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- ヒガラ(Periparus ater)について

ヒガラ(Periparus ater)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Periparus ater (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:8~9.5 mm
・翼長:55~65 mm
・跗蹠:14~16.5 mm
・尾長:42~48.5 mm
・体重:7 g位
・卵:長径 14~16.8 mm×短径 10.5~12.7 mm 平均長径 15.3 mm×短径 11.7 mm 重量 0.94~1.2 g
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方に分布する。
日本では北海道から本州、四国、九州の屋久島にかけて繁殖する。留鳥または地方によっては冬に低地に移動する漂鳥で、個体数は多い。
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形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。額、頭上、後頭、後頸、眼先、眼の後方、腮、喉は金属光沢のある藍黒色、喉の各羽端は白色である。
後頸の中央には白色の斑がある。頭上の羽毛は長くて羽冠をなし、最長のものは 15 ㎜くらいである。
眼の下、耳羽、喉の両側は白色、背、肩羽は灰鼠色で、背は青味を帯びている。
胸はクリーム色を帯びた白色、腹、腋、下尾筒はクリーム色、腰、上尾筒はクリーム色を帯びた青灰色で、上尾筒の先端の部分は青灰色である。
風切羽は石盤褐色で、初列風切の内弁の縁は汚白色、外弁には銀光沢のある淡青色の細い縁があり、次列風切も同様であるが、各羽縁には白斑がある。
三列風切は次列風切と同様で、内弁には縁がない。
大、中雨覆は石盤褐色で、外縁は青色、羽端には白斑があり、ときには白斑がクリーム色を帯びているものもある。
小雨覆は灰青色、初列雨覆、小翼羽は石盤褐色で、灰青色の細い縁がある。
尾は石盤褐色で、外縁は灰青色である。下雨覆、腋羽はクリーム白色。嘴色は黒褐色、虹彩は暗褐色、脚色は青灰色。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低山帯の上部から亜高山帯の樹林で繁殖し、冬は低地のマツやスギなどの針葉樹林に下りてくる。
亜高山針葉樹林に多く、とくにコメツガ林を好む。低山帯の針広混交林やブナ林の上部でも繁殖する。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 食性
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樹木の小枝や葉の多い樹冠部で採食し、針葉や小枝に止まり、しばしば逆さになって、針葉の隙間や小枝の叉などに隠れている虫を見つけ出してついばむ。
冬は枝や幹の割れ目に細いくちばしを入れてとり出す。
雛への餌は鱗翅類の幼虫やクモ類が圧倒的に多い。
木の冬芽や未熟なマツカサの中に、くちばしを突き刺して虫をとり出すこともできる。
また、ササの葉に潜っている虫をほじくり出すこともする。
主として昆虫食で、クモ類なども食べ、また針葉樹の種子やブナの種子なども食べる。
マツカサの鱗片の間にくちばしを入れてとり出し、これを枝の上へもっていき、足指で押さえて種子だけ抜きとる。
針葉樹の種子が豊産の場所が見つかると、多数のヒガラが集まり、その周辺の樹木の幹や大枝、枯れ枝、あるいは小枝の叉や針葉の隙間などに種子を隠す貯蔵の習性がある(中村, 1970)。
コガラの貯食性は毎年安定して行われるが、ヒガラの場合は樹木の種子産額のちがいに左右され、年によって著しく変化する(中村, 1970)。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は洞穴借用型で、樹洞やキツツキの古巣などを利用する。
雄は独特のサブソングをしながら、巣穴の前で翼をふるわせるディスプレイを行う。
巣づくりは雌だけが行い、獣毛や羽毛で内装だけをつくるが、この時期には雄は雌につききりである。
1巣卵数は5~8個、抱卵は雌だけが行い、雄は雌に給餌する(堀内, 1975)。
雛は14~15日ぐらいで孵化し、雛の抱雛は大部分を雌が行う。雛への給餌は両親が行い、15~16日ぐらいで巣立つ。
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- 鳴き声
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チイ、チイ、チイ、ピー、チイ、チイ、チイ、ピーと地啼きする。
囀鳴時にはヒチピ、ヒチピ、ヒチピ、ヒチピ、シチピ、シチピ、シチピ、シチピまたはチョキン、チョキン、チョキン、チョキンと澄んだ声で、早口に繰り返し繰り返し囀り続ける。
囀鳴期は4月から8月までであるが、10月頃でも時折り囀り、四十雀科の鳥では最も長期にわたって囀る鳥である。
朝は早暁(午前4時18分 富士山麓山中湖畔 6/VI 1937 清棲調査)から囀る。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期にはなわばり分散をする。雄は盛んにさえずるが、境界争いの前後に急ピッチになる。
争いの叫び声があり、激しく追い回したり、実際の戦いをする。
なわばりの広さは約 4 haぐらいだが、冬にとどまるものでは行動圏は少し広くなり、約 8 haぐらいになる(中村, 1975)。
気候が悪化すると、隣どうしが集まって群れになり、行動圏は 13 haぐらいに広がり、漂行してきた個体が多くなると、もっと大きい群れになる。
カラマツやマツの種子が豊産のときや、アブラムシの大発生が起こったりすると、群れはさらに大きくなり100羽余にさえなる。
冬のヒガラの分散状態は、番の行動圏から、群れ、大群へと状況に応じて変化する。またカラ類の混群にも入る。
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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ