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コマドリ(Erithacus akahige)の分類 ヒタキ科(Muscicapidae)
コマドリ(Erithacus akahige)の概要 ヨーロッパコマドリ属(Erithacus)

コマドリ(Erithacus akahige)

【 学名 】
Erithacus akahige (Temminck, 1835)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:11~15 mm
・翼長:雄 70~79 mm 雌 70~76 mm
・跗蹠:27~31 mm
・体重:17~25 g
・卵:長径 20.5~23 mm×短径 14.2~17 mm 平均長径 21.1 mm×短径 15.6 mm 重量 3.5 g位

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 316-317.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸極東部サハリンと日本列島で繁殖し、冬は中国南部に渡ってすごす。

日本では北海道、本州、四国、九州、屋久島に夏鳥として分布する。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

和名の解説

ヒンカラカラとウマのいななきを連想されることからコマドリの名がつけられた。

参考文献

  • 吉井正 2005 コマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 234.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

亜種・品種

伊豆諸島で繁殖し、冬は種子島へ渡る亜種をタネコマドリ E. a. tanensis と呼ぶ。

参考文献

  • 吉井正 2005 コマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 234.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ヒタキ科 ツグミ亜科

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

人間との関係

奈良県、愛媛県の県鳥。

参考文献

  • 吉井正 2005 コマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 234.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額は褐色を帯びた赤錆色、頭上、後頭、後頸は赤錆色を帯びた暗褐色である。

眼先、眼の周囲、耳羽、腮、喉、頸側は濃赤錆色で、喉と胸の灰鼠色との境には黒色の幅の狭い明瞭な帯がある。

背、肩羽、腰は赤錆色を帯びた暗褐色、上尾筒は赤錆色を帯びたオリーヴ褐色である。

腹の中央は白く、脇はオリーヴ褐色を帯びた灰鼠色である。

下尾筒は白色であるが、稀に褐色を帯びた灰色のものもある。

翼は暗褐色で、初列風切、次列風切、三列風切、大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽には赤錆色の羽縁がある。

下雨覆、腋羽は灰鼠色で、各羽縁は赤錆色である。尾は暗褐色で、全体に赤錆色を帯び、羽縁は暗色である。

嘴色は黒色の角色、虹彩は褐色、脚色は褐色、脛羽はオリーヴ褐色。

【雌】
額、頭上、後頭、後頸は赤錆色が少なく、オリーヴ褐色勝ちである。

眼先、眼の周囲、耳羽、腮、喉は黄褐色を帯びた赤錆色である。

背、肩羽、腰、上尾筒は赤錆色が少なく、オリーヴ褐色勝ちである。

胸はオリーヴ褐色勝ちで、やや灰黒色を帯び、脇もオリーヴ褐色勝ちである。

腋羽の縁は雄よりも淡色である。ほかは雄と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 316-317.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、煤けた黒色の長い初毛が眼の上、後頭、上膊、背などの羽域に生えている。

口中は黄色、口角縁は黄白色である。

孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、煤けた黒色の長い初毛が眼の上、後頭、背などの羽域に生えている。

口内は黄色、口角縁は黄白色である。

【幼鳥】
頭上から背・形・腰にわたっては暗褐色で、各羽には赭バフ色の中央斑があり、上尾筒は暗褐色で、鏽色の軸斑を有する。

尾は雌成鳥のものとほとんど等しく暗鏽栗色。

風切・初列雨覆・大雨覆は雌成鳥と同様だが、三列風切と大雨覆の先端には鏽バフ色の小斑がある。

中雨覆はオリーブ褐色で、先に広い赭バフ色斑があり、小雨覆は背と同色である。

顔および喉は淡赭バフ色で、各羽は暗褐色の縁を有し、胸および脇は汚バフ色で、暗褐色の縁を有する。

腹と下尾筒はバフ色を帯びた白色。嘴は暗褐色で、基部は黄色を帯び、脚は肉灰色である。

【第1回冬羽】
幼鳥は8月末から9月にわたって体羽全部・小雨覆・中雨覆・肉側数枚の大雨覆を換羽して第1回冬羽となる。

この羽衣の雄は雄成鳥に似るが、前額から背を経て腰に至る全背面は成鳥よりも鏽色が少なくオリーブ色に富み、雄成鳥と雌成鳥との中間の色調である。

また顔・腮・喉は帯黄鏽色で、胸と脇は帯バフ灰色である。

また翼の換羽しない部分と尾は幼鳥のままであるから、外側大雨覆と三列風切の先には鏽バフ色の小斑がある。

雌の幼鳥は、新たに生えてきた羽毛は雌成鳥とほとんど同じであるが、顔と喉はやや淡く、また脇はバフ色で、各羽は暗灰色の縁を有する。

三列風切と外側大雨覆の先には、雄の場合と同じく鏽バフ色の小斑がある。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋の全身の換羽で成鳥冬羽となる。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 316-317.
  • 山階芳麿 1980 コマドリ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 334-337.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は緑青色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 316-317.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

生態

生息環境

亜高山帯の針葉樹林、低山帯上部の落葉広葉樹林、針広混交林で繁殖し、渡り期には低山帯にも現れる。

山地の奥の急斜面や小さい流れの多い沢筋の樹林に多く、コケむした巨岩が折り重なるところや、巨木の根があらわとなり根の間に奥深い穴が多数あるようなところを好む。

9月から10月上旬にいなくなる。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

食性

コケが生えた地上を軽々とはねて虫を探し、地面から踏み切って急襲する。

空間を利用して飛びつく方法で採食する。

また、低木や藪などの下枝に止まり、ここから踏み切って地表面やコケの上に飛びつく方法も盛んに行う。

このような方法で虫を捕えるため、行動は敏捷で、止まっているときでも尾羽を絶えず上下にゆすり、すばやい動きにいつも備えている。

昆虫、クモ類、ミミズなどを食べ、またミヤマシグレなどの小果実も食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は6~8月、一夫一妻で繁殖する。5月ごろから渡り途上でさえずっていく。

巣は岩石や倒木の多い薄暗い地上を選び、岩の上に立つ巨木の根株の下や倒木の根の間、あるいは倒木の下など見えにくいところの地面の窪みに、椀形につくる。

外装にはコケ類やシダ、ササやダケカンバなどの枯れ葉、枯れ枝を使い、内装にはシダ類の仮根などを使う。

雌だけで巣をつくり、雄は行わない(羽田・工藤. 1976)。

1巣卵数は4~5個、抱卵は雌のみが行い、雄は1日に2~4回巣を訪れるが、抱卵はせず、雌への給餌もしない。

約15日ぐらいで雛が孵化する(羽田・工藤. 1976)。初期の雛の抱擁は雌のみが行い、雛への給餌は両親で行う(羽田・工藤. 1976)。

雛は14~15日ぐらいで巣立つ(Nechaev. 1985)。同じ繁殖期に第2繁殖をするものがある。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

鳴き声

ツン、ツン、ツン、ツン、ツン、チン、カラララララララーと鈴の様な音で囀る。

囀鳴期は4月から8月頃までである。ピッ、ピッ、ピッと金属性の声で地啼きする。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 316-317.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

特徴的な行動

なわばり行動の雄どうしの脅しのディスプレイは、胸を反らしてオレンジ色の喉や胸を誇示し、尾羽を開いて上下させ、カッカッと叫び交わし、ときどきツルルルルと発声する。

雄の求愛のディスプレイは尾羽を扇形に開いて上下し、頭を低くして雌に向け、小声でツルルルルと発生する。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

関連情報

その他

繁殖期には強いなわばり分散をする。なわばりの広さは 50×100 mぐらい(Nechaev. 1985)、または、200×400 mぐらい(羽田・工藤. 1976)である。

繁殖期間をとおして雄は盛んにさえずり、その頻度は、1日では朝に高く、季節的には育雛期に低く、その両側で高い(羽田・工藤. 1976)。

さえずり活動は約 40,000 ㎡ぐらいの範囲で行われ、とくに集中的にさえずり場所があり、そこは巣の周辺にあたり、トップソング(地上 8~16 mの樹木の先端でさえずるもの)が多い(羽田・工藤. 1976)。

トップソングによるさえずり活動は渡来当初に多く、早朝に多い。

参考文献

  • 中村登流 1995 コマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 178.

最終更新日:2020-06-25 キノボリトカゲ

種・分類一覧