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イワツバメ(Delichon dasypus)の分類 ツバメ科(Hirundinidae)
イワツバメ(Delichon dasypus)の概要 イワツバメ属(Delichon)

イワツバメ(Delichon dasypus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Delichon dasypus (Bonaparte, 1850)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:6~8 mm
・翼長:102~113 mm  
・跗蹠:8~11 mm
・尾長:外側 42~52 mm 中央 40~48 mm 
・体重:18 g位
・卵:長径 17.8~24.6 mm×短径 11.6~14.9 mm 平均長径 20.2 mm×短径 13.8 mm 重量 1.5~1.9 g

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区。ユーラシア大陸の温帯・亜寒帯で繁殖し、インド、東南アジアで越冬する。

日本には九州以北に夏鳥として渡来し、各地で繁殖する。

九州では相当数が越冬する(例えば、福岡県宗像郡玄海町:武下, 1990)。ツバメより少し早く渡来する。

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保全の取り組み

1892年の狩猟法で保護鳥とされたが、1895年に保護鳥からはずされ、1925年に再び保護鳥となった。

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別名・方言名

ダケノツバメ、ウミツバクラ、ヤマツバメ

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分類学的位置付け

スズメ目 ツバメ科

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形態

成鳥の形質

雄雌同色。額、頭上、後頭、後頸は金属光沢のある藍黒色で、各羽の基部は白色であるが、外部には現れない。

眼先、眼の下、耳羽、腮は黒色、腮の下部と喉は煤けた白色である。

背、肩羽、上腰は金属光沢のある藍黒色、下腰と上尾筒の上部は白色であるが、羽軸の先端の部分だけ黒色で、その長さ 1 ㎝以下である。

上尾筒の下部は濃黒色である。胸、腹、脇、下尾筒は煤けた白色で、胸、腹の羽軸は暗灰色、下尾筒の羽軸は黒色である。

脇は煤け色が強く、下尾筒の先端の部分の各羽には暗灰色の軸斑がある。

下雨覆、腋羽は煤煙色。翼と尾は濃黒色である。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は淡肉色。

脛、跗蹠、趾などはいずれも白色の羽毛に覆われている。

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幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、眼の上、後頭、上膊、背、腿などの羽域にだけ灰白色の長い初毛が生えている。

【幼鳥】
額、頭上、後頭は暗褐色で後頭の羽毛には淡色縁がある。後頸は暗褐色で各羽の基部は白い。背と肩は帯黒褐色。

腰と上尾筒は白色で軸は暗褐色、また各羽の中央には種々な程度の淡褐色斑がある。

尾と翼羽は暗褐色。ただし最長三列風切および内側次列風切には先端に汚白色の縁がある。

また雨覆は風切より黒味勝ちである。眼先は黒褐色。頬、耳羽は淡い暗褐色。喉の下部と腹の中央とは白色。

そのほかの下面は淡煙褐色または煙灰色で、腮・胸側と脇は最も暗色である。

下雨覆と腋羽は成鳥よりも淡い。脚には白色の細羽が密生している。

【第1回冬羽】
幼鳥は8月以後、まず体羽を換羽し、10月以後風切および尾羽も換羽して第1回冬羽となる。

その完了の時期は不明であるが、おそらく12月末までかかるものと思われる。

新たに生じた羽毛は既に成鳥冬羽と区別しがたい。

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卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠き、わずかに光沢がある。

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生態

生息環境

本邦には夏鳥として渡来し、山麓の温泉街、山地の断崖、洞窟、高山や海岸の岩壁に集団で営巣する。

以前は、山の断崖に集団営巣したようだが、近年は市街地の人口建造物にも多数が繁殖するようになった。

生息地の垂直分布域は、海にかかる橋げたから高山の山小屋までと、日本に生息する鳥類のなかでも群をぬく。

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食性

空中を飛行しながら、カ、ハエ、コガネムシ、ゾウムシ、テントウムシなど飛翔している昆虫を食べる。

ツバメが単独で採餌するのに対して、本種は繁殖地や採食地の高空を乱舞しながら群れで採食することが多い。

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ライフサイクル

繁殖期は4~8月。早期渡来の個体の多くは、渡来当日すでに一夫一妻の番になっており、渡来日から古巣で塒をとる(下条, 1976)。

古巣を利用する個体は年に2回、新たに営巣して繁殖する個体のほとんどは年に1回繁殖する(下条, 1976)。

泥と枯れ草、唾液を用いて椀形の巣をつくる。

側部は壁、軒または岩壁などに密着し、上部は天井などに近接するため、出入口の幅は狭い。

外装は雌雄ともが、内装は主に雌がつくる。1巣卵数は1~4個で、平均3.37個(笠井, 1970)。

産卵の数日前から、雄が常に雌の後ろについて巣に出入りする追尾行動が見られる。

雌雄交替で抱卵し、抱卵後約2週間で孵化する(下条, 1976)。

雌への給餌は雌雄が約半分ずつ受けもち、孵化後約26日で巣立つ。

古巣利用の番のほうが、新しく巣をつくる番より繁殖成功率は高い(下条, 1976)。

外国では、第1繁殖で巣立った若鳥が、まだ巣内にいる2腹目の雛に給餌することが知られてる(Menzel, 1984)。

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鳴き声

チチ、チヨ、チチ、チヨ、ジッ、ジッ、ジッと囀り、飛翔中にはジュリ、ジュリ、ジュリと絶えず鳴く。

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特徴的な行動

群棲する性質が強く採食地や繁殖地では群れていることが多い。

常に活発に飛翔し、翼を迅速に羽搏いてはスーと滑翔し敏捷に上下左右自由自在に飛び、高低を選ばず、自由に餌とする昆虫類を追って飛翔する。

飛翔しつつジュリ、ジュリと鳴く。電線にとまって休むことが多いが、ときには喬木の頂の枯枝にとまることがある。

高山に渡来したものはその初期には付近に昆虫類が少ないため、朝早く山を降って昼間は山麓の上空で餌を漁り、夕暮時にはまた古巣に舞い戻ってこれを塒とする。

越冬地から帰来当時は巣の奪い合いで激しく争うことがある。

巣材の泥を採るとき以外には地上に降りることは稀である。

飛びながら虫をついばみ、地上のものを飛びながら掬いとる様にしてついばむ。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

種・分類一覧