど鮮やかではない。
下面は成鳥より黄色を帯びた白色、下尾筒は淡黄色。この羽衣のものの上嘴は淡褐色、下嘴は淡黄色。
【第1回冬羽】
幼鳥は7~8月に体羽のみを換羽して第1回冬羽となる。新たに生じた羽は成鳥冬羽とほぼ同じ。
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生態
- 生息環境
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本邦には夏鳥として渡来し、主に低山帯の落葉広葉樹林に生息する。
亜高山帯より標高の低い山地を好むが、北海道では平地のミズナラ林などにふつうに生息する。
本州ではなだらかな林より、傾斜のある林を好み、山地の谷間や沢筋に多い。
落葉広葉樹林でも林床に低木や藪の多いところを好む。渡りの時期には、平野部でも見られる
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- 食性
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樹上で餌を求めることが多く、水を飲むとき以外、地上に下りて餌を漁ることはまれである。
体を水平にして、枝から枝へと移動しながら、葉や枝についている昆虫を捕えたり、枝から葉の裏側を見上げるようにして探索し、見つけた虫に飛びついたりする。
鞘翅類、膜翅類や双翅類などの昆虫の幼虫・成虫を主食にする。
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- 鳴き声
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シチ、ピー、シチ、ピーまたはシッチピ、ジー、シッチピ、ジーまたはチョチョ、ジー、チチブ、ジュゥイー、チチブ、ジュゥイーなどと高らかな声で囀り、ときにはピョ、ピョ、ピョ、ピッチピ、ジーまたはフィチ、フィチ、フィチまたはピチ、チピ、ピチ、ジュゥイーなどと前句をつけて囀ることもある。
フィ、フィ、フィと地啼きする。囀鳴期は4月から7月頃までで、その頃には朝早くから日暮れ近くまで絶えず囀り続ける。朝は早暁から囀る。
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- 特徴的な行動
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産卵期は5~6月、草の根元や崖の窪みに、枯れ葉、樹皮、イネ科の茎、コケ類などで、横に出入口のある球形の巣をつくる。
産座には、菌糸束や獣毛、羽毛を使う。巣場所は斜面のある崖地を好む。
1巣卵数は4~6個(清棲, 1978)、卵は純白色で斑紋を欠き、ツツドリが分布している地域ではしばしば托卵の仮親に選ばれる。
抱卵日数は約13日。孵化した雛は数日間雌雄交替で抱雛され、孵化後14日ぐらいで巣立つ(清棲, 1978)。
常に林の中で生活し、さえずる場合でも広葉樹も茂みの中などに限られ、目立つ場所に出てこないため姿を見るのは難しく、繁殖期の生態および配偶システムについては不明な点が多い。
アフガニスタンで繁殖する近縁のニシセンダイムシクイ(P. occipitalis)は一夫一妻で繁殖し、番は平均 0.1 haのなわばりを構えて分散する(Roberts, 1992)。
巣は草の根元やネズミの穴を利用して地上につくることが多いが、まれに樹洞を利用することもある(Roberts, 1992)。
巣材の運搬は雌雄とも行うが、実際に巣をつくるのは主に雌で、センダイムシクイ同様、横に出入口のある球形の巣をつくる。
1巣卵数は3~4個、雌雄共同で雛に餌を運んだり、巣から糞を運び出す(Roberts, 1992)。
抱卵も雌雄協力して行う。まれに年2回繁殖する。
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最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- その他生態
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雄雌または単独で生活し、群れることはない。
樹上で餌を捜し求めることが多く、地上に降りて餌を漁ることは稀である。
体を絶えず活発に動かして、樹梢の間や灌木の茂みの中などをあちこちと敏捷に活動する。
翼を羽搏いて迅速に飛翔するが、高空や長距離を飛翔することは稀で、枝から枝に移って行くことが多い。繁殖期にはある領域を占有する。
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最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ