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- カケス(Garrulus glandarius)について

カケス(Garrulus glandarius)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Garrulus glandarius (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:27~34 mm
・嘴高:11~12.5 mm
・翼長:159~180 mm
・跗蹠:35~41 mm
・尾長:127~159 mm
・体重:122~147 g
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中・低緯度地方、中央部の高地、砂漠地帯をとり巻くように分布する。
日本では北海道、本州、四国、九州、屋久島までに留鳥として繁殖し、ふつうに見られる鳥である。
参考文献
- 中村登流 1995 カケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 114.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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北海道・南千島の亜種ミヤマカケス G. g. brandtii は頭上が赤栗色で黒い縦斑があり、背は灰色。
本州以南の亜種群は頭上が白色で黒い縦斑があり、背は褐色で、本州・四国・九州ほかのカケス G. g. japonicus 、佐渡のサドカケス G. g. tokugawae 、屋久島のヤクシマカケス G. g. orii に分けられる。
参考文献
- 吉井正 2005 カケス, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 126.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。額、頭上は白色で、各羽には黒色の軸斑があり、頭上の羽は長くて羽冠をなしている。
後頭は白色で、各羽には黒色の軸斑がある。
後頭の後端はブドウ色で、各羽には黒色の軸斑があり、ときには藍色の淡い横縞が数条あるものもある。
眼先、頬は黒色、耳羽はブドウ色で、眼の下部は黒色を帯びている。
腮と喉は白色。頸、背、肩羽、腰はブドウ色で、頸はやや灰色を帯び、背と肩羽は暗褐色を帯び、腰は紅色を帯びている。
胸、脇、腹は淡ブドウ色を帯びた淡栗色で、胸はやや灰色を、脇と腹は紅色を帯び、腹の中央と上尾筒、下尾筒は白色である。
風切羽は黒褐色で、初列風切の外弁の前半部は白色である。
次列風切の外弁は基部に黒色、藍色、白色の順になる横縞が数条あり、それから先は白色で、羽端は黒色である。
三列風切は黒褐色でビロード様の光沢があり、最内側のものの内弁は栗色である。
大雨覆、初列雨覆、小翼羽には黒色、藍色、白色の順になる横縞が数条ある。
中、小雨覆はやや灰色を帯びたブドウ色で、中雨覆には濃栗色の横縞が数条ある。
下雨覆と腋羽は紅色を帯びた色。尾は黒褐色でビロード様光沢がある。
嘴毛は白色で先端は黒色、嘴色は黒色を帯びた角色、虹彩は乳白色、脚色は淡褐色、脛羽は白色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【幼鳥】
成鳥に似るが頭上は灰色で、不鮮明な黒色軸斑がある。背および小雨覆の羽毛の先は褐色を帯びている。
下面は成鳥より淡い。孵化直後の雛は暗肉色の裸体のままで、初毛を欠いている。
口内は淡紅色で、口角縁は紅白色である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
- 山階芳麿 1980 カケス, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 46-47.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は青緑色で、淡褐色の微細な斑点が散在する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低山帯の雑木林、マツ林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、亜高山帯の針広混交林など、いろいろなタイプの樹林にすむ。
とくに、シイ、カシ、ナラ類の林を好む。林緑の農耕地、果樹園、樹林の多い公園や集落に現れることもある。
参考文献
- 中村登流 1995 カケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 114.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 食性
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樹林内の樹上や地上で採食する。雑食性で、昆虫、クモ類、小型の脊椎動物、果実、種子、木の芽などを食べる。
しばしば小鳥の巣を襲って卵や雛をとるので、樹林の鳥にとっては脅威の捕食者であり、被害も大きい。
ナラ類のどんぐりをことのほか好み、秋には豊作の樹冠に集まり、どんぐりをくわえとる。
これを枝の上で足指で押さえ、くちばしでかんだりむしったりして、中身をとり出して食べる。
くちばしを使って、例えば枯れ枝の樹皮をくわえてはぎとったり、割れ目に差し込み、くちばしを開くようにしてこじあけることなどもできる。
足指や首の力も加えた、破壊力のあるくちばしである。
どんぐりを貯える性質があり、3~7個ぐらいを呑み込み、一時的に食道の袋に入れて運ぶ。
このとき、必ず1個をくちばしの先にくわえている。
危険を感じると、これも呑み込むが、再び吐きもどしてくわえて運ぶ。
自分の地域へ運んでくると、地上へもどして1個ずつ地中へ埋め込み、蓋をして貯える。
そのほとんどを冬から春にかけて、食物として利用する。
参考文献
- 中村登流 1995 カケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 114.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は4~6月、一夫一妻で繁殖する。巣を樹上の高所の幹近くの枝の上につくる。
雌雄共同で、小枝、木の根、蘚類、泥などで外装を、細い根、広葉などで内装をつくる。
1巣卵数は4~8個で、ふつうは5卵、雌のみが抱卵し、雄は雌に餌を運ぶ。
雛は16~20日くらいで孵化し、17~20日ぐらいで巣立つ。
雛は初めは雌の抱雛を受け、この間は雄が餌を運ぶ。後には雌雄が餌を運ぶ。
参考文献
- 中村登流 1995 カケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 114.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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ギャー、ギャーまたはジャー、ジャー、あるいはグァー、グワーと喧しく啼き、特に警戒時には互いに烈しく啼きたてるのが常である。
ときには細い声でピュー、ピューとやや口笛に似た声で啼くこともある。
巣の中の雛を呼ぶときには細く優しい声でヒュー、ヒューと啼く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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翼をやや間を置いて緩慢に羽搏いて飛翔し、全体として波形を描いて飛ぶ。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 23-26.
最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ