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ノジコ(Emberiza sulphurata)の分類 ホオジロ科(Emberizidae)
ノジコ(Emberiza sulphurata)の概要 ホオジロ属(Emberiza)

ノジコ(Emberiza sulphurata)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

準絶滅危惧種 (NT)

【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Emberiza sulphurata Temminck & Schlegel, 1848

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:10~11 mm
・翼長:雄 69~74 mm 雌 65~69 mm 
・跗蹠:18~19 mm
・尾長:51~57 mm
・体重:16 g位
・卵:長径 17.3~20 mm×短径 13.5~15.5 mm 平均長径 18.2 mm×短径 14.3 mm 重量 1.5~1.8 g

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区。日本列島に限定されて分布する。日本では本州の中部以北だけで繁殖し、とくに、新潟県と長野県の県境の山地に多い。

北海道では繁殖していない。冬は本州西南部以南、台湾から中国中東部のごく一部ですごす。遺存種。

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分類学的位置付け

スズメ目 ホオジロ科

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、後頸は灰緑色で、冬季は全体に赤褐色を帯びる。

眼先、上嘴の基部の羽毛は黒色、冬季は黄緑褐色を呈する。耳羽は灰緑色、冬季は黄緑褐色を呈する。

腮、喉は淡黄色、冬季はオリーヴ褐色を帯びる。

背、肩羽、腰、上尾筒は灰緑色で、背と肩羽の各羽には黒褐色の軸斑があり、冬季は赤褐色を帯びる。

胸、腹、脇、下尾筒は淡黄色で、脇はオリーヴ褐色を帯び、各羽には黒褐色の縦斑があり、冬季は胸の各羽はオリーヴ褐色を帯びる。

風切羽は暗褐色で、初列風切と次列風切の外弁には灰緑色の細い縁があり、冬季は縁は赤褐色である。

三列風切の外弁と羽端には赤褐色の縁があり、大、中雨覆は黒色または黒褐色で、羽端には幅の広い白色の斑があるが、冬季はこの斑は褐白色である。

小雨覆は灰緑色で、冬季は赤褐色を帯びる。

初列雨覆と小翼羽は黒褐色で各羽には灰白色の羽縁があり、冬季は羽縁は褐白色である。

尾は暗褐色で、灰緑色の羽縁があり、冬季は羽縁は赤褐色である。

外側の2対の尾羽には内弁の先端から外弁の基部近くまで斜めに軸を横切る楔形の細長い白色の斑があり、最外側のものの方が白色斑が大きく、基部近くまで達している。

嘴色は暗褐色、虹彩は黒褐色、脚色は淡褐色。

【雌】
額、頭上、後頭は褐色を帯び、眼先、上嘴の基部の羽毛は黄緑褐色である。腮、喉はオリーヴ褐色である。ほかは雄とどうようである。

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は肉食の裸体のままで眼の上、後頭、上膊、前膊、背、腿、腹などの羽域に灰色の長い初毛が生えている。口中は紅色である。

【幼鳥】
上面は暗灰オリーヴ色で黒色の大きな縦斑がある。翼は暗色で大雨覆と中雨覆の先端はバフ色。

三列風切の羽縁は暗鏽色。下面は暗黄バフ色で腹は淡い。上胸を横切る黄褐色がある。

体側はオリーヴ褐色。眼瞼は淡バフ色、脚は帯灰色。

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卵の形質

卵は青味のある灰白色の地に、淡暗褐色の不明瞭な雲形の斑と暗褐色の明瞭な斑点と曲線形の斑とが一面に散在する。

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生態

生息環境

低山帯の二次林、林緑、藪地にすみ、沢筋や入り組んだ湿っぽい湧水地、あるいは流土地などの藪が茂るハンノキ林を好む。

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食性

よく茂る藪の下の地上で採食する。両脚跳びで移動しながら、草の種子をついばむ。

夏は、昆虫、呼甲虫、鱗翅類の幼虫などを食べる。とくに雛には鱗翅類の幼虫を与える。

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ライフサイクル

繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。繁殖地に到着したばかりのころは小群ですごす。雄のほうが早く到来する。

巣は地上 1~20 m、多くは 1~2 mぐらいのところで、よく葉に覆われた樹上や藪の中の枝の叉に、乗せるようにつくる。

巣づくりは雌だけが行い、雄はその間つききりである。

草の枯れ草、茎、木の根などで外装をつくり、細根、草の細い茎、獣毛などで外装をつくる。

1巣卵数は2~5個、抱卵日数は14日ぐらいで雌雄交替で行う。雛は両親の給餌で育ち、7~8日ぐらいで早くも巣立っていく(飯島, 1976)。

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鳴き声

アオジの声にやや類似しているが、それより静かで長く張りのある声で囀る。

チョン、チョン、ピピ、チョ、ツピー、チョン、チョン、ツツピー、チョッ、チョッ、チョロリリリ―と長く囀り続け、チッチッとアオジの声に類似した声で地啼きする。

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特徴的な行動

繁殖期には雄による強いなわばり維持によって分散する。

行動圏は平均 12,000 ㎡ぐらい、その中に平均 4,000 ㎡ぐらいの、隣の雄と重複しないソングエリアがある(飯島, 1970)。

雌がつくる巣は、雄のソングエリアの中にある。

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