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コジュリン(Emberiza yessoensis)の分類 ホオジロ科(Emberizidae)
コジュリン(Emberiza yessoensis)の概要 ホオジロ属(Emberiza)

コジュリン(Emberiza yessoensis)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Emberiza yessoensis (Swinhoe, 1874)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:10~11 mm
・翼長:雄 62.5~68 mm 雌 58~63 mm 
・跗蹠:17.5~20 mm
・尾長:49~64 mm
・体重:13~14 g
・卵:長径 16.5~21 mm×短径 14~15.5 mm 平均長径 19.7 mm×短径 15.2 mm 重量 1.8~2.4 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 コジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 104-105.

最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸極東部のウスリーと日本海をとり巻く地域、また日本列島に分布し、冬は中国東部と日本西南部に渡ってすごすものもいる。

日本では本州と九州のごく限られた地域で繁殖し、これまで青森、秋田、山形、宮城、茨城、千葉、長野、山梨、熊本などの各県で繁殖が確認されている。

冬は関東南部以南ですごし、とくに東海地方、近畿地方、中国地方の沿岸地帯に多い(茂田, 1992)。

希少種に指定されている。

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亜種・品種

チョウセンコジュリン

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分類学的位置付け

スズメ目 ホオジロ科

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雄夏羽は頭が黒色で、後頸は赤褐色。背は赤褐色と淡黄色および黒色の縦縞模様があり、腰は茶褐色。

胸は淡黄色で、腹は白い。脇は淡黄色に不明瞭な縦斑がある。

尾羽は中央1対が茶褐色、ほかは黒色と淡黄色で、外側2対には白斑がある。

小雨覆は灰色または褐色をおびた灰色。

雌と雄の冬羽は頭の黒色はなく、頭頂は褐色に黒い縦縞があり、眉斑と頬線は淡黄褐色、耳羽は褐色、黒く見える顎線がある。

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幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、煤黒色の長い初毛が眼の上、後頭、背、上膊、前膊、腿、脛などの羽域に豊富に生えている。

口中は淡紅色、舌の基部及び先端は黄白色、口角縁は白色である。

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卵の形質

卵は汚白色の地に黄褐色または暗赤褐色の斑紋や斑点が散在し、黒色の毛の様な線斑や曲線斑が多少あるのが常である。

ときには地色が淡青色で鈍端近くにだけ黒褐色の斑点が少数散在するものもある。

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生態

生息環境

湿原のふちや、河川敷に広がるヨシのような丈の高い草原をさけ、スゲ類やカモノハシなどが茂る草原、干拓地の湿った草原、休耕地として放置された水田、牧牛に踏まれた丈の低い草原などで繁殖する。

比較的安定して、長年繁殖している地方もあるが、今日見られなくなった地方もある。

休耕田はヨシが茂りすぎるといなくなり、牧草地でも草が茂りすぎるといなくなる。

草原の変化によって変動が激しい鳥である(中村, 1981)。

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食性

草原の草の間の地上を歩きながら採食する。

繁殖地には、雛に鱗翅類の幼虫、直翅類、クモ類などの動物質を与え、成鳥も昆虫を食べる。

葉の丸まりを突いて壊し、虫をとり出すことができる。

冬は浅い溝などの湿った地上から、タデ科、イネ科などの草の種子をついばむ。

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ライフサイクル

繁殖期は6~8月、一夫一妻で繁殖する。雌は継時的に雄を変えることがある(中村, 1981)。

巣は草株の脇、草株の上、藪の小枝の上など葉に覆われた下に置くように雌のみでつくり、雄は雌につききりでメイトガードをする(中村, 1981)。

1巣卵数は3~5個、抱卵は雌雄交替で行い、12~14日ぐらいで孵化する。

育雛も両親で行い、10~12日ぐらいで雛が巣立つ。

巣立ちが2日におよんだとき、早く巣立った雛を雄が養い、後、雌が抱卵を続け、その雛の世話を分担する(中村, 1981)。

第2繁殖をするものは、雛に給餌する一方で、雌は巣づくりをする(中村, 1981)。

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鳴き声

チュピッ、チュピッまたはピチュッ、チピッと地啼きする。

灌木や叢の頂にとまってチャッ、チャシチャシまたはキャッ、キャシキャシと小声で囀る。

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特徴的な行動

繁殖期にはなわばり分散をする。

霧ヶ峰草原のような低密度の個体群では番の行動圏は 3~5 haぐらいで、その中に雄のさえずり行動を頻繁におこなう 2~3 haのソングエリアがあり、さらに、とくにさえずり活動の集中部がある。

そのひとつは巣のそばにあり、ほかは隣の雄の方向に出張っている(中村, 1981)。

さえずり活動は交尾期を中心にピークとなり、育雛期に著しく低下する。

そして巣立ち雛期に小さい復活がある。

一方、独身の雄は繁殖期を通して番のなわばりのふちで盛んにさえずり、幾つかの番のなわばりをめぐり歩く(中村, 1981)。

とくに雌の姿がよく目につく巣立ち雛期によりいっそうさえずり、この時期に独身の雄は雌を獲得するチャンスがある(中村, 1981)。

新利根川河口のような高密度の個体群では、巣を中心としたなわばりは低密度の10分の1の広さで、雛や自分の餌をとるために、なわばりより 100~200 mも遠くへ出ていく。

そしてなわばりは限られた湿原の中に集中し、ルーズコロニーの状態を示す(中村ほか, 1970)。

冬は大小さまざまな群れになる。

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