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ヒメアマツバメ(Apus affinis)の分類 アマツバメ科(Apodidae)
ヒメアマツバメ(Apus affinis)の概要 アマツバメ属(Apus)

ヒメアマツバメ(Apus affinis)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Apus affinis (J. E. Gray, 1830)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:6~6.5 mm
・翼長:127.5~142 mm
・跗蹠:8~10 mm
・尾長:44~50.5 mm
・卵:長径 21~24.5 mm × 短径 14.2~16.1 mm 平均長径 22.7 mm × 短径 14.9 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヒメアマツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 353-354.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

分布

エチオピア区、旧北区。東洋区の熱帯・亜熱帯。近年、北アフリカのモロッコ・チュニジア、そして東アジアの日本で分布域を拡大する傾向にある(安部, 1970a. 1970b ; Cramp, 1985)。

もともと日本には生息しない鳥であったが、1964年ごろから太平洋岸の鹿児島県種子島(内田, 1970)、鎌倉市(岡田, 1970)、高知市(吉永, 1969)などで観察されるようになり、1967年に静岡県ではじめて繫殖が確認された(小原, 1968)。

その後も茨城県以西の太平洋岸を中心に分布を拡大し、局地的に繫殖している。

本種は、今後もさらに分布域を拡大する傾向にあり、その動向が注目される鳥である。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 ヒメアマツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 16.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

アマツバメ目 アマツバメ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ヒメアマツバメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 418.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄雌同色】
額は濃黒色、頭上・耳羽は黒褐色、眼先はビロード様光沢のある黒色、腮・喉は白色である。

後頭・後頸・背・肩羽・上腰は光沢のある濃藍黒色、下腰と上尾筒の上部は白色で、各羽軸の一部分は褐色である。

上尾筒の下部と下尾筒は濃黒色である。翼と尾は濃黒色である。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は黒色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヒメアマツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 353-354.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

卵の形質

多卵は純白色で斑紋を欠く。卵は長卵形。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 ヒメアマツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 16.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

生態

生息環境

留鳥として、主に平野部の市街地やその周辺の丘陵地に生息する。また岩壁付近や人家附近に生活して繁殖を営み、採食時には上空を群飛する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヒメアマツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 353-354.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

食性

上空を飛び回りながら、上昇気流に吹き上げられたカ、ハエ、羽アリなどの飛翔性昆虫を食べる。

若齢個体の体重は、上手に雛を育てる年齢の高い個体に比べてかなり軽く、自分自身あるいは雛を養うための空中採食技術の習得にはかなりの時間が必要と考えられる(堀田, 1991)。

空中生活に著しく適応しており、採食のみならず巣材集め、水飲み、水浴びも地上に降りることなく行い、交尾や睡眠さえ空中で行うという。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 ヒメアマツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 16.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4月中旬から12月までにおよび、その間に2~3回(野村・内村, 1987)、一夫一妻で繁殖する。

雌雄共同で鉄筋コンクリートづくりの建造物に、羽毛や植物の葉、茎などを唾液で貼り合わせて半球状の巣をつくるか、または、コシアカツバメの古巣を改築して利用する(堀田, 1992)。

巣づくり期間は平均4ヶ月とかなり長い(堀田, 1992)。

巣は、すでにあるほかの巣に張り付くようにつくられるため集合巣となり、40巣からなるものも見られる。

1コロニーに254羽もの個体が生息した例もある(日本野鳥の会静岡県支部, 1983)。

新たにコロニーにすみつく個体の大部分は前年生まれの個体で、巣壁に定着しても巣づくりだけでその年を終える(堀田, 1991)。

1巣卵数は2~4個、抱卵は雌雄交替で行い(堀田, 私信)、抱卵日数は約20日(神奈川県相洋高等学校生物部, 1982:野村・内村, 1987)。

育雛は雌雄とも行い(堀田, 私信)、日数は36~51日と非常に長い(野村・内村, 1987)一度いっしょに繁殖を経験した番の絆は強く、どちらかの個体が死ぬまで何年も同じ巣で生活する。

しかし、新しくコロニーに定着して番となった若い個体は、年齢の高い個体ほど番の絆は強くなく、約半分の番が離婚して、コロニー内で番の片方が消失した個体と再婚する(堀田, 1991)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 ヒメアマツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 16.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

鳴き声

アマツバメに似てそれより細い声で鋭いチィー、チィーと言う声で啼き、飛びながら啼くことが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヒメアマツバメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 353-354.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期、非繁殖期とも集合性が強い。繁殖期にはコロニーを形成し、番は巣だけを防衛する。

巣は繫殖のために使用されるほか、非繁殖期には番の塒としても利用されるため、本種にとって重要な資源となる。

繁殖期には、巣の獲得と関連して、侵入個体による子殺しも観察される(Hotta, 1994)。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 ヒメアマツバメ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 16.

最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ

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