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チゴモズ(Lanius tigrinus)の分類 モズ科(Laniidae)
チゴモズ(Lanius tigrinus)の概要 モズ属(Lanius)

チゴモズ(Lanius tigrinus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

絶滅危惧IA類 (CR)

【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

【 学名 】
Lanius tigrinus Drapiez, 1828

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:15~16 mm
・翼長:82~90 mm
・跗蹠:21~25 mm
・尾長:69~81 mm
・卵:長径 20.5~24.7 mm×短径 16.2~18.8 mm 平均長径 22.8 mm×短径 17.2 mm 重量 3.4~3.5 g位

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

分布

旧北区。中国東北部から朝鮮半島、日本にかけて繁殖し、冬は南下して、東南アジア、ボルネオ島、ジャワ島、スマトラ島などで越冬する。

日本には夏鳥として5月中旬ごろ渡来し、主に本州中部から東北地方にかけて繁殖するが、繁殖分布は局地的で個体数も少ない。

北海道では繁殖記録がないが、ウトナイ湖周辺ではアカモズとの異種間番による巣づくりと求愛給餌が観察されている(大畑, 1991)。

繁殖分布を県別で見ると新潟県に多い(環境庁, 1981)。

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別名・方言名

モズタカ、タカモズ、トラモズ

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分類学的位置付け

スズメ目 モズ科

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形態

成鳥の形質

頭は青灰色、背から上尾筒は赤褐色で黒色の横斑があり、翼と尾は褐色で淡い横斑がある。

過眼線は黒く、喉・頬・下面は白い。雌は過眼線が不鮮明で、側胸・脇に黒褐色の横斑があるものが多い。嘴はほかのモズに比べて太い。

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幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉食の裸体のままで初毛を欠く。

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卵の形質

卵は淡青緑色の地に淡褐色またはオリーブ褐色と淡紫色の斑点が散在するものがあり、斑点は鈍端の方に密在するのが常である。

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生態

生息環境

モズやアカモズに比べて、より林内に生息する傾向が強い。

スギ林やシイ、カシの林などの暗い林よりは、アカマツ林や雑木林などの明るい林を好んで繁殖地にする。

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食性

モズやアカモズと同様、ゴミムシなどの鞘翅類の昆虫、ミミズはもとよりカエルやヘビなどの両生・爬虫類、鳥類、モグラやネズミなどの小哺乳類も食べる。

捕食方法には①地上の昆虫を捕える飛び下り型、②土中のミミズや草むらの昆虫を捕らえるほじくり物色型、③小鳥を捕える襲撃捕食型、④トンボなどの空中を飛ぶ小昆虫を捕らえるフライングキャッチ型などがあるが、とくに木の枝から飛翔する昆虫を捕えるフライングキャッチ法を多用する。

モズと同様、尖った小枝や針金などに食物を突きさす早贄の習性がある。

不消化物をペリットとして吐き出す。

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ライフサイクル

繁殖期は5月下旬から7月まで、本州中部では年に1回の繁殖がふつうと思われ、一夫一妻で繁殖する。

巣づくりは雌雄とも行うが、外装巣材の運搬は、雄が雌の倍以上行うのに対して、雌は主に内装と産座をつくる(宇都宮, 1976)。

サクラ、ケヤキ、ズミなどの低木の茂みの中、まれにモミ、カラマツの 20 mぐらいの高所の枝の上に営巣し、樹皮、小枝、枯れ草やビニールの紐を用いて椀形につくる。

1巣卵数は3~6個、1日1卵ずつ産卵し、抱卵日数は14~15日、雌だけが抱卵し、雄は抱卵中の雌に給餌する(宇都宮, 1976)。

育雛日数は約15日、雌雄とも雛に給餌を行う。

巣立ち後9日目に、繁殖なわばりを離れて家族群で移動する(宇都宮, 1976)。

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鳴き声

ギョッ、ギョッまたはキューツ、キューツ、ギチ、ギチ、ギチ、ギチと濁った小声で連続的に啼き、ギチ、ギチ、ギチと特徴ある独特の声で啼く。

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特徴的な行動

なわばり形成期には、雄はなわばり周縁部の高い樹木の頂で、ギョッ、ギョッ、またはギチ、ギチと濁った声で連続的に鳴きながら、頂から頂へと飛び回り、なわばりを宣言する。

遅れて渡来した雄が、なわばりを形成した雄とどのように番になるかは不明だが、モズと同様に雌の定着にともない求愛ダンスが見られ、このダンスの際の鳴き声の中に、ほかの鳥の鳴きまねが挿入されることがある。

番の形成後、雄は雌に対して求愛給餌を行う。

求愛給餌は巣が完成に近づくにつれて頻繁になり、雄は雌に給餌した後、樹上で交尾する(宇都宮, 1976)。

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