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コウノトリ(Ciconia boyciana)の分類 コウノトリ科(Ciconiidae)
コウノトリ(Ciconia boyciana)の概要 コウノトリ属(Ciconia)

コウノトリ(Ciconia boyciana)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

絶滅危惧IA類 (CR)

【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

【 学名 】
Ciconia boyciana Swinhoe, 1873

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:200~273 mm
・翼長:580~670 mm  
・跗蹠:240~280 mm
・尾長:216~257 mm 
・卵:長径 71.2~81 mm×短径 52~59 mm 平均長径 76.8 mm×短径 54.9 mm 重量 117.4 g

参考文献

最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸東部の中国北東部からウスリーにかけて繁殖分布し、冬は中国東部に渡ってすごす。

日本ではごくまれに渡来する冬鳥で、ほぼ全土の各地に記録がある。

1887年以前には日本の各地で繁殖していたらしいが、一時姿を消してしまい、1894年ごろ再び兵庫県に現れて繁殖しはじめた。

1920年に天然記念物に指定。1930年ごろが最盛期で、兵庫県に100羽ぐらいはいたらしい。

1945年以降減少し、分散した。1957年には福井県でも巣が見つかったが、1971年、兵庫県に残った最後の1羽を飼育下に入れたことで自然界では絶滅してしまった(高野, 1975)。

以後、各地に大陸より渡来するものがあっても、日本に残って繁殖に入るものはない。絶滅危惧種に指定されている。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

コウノトリ目 コウノトリ科

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

人間との関係

『続日本紀』731年(天平3)に「鸛一百八有りて、宮内の殿の上に来り集へり」とある。兵庫県の県鳥。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。頭部と体の上面、体の下面はすべて白色である。

眼瞼は赤色、眼の周囲、腮は赤色の皮膚が裸出しているが、腮の中央には白色の羽毛が細い線をなして走っている。

風切羽は黒色で、次列風切と三列風切の外弁は灰白色で、黒色の細い外縁があるが、三列風切はほどんど黒色に近い。

大雨覆は黒色で、外側の各羽の外弁は灰白色を呈し、外縁は黒色である。

中、小雨覆は白色、初列雨覆は黒色で内側のものは灰白色を帯び、小翼羽は黒色、尾は白色で、その数は11枚である。

嘴色は黒色または黒褐色で、先端は褐色を帯びた角色、虹彩は乳白色、脚色は赤色。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は全身に白色の短い綿羽が生え、虹彩は黒色である。

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卵の形質

卵は白色で、斑紋を欠く。

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生態

生息環境

樹林が散在する湿地草原、丘陵や小山などにある松林を塒や営巣地とする。

冬は河口や入江の干潟、潟湖、水田、大きい河川などの砂泥地で見られる。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

食性

浅い水の中や砂泥地をゆっくり歩いてついばんだり、水中を探ったりする。ドジョウやコイなどの小魚、カエルやイモリなどの両生類を主食とし、イナゴ、バッタなどの昆虫、腹足類、小哺乳類、小鳥の雛、ミミズなどを食べる。

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最終更新日:2020-12-11 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~6月、一夫一妻で繁殖する。巣は、見通しのよい枯れ木などの上の高さ 4~17 mのところにつくる。

雌雄で枝を重ねた大きい塊につくり、羽毛、蘚類などで内張りをする。

1巣卵数は2~6個、両親が交替で抱卵し、32~35日ぐらいでぐらいで孵化する。雛は半晩成性の留巣性である。

両親が給餌し、60~70日ぐらいで巣立つ。親は吐きもどした餌を、初めは口移しに、後には巣の上に吐きだして与える。

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鳴き声

ときにはヒ―ッとかすれた啼声を立てることもあるが、互いに意を通ずるときには上下の嘴を叩き合わせてカタ、カタ、カタ、カタと音を立てるのが常である。

蕃殖期には頭部を嘴が背に届く位後方に曲げた後に、頭部を再び前方に向けて移動させつつ嘴を叩き合わせて音を立て、何回もこの動作を繰返して誇示(ディスプレー)する。

ときには飛翔中も嘴で音をたてることがある。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期は孤独かまたはルーズコロニーである(Elliott, 1992)。

求愛や交尾などの主要な行動は巣の上で行う。

求愛や脅しを示す頭を反り返して、カタカタとくちばしを叩き鳴らすディスプレイ(クラッタリングディスプレイ)が知られる。

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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ

種・分類一覧