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- サンショウクイ(Pericrocotus divaricatus)について

サンショウクイ(Pericrocotus divaricatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Pericrocotus divaricatus (Raffles, 1822)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:12~13 mm
・翼長:94~100 mm
・跗蹠:15~16 mm
・尾長:88~101 mm
・体重:20~22 g
・卵:長径 20~21 mm×短径 15.5~15.8 mm 平均長径 21 mm×短径 15.8 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。ウスリーから朝鮮半島、日本で繁殖し、冬は東南アジアや中国南部に渡って越冬する。
日本には夏鳥として北海道を除き本州から西表島まで生息が確認されているが、個体数はあまり多くない。
本種はサンショウクイ科のなかで長距離移動する唯一の種である。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雌雄ほぼ同色。2亜種がおり、サンショウクイ P. d. divaricatus の雄は額・前頭・下面・外側尾羽が白色、後頭・後頸・過眼線・翼・中央尾羽が黒色、背から上尾筒が青灰色、雌の額は小さく白色、上面が灰色。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、眼の上、後頭、上膊、前膊、背、腹、腿、脛などの羽域に白色の初毛が密生する。
口中は黄色、口角の縁は淡黄色である。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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主に標高 1,000 m以下の山地、丘陵、平地の高い木のある広葉樹林に多い。
以前は市街地の社寺林にも生息していたというが、都市化の進行とともに平地から姿を消した鳥のひとつである。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- 食性
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地上にはほとんど下りない樹上性の鳥だが、木の葉が出ていない渡来初期には、地上に下りて餌を探すこともある(岡本, 1976)。
採食方法はヒタキ類とよく似た飛びつき型だが、樹冠部の葉や小枝が茂る下側で、ホバリングしながら虫や網にいるクモをとったり、木の枝先で昆虫やクモを捕える(中村, 1988)。
また、空中を飛ぶ昆虫に向かってフライングキャッチして捕食する。
雛にも鱗翅類の幼虫やクモを多く与える(岡本, 1976)。
樹冠の真下で、ヒラヒラと舞っているように採食するのがサンショウクイのごくふつうの採食形態である(中村, 1988)。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、年に1回の繁殖がふつうと思われる。
一夫一妻。ハンノキ、ハルニレなどの高木の上部の枝の上に浅い椀形の巣をつくる。
巣の内装は樹皮や細枝などを用い、外装はウメノキゴケをクモの巣で貼りつけてつくるので、下から見るとちょうど木のこぶのように見える。
巣づくりは雌雄共同で行う(岡本, 1976)。
1巣卵数は4~5個、1日1卵づつ産卵し、抱卵は雌だけが行い、雄は抱卵中の雌に給餌する(岡本, 1976)。
抱卵日数は17~18日。育雛は雌雄とも行い、雛は約14日で巣立つ(岡本, 1976)。
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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ