- 解説一覧
- ムギマキ(Ficedula mugimaki)について

ムギマキ(Ficedula mugimaki)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Ficedula mugimaki (Temminck, 1836)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:7.5~12.5 mm
・翼長:雄 73~79 mm 雌 67~75 mm
・跗蹠:14~18 mm
・尾長:44~57 mm
・体重:10~13 g
・卵:長径 16~17.8 mm × 短径 12.2~13 mm 平均長径 16.4 mm × 短径 12.5 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 ムギマキ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 227-228.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸極東部のバイカルからウスリーで繁殖し、東南アジアに渡って冬を越す。
日本では旅鳥であるが、あまり多くない。春は5~6月ごろ、秋は10~11月ごろに各地で見られる。
参考文献
- 中村登流 1995 ムギマキ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 173.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名は和名に由来。
参考文献
- 吉井正 2005 ムギマキ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 493.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 ヒタキ科
参考文献
- 吉井正 2005 ムギマキ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 493.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額・頭上・後頭・後頸・眼先・眼の周囲・耳羽・頬は無光沢の黒色で、秋季は各羽に石盤灰色の羽縁がある。
眼の上後方には白色の幅の広い眉斑がある。
腮・喉・胸・腹・脇は黄色を帯びた赤褐色、背・肩羽・腰・上尾筒は無光沢の黒色で、秋季は各羽に石盤灰色の縁がある。
下腹・下尾筒は白色、下雨覆・腋羽は黄色を帯びた赤褐色である。
風切羽は無光沢の黒色で、初列風切、次列風切の内弁には汚淡褐白色の縁があり、三列風切には灰白色の 1~1.5 mm位の幅の広い外縁がある。
大雨覆は白色、中雨覆は黒色で、各羽端は白色で、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は黒色である。
尾は中央の1対は黒色、ほかの尾羽は黒色で外弁の基半部は白色で、白色部は外側のものほど範囲が少ない。
嘴色は、雄が黒色で雌が暗褐色、虹彩が褐色、脚色が褐色、脛羽は雄の場合は黒色、雌はオリーヴ褐色。
【雌】額・頭上・後頭・後頸・眼先・眼の周囲・耳羽・頬はオリーヴ褐色、腮・喉・胸・腹は黄土色である。脇は淡黄土色、背・肩羽・腰・上尾筒はオリーヴ褐色である。翼は石盤灰色で、初列風切と次列風切にはオリーヴ褐色の外縁があり、三列風切には灰白色の外縁がある。大中雨覆の各羽端は灰白色である。尾はオリーヴ褐色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ムギマキ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 227-228.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【幼羽】
上面は黒褐色で、各羽は三角形をした鏽黄色の中央斑を有するが、頭上と後頸の斑点は多少細かく、腰と上尾筒のものは黄色に富んでいる。
下面は黄褐色で、胸と胸の羽毛には汚帯黄黒色の縁がある。
翼は黒褐色であるが、雨覆には三角形斑があり、次列風切には黄は気色の縁がある。
この羽衣のときは嘴は淡角色、脚はバフ色。
【第1回冬羽】
換羽の範囲は不明だが、少なくとも尾羽および風切以外はすべて換羽するらしい。
雄にては背面は雌成鳥と同様で帯緑オリーヴ褐色であるが、眼の後方には不鮮明なバフ白色の小眉斑があり、顎線の部には黒色を混じ、上尾筒は黒色である。
また尾は褐色に富むも、外側尾羽に白斑あることは雄成鳥と同じである。
腮・喉・胸は雄成鳥と同じ。雌の場合は雌成鳥と区別しがたいが、喉・胸の色は雌成鳥より幾分鈍い様である。
【第1回夏羽】
幼鳥は恐らく早春に下面の一部または大部を換羽するのであろう。
背面が摩耗して灰色を帯びてくるに反し、喉と胸は秋のものと等しく美しい濃橙褐色(雄)または橙バフ色(雌)を保っている。
この羽衣の雄にはときとして顔が第1回冬羽のものより黒味勝ちで、眉斑もやや鮮やかなものがある。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季に全身を換羽して成鳥冬羽となる。
しかし雄に於いて背面のスレート色味強いものは恐らくこの羽衣のものであろう。雄は老年のものほど背面の黒色が濃くなるものと思われる。
参考文献
- 山階芳麿 1980 ムギマキ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 36-40.
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- 卵の形質
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卵は淡オリーヴ緑色の地に淡赤褐色の斑点が一様に密在するのが常で、稀には斑点が鈍端近くに輪になって密在するものもある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ムギマキ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 227-228.
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生態
- 生息環境
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渡り期には針葉樹林で見られることが多く、主として海岸地方やマツ林や亜高山針葉樹林などで見られ、雑木林やブナ林にも現れることがある。
繁殖地ではエゾマツやトドマツなどの針葉樹林にすむ。
参考文献
- 中村登流 1995 ムギマキ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 173.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 食性
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針葉樹の下枝から、飛んでくる虫に向かって飛びついて捕らえるフライングキャッチ法を使う。
同じ枝に戻ることは少なく、枝から枝へ、木から木へと移動しながら、下枝の周りの見通しのより空間で狙いをつける。
この点で広葉樹林のキビタキとよく似ている。飛翔昆虫類を主食としている。
参考文献
- 中村登流 1995 ムギマキ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 173.
- 吉井正 2005 ムギマキ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 493.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は6~7月頃、樹上の枝の幹に近いところに、浅い椀形の巣をつくる。この点で洞穴性のキビタキとは異なる。1巣卵数は4~8個。
参考文献
- 中村登流 1995 ムギマキ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 173.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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渡り期には単独で見られることが多い。秋はしばしばカラ類などの混群に混じる。春にキビタキに似たさえずりをする。
参考文献
- 中村登流 1995 ムギマキ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 173.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ