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ヒレンジャク(Bombycilla japonica)の分類 レンジャク科(Bombycillidae)
ヒレンジャク(Bombycilla japonica)の概要 レンジャク属(Bombycilla)

ヒレンジャク(Bombycilla japonica)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Bombycilla japonica (Siebold, 1824)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:10~12 mm
・翼長:103~112 mm
・跗蹠:18~20 mm
・尾長:49~59 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

分布

旧北区。シベリア、中国北部、アムール川周辺、ウスリーで繁殖する。

冬は繁殖地から南下し、中国南部、台湾、サハリン、日本などで越冬する。

極東だけの特産種で、日本には冬鳥として、沖縄県中部以北に渡来するが、渡来数は年によって著しく異なり、まったく観測されない年もある。

西日本ではヒレンジャクが、東日本ではキレンジャクが多く観測される。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 レンジャク科

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

人間との関係

シーボルトによって、日本からはじめて報告された。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、頭側は栗色、後頭、後頸は赤褐色を帯びた灰色で、頭上、後頭の羽は長くて羽冠をなしている。

羽冠の下側の羽は黒色かまたは灰色で羽縁だけが黒色であるかである。

上嘴の基部、眼先、眼の上は黒色、眼の後方には黒色の三角形の斑があり、これらで黒色の過眼線をなしている。

耳羽は赤褐色を帯びた灰色、腮、喉は黒色、喉の両側は栗色である。

下嘴の基部には白色の小斑があり、眼の下方には小白斑がある。

背、肩羽は灰褐色、胸は赤褐色を帯びた灰色、腹の中央は淡黄色、腹側は灰褐色を帯びている。

脇は赤褐色を帯びた灰色で、全体にやや黄色を帯びている。腰、上尾筒は灰色で、やや褐色を帯びている。

下尾筒は赤色を帯びた淡栗色、下雨覆、腋羽は灰白色である。

初列風切は黒褐色、内弁の縁は尾白色、外弁先端の外縁に沿い長さ 7 mmくらいの白色の線の様な斑があり、やや紅色を帯びている。

老成鳥では内弁の先端にも幅 2 mmくらいの白色の細い縁があり、外弁の先端にある白色の線をなした斑は紅色である。

次列風切は黒褐色で、幅の広い青灰色の外縁があり、外縁の先端には紅色の斑があるが、ときにはこれを欠くものもある。

内弁の縁は灰色を帯びている。三列風切は灰褐色で、羽縁はわずかに紅色を帯びている。

大雨覆は同様であるが、羽縁は幅広く紅色である。中、小雨覆、小翼羽は灰褐色、小翼羽は青灰色を帯びている。

初列雨覆は黒褐色で、羽縁は青灰色である。

尾羽灰色で先端に近いほど黒色で、基部近くの羽縁は青灰色を帯びている。

羽縁には幅 8 ㎜くらいの紅色の帯がある。嘴色は黒色、虹彩は濃紅色、脚色は黒色、脛羽は灰白色。

【雌】
頭上の栗色は淡く、腹の中央は色が淡い。

下尾筒は栗色、雄にある次列風切の外弁の先端の紅色斑を欠き、大雨覆の紅色の羽縁は雄よりも幅が狭い。ほかは雄と同様である。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
背面は汚灰褐色。毛冠はない。尾の先の紅色は狭い。

初列風切の先の白色は成鳥のものより狭く、雄にあってはその先端の紅色斑を欠く。

大雨覆の紅色はとても狭い。腮・喉と過眼線は黒色を欠き、胸は灰褐色であるが各羽に汚白色の縁があるため縦斑を現している。

胸の中央はクリーム色。下尾筒は淡肉桂色。

【第1回冬羽】
Radde氏の記述と標本とを対照すると、幼鳥は8月末頃より換羽に入りキレンジャクと同様の換羽で第1回冬羽になると考えられる。

そして新たに生じた羽毛は成鳥冬羽と全く同様であるという。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の換羽で、風切および尾羽を換羽して成鳥となるものと思われる。

しかし風切に紅色の少ない個体は、おそらくこの羽衣のものであろう。

個体的の差異もあると思われるが、大概老成するに従って紅色の範囲が大きくなると考えられる。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

似ている種 (間違えやすい種)

キレンジャク

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

生態

生息環境

本州には冬鳥として渡来し、標高 1500 m以下の地に棲息するが、山地(例えば長野県南安曇野郡小倉村:標高500m:23/XI 1932、栃木県塩谷郡塩原町新湯:標高 800 m:1945~1951 清棲採集)及び平地の雑木林に多く、春季は特に市街の公園(例えば東京都目黒区林業試験場 2/IV 1938 清棲観察)や庭園(例えば東京都港区麻布材木町 30/II 1916, 24/IV 1917, 6/V 1917 清棲採集)の村、村落附近の林に飛来するものが多い。

著者は栃木県塩谷郡塩原では晩春に大沼(標高 1000 m:18/V 1950)附近の濶葉樹林で10羽位の小群を観察した。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

食性

冬は常に群れで採食し、樹上でネズミモチ、イボタノキ、ニシキギ、ヤドリギなどの実をよく食べ、庭に置いた餌台のカキやリンゴも食べる。

群れは100羽以上になることがある。採食はもっぱら樹上で、水を飲むとき以外は地上に下りることはない。

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ライフサイクル

繁殖生態、および婚姻システムについての詳細は不明だが、キレンジャクによく似ていると考えられる。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

鳴き声

樹上にとまっているときには互いにヒィー、ヒィー、ヒィー、ヒィーと高く低く細い声で啼きあい、チリ、チリ、チリ、チリまたはヒリ、ヒリ、ヒリ、ヒリと地啼きする。

飛立ち際には、ピー、ピーと一斉に啼いて舞立つのが常である。

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最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

種・分類一覧