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ニュウナイスズメ(Passer rutilans)の分類 スズメ科(Passeridae)
ニュウナイスズメ(Passer rutilans)の概要 スズメ属(Passer)

ニュウナイスズメ(Passer rutilans)

【 学名 】
Passer rutilans (Temminck, 1836)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:10~12 mm
・翼長:67~75 mm
・跗蹠:16~18 mm
・尾長:41~49 mm
・体重:17~19.5 g
・卵:長径 7.7~20.2 mm × 短径 13.8~14.7 mm 重量 3.1 g位

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ニュウナイスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 41-43.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区。ユーラシア大陸東南部の中国東部からタイ北部、ミャンマーを経て、ヒマラヤ山地に分布する。

日本では北海道と本州中部以北の日本海側で繁殖し、冬は中部以南にわたる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ニュウナイスズメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 115.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

別名・方言名

英名では Cinna-mon Sparrow ともいう。

参考文献

  • 吉井正 2005 ニュウナイスズメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 357.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 スズメ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ニュウナイスズメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 357.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

人間との関係

秋に大群で米、粟、稗を食害するため、駆逐されることもある。

参考文献

  • 吉井正 2005 ニュウナイスズメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 357.
  • 山階芳麿 1980 ニュウナイスズメ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 83-86.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、後頸は赤栗色で、眼の前後には黒色の短い過眼線がある。

耳羽、頬は白色、腮と喉の中央は黒色で、各羽縁は白色である。

肩羽、背、腰、上尾筒は赤栗色で、肩羽と背の各羽には黒色の太い軸斑があり、羽縁には淡褐色の細い縁がある。

上尾筒の先端の部分の各羽は茶褐色である。

腮と喉の側部、胸、腹、脇は白色で、胸は淡灰黄褐色を帯び、脇は淡黄褐色を帯びている。

下尾筒は淡黄褐色を帯びた白色で、各羽には淡褐色の軸斑がある。

風切羽は黒褐色で、初列風切と次列風切には淡黄褐色の細い縁があり、三列風切には同色の幅の広い縁がある。

大、中雨覆は黒褐色で、大雨覆には淡黄褐色の縁があり、中雨覆の各羽端にも同色の斑がある。

小翼羽、初列雨覆は黒褐色。尾は黒褐色で、淡黄褐色の細い縁がある。

下雨覆と腋羽はクリーム白色である。嘴色は褐色、虹彩は赤褐色、脚色は赤褐色。

【雌】
額、頭上、後頭、後頸、耳羽は灰褐色、眼の前後には黒褐色の過眼線があり、眼の上にはクリーム色の眉斑がある。

頬、腮、喉は淡黄褐色、肩羽、背は灰褐色で、各羽には黒色の太い軸斑があり、胸は淡黄褐色である。

腰、上尾筒は褐色で、腰は赤味が強い。小雨覆は褐色である。ほかは雄と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ニュウナイスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 41-43.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は、淡青色または白色の地に暗褐色と灰色との粗大な斑点が散在するものと、暗褐色の微細な斑点が密在するものがあり、斑点は鈍端のほうに密在するのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ニュウナイスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 41-43.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

生態

生息環境

低山帯の落葉広葉樹林から亜高山帯の針広混交林にすむ。比較的開けた明るい樹林で、大きい樹木のあるところを好む。

本州の多雪地帯では山間の集落に入っていることもあり、人家や電柱などで繁殖する。

知床地方では海岸の集落にもすみ込んでいる。非繁殖期には低地や山間の水田でみられる。

ブナ原生林では、林緑や林内の空地などの枯れ木のあるところを中心にすんでいる、大きい樹木が点々と残された牧場でも見られる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ニュウナイスズメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 115.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

食性

樹上の樹冠部や地上で採食する。繁殖期には樹上で昆虫などを盛んにとるが、基本的にはイネ科などの雑草の種子食である。

地面が露出しているような雑草地の地上で、落ちている種子をついばむ。

冬から春にかけては、もっぱら種子の拾い屋であるが、夏の終わりから秋にかけては、イネ科の未熟な種子などをくちばしでくわえて押しつぶし、胚乳を盛んに食べるので、イネの実り直前の種子に大害をもたらす。

大群が地上で落穂などを拾い食いするときは、いわゆるローラー型採食をする。

地上で並列して前進し、後になったものから次々に前の方へ飛んでは下りるので、この群れ行動を遠くから見ると、ローラーが回転して前進するように見える。

夏は昆虫類を食す。

参考文献

  • 中村登流 1995 ニュウナイスズメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 115.
  • 清棲幸保 1955 ニュウナイスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 41-43.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は樹洞の中につくり、雌雄共同で枯れ草などの巣材を運び込む。

樹洞は自然洞やキツツキ類の古巣を使うが、しばしばコゲラやコガラがつくった巣穴を奪い取って使ったりする。また大いに巣箱を利用する。

このように、自分で掘ることはしない洞穴借用型の巣である。内装には、細い根、獣毛、羽毛、草の穂などを敷く。

雄が雌に洞穴を紹介するために樹洞に飛びついて見せたり、穴から覗いて見せたり、樹洞の上や近くで首や尾羽を上げ、上下にゆらすディスプレイをする。

1巣卵数は5~7個、雌雄交替で抱卵するが、雌の方が多く抱卵し、夜間は雌だけが行う(熊谷, 1976)。

雛は約13日ぐらいで孵化し、両親によって養われ、約16日ぐらいで巣立つ。

初めのころの抱雛は雌雄交替で行うが、夜間は雌だけが行う(熊谷, 1976)。

参考文献

  • 中村登流 1995 ニュウナイスズメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 115.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

鳴き声

ヒー、チョ、チョ、ヒー、チョチョチョチョと細く優しい声でなく。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ニュウナイスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 41-43.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期はルーズコロニーで、樹洞さえあれば、例えば巣箱を設置したりすると、かなりの高密度になる。

雄の防衛は樹洞を中心にした狭い範囲である。なわばり分散は巣穴の周辺だけである。交尾は巣穴の近くで行われる(熊谷, 1976)。

雄どうしの対立のディスプレイはスズメとよく似ている。

雄は直径 20 mぐらいの範囲を防衛し、その中に2~3の樹洞や巣箱を占有している。

この樹洞の上方の高いところでさえずり、雌が近くにくると、激しくコーリングして雌を占有樹洞へ引きつけようとする。

採食地はなわばり外にある。非繁殖期には群れ生活をしており、群れは10~100羽ぐらいになる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ニュウナイスズメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 115.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

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