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ミヤマホオジロ(Emberiza elegans)の分類 ホオジロ科(Emberizidae)
ミヤマホオジロ(Emberiza elegans)の概要 ホオジロ属(Emberiza)

ミヤマホオジロ(Emberiza elegans)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Emberiza elegans Temminck, 1836

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:9~11 mm
・翼長:雄 72~80 mm 雌 68~74 mm
・跗蹠:18~20 mm
・尾長:60~74 mm
・体重:14~22 g
・卵:長径 17~19 mm × 短径 14.5~15.5 mm位

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分布

旧北区分布型。ユーラシア大陸極東部のウスリーと中国中部で繁殖し、中国東部に渡って冬を越す。日本には冬鳥として各地に現れ、本州以南で越冬する。

とくに本州西南部や九州に多く、対馬の下県郡で巣立ち雛が記録されたことがある(鴨川, 1968)。

参考文献

  • 中村登流 1995 ミヤマホオジロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 49.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 ホオジロ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ミヤマホオジロ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 492.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
頭上、額、後頭は黒色で、冬季は各羽に灰褐色の羽縁がある。

眼の周囲、眼先、耳羽は黒色、眼の上には白色の眉斑があるが、眼の後方からは鮮黄色で幅が広くなる。

腮、上喉は鮮黄色で、冬季は各羽縁は淡褐色である。頸側は淡灰色、下喉には白色の幅の広い帯がある。

後頸、背、肩羽は赤褐色で、各羽には黒褐色の軸斑があり、後頸の各羽には淡灰色の羽縁があり、背、肩羽の各羽には淡黄褐色の羽縁がある。

胸には黒色の幅の広い帯があり、冬季は各羽には淡褐色の羽縁がある。

腹は白色、腋は淡褐クリーム色で、各羽には暗褐色の軸斑がある。

腰と上尾筒は灰褐色、下尾筒は鞣皮様の淡黄褐色を帯びた白色である。下雨覆、腋羽は白色。

風切羽は灰褐色で、初列風切、次列風切、三列風切には淡い赤錆色の羽縁があり、三列風切のものは幅が広い。

大、中雨覆は黒褐色で、大雨覆には淡赤錆色の羽縁があり、中雨覆には淡赤錆色を帯びた白色の羽縁がある。

小雨覆は褐色を帯びた灰色、初列雨覆、小翼羽は黒褐色である。尾は中央の1対は灰褐色、ほかの尾羽は黒褐色である。

外側の2対の尾羽には内弁の羽軸に沿って白色の楔形の細長い斑があり、斑は最外側のものの方が大きい。

【雌】
頭上、額、後頭は褐色で、各羽には黒褐色の軸斑がある。

眼の周囲、眼先、耳羽は暗褐色、眼の上には白色の眉斑があり、眼の後方からは黄色を帯びている。

腮、喉は黄色を帯びた汚白色で、喉の両側には褐色の小斑が散在している。胸は淡褐クリーム色で、各羽には褐色の軸斑がある。ほかは雄と同様である。

嘴色は、雄が黒色で、雌が褐色。虹彩は褐色。脚色は褐色を帯びた肉色、脛羽は淡黄褐色を帯びた白色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼羽】
雌成鳥冬羽に似るが色彩がやや淡く黒色の縦斑は狭い。腰は灰褐色。尾と翼は褐色に富む。眉斑はバフ色で不鮮明。

眼先は淡褐色。耳羽は褐色。腮より胸まではバフ色で、喉の中央を除き細い黒褐色の縦斑が散在する。

腹はバフ白色。腹側の縦斑は暗褐色で細い。嘴は角褐色。脚はバフ色。

【第1回冬羽】
8月中旬から換羽に入り、体羽・雨覆と三列風切を換羽して第1回冬羽となる。

この羽衣で雄は雄成鳥冬羽に酷似した羽色となるが、頭上の各羽の先端の褐色は広く、喉の黄色部は少し淡い。

雌にあっては雌成鳥とほとんど区別しがたい。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の換羽で成鳥冬羽となる。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は白色または淡紅灰色の地に、黒褐色の斑点と菫灰色の斑点とが散在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

生態

生息環境

本邦には冬鳥として渡来するが、主として本州中部以南(関西以南)に多い。冬季は灌木林、雑木林、田圃に生息し、標高 500~1000 m 位の山地(例えば松本平)にも渡来する。

夏季は主として森林の林緑または灌木疎林に生活する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

食性

冬季は主として植物質を摂り、蓼科のタデ、ソバの種子、禾本科のアシボソ、コムギの種子、石竹科のハコベの種子、荳科のスズメノエンドウの種子、鴨跖草科のツユクサの種子、松杉科の松の種子などを食物とする。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~7月。巣は椀形で地上や藪の中につくる。1巣卵数は4~5個。

参考文献

  • 中村登流 1995 ミヤマホオジロ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 49.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

鳴き声

チチッ、チチッと地啼きし、時折りチューイ、チューイと啼く。

繁殖期は喬木や灌木にとまってアオジにやや類似した低く麗しい声で囀り、本邦でも春の渡去期前に囀りを聴くことがある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ミヤマホオジロ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 86-87.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

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