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マキノセンニュウ(Locustella lanceolata)の分類 センニュウ科(Locustellidae)
マキノセンニュウ(Locustella lanceolata)の概要 センニュウ属(Locustella)

マキノセンニュウ(Locustella lanceolata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

準絶滅危惧種 (NT)

【環境省】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Locustella lanceolata (Temminck, 1840)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:9-12 mm
・翼長:53-62 mm
・跗蹠:17-20 mm
・尾長:41-52 mm
・体重:11-13 g
・卵:長径 16.2-19 mm × 短径 12.6-14.1 mm 平均長径 17.8 mm × 短径 13.3 mm

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区分布型。ユーラシア大陸の高緯度地方の東半分に偏って繫殖分布し、冬は東南アジアに渡ってすごす。

日本には北海道に冬鳥として渡来して繁殖する。富士山麓で繫殖した記録がある(日本鳥類目録第5版)。

また、群馬県尾瀬沼では夏に目撃されている(清棲, 1978)。

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学名の解説

英名、種小名は胸にある縦斑により、槍先形模様という意味。

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分類学的位置付け

スズメ目 ウグイス科

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形態

成鳥の形質

【雌雄同色】
額・頭上・後頭・後頸はオリーブ色を帯びた粘土褐色で、各羽には黒褐色の細長い軸斑がある。

眼の上には淡褐色の不明瞭な眉斑がある。耳羽は粘土褐色で、各羽端は暗色、羽軸は白色である。

腮・喉は麦藁様の淡黄色を帯びた白色。頬・下喉は麦藁様の淡黄色で、暗褐色の縦斑が散在している。

背・肩羽・腰・上尾筒はオリーブ色を帯びた粘土褐色で、背と肩羽には黒褐色の細長い軸斑があり、腰と上尾筒には同色の縦斑が散在している。

体の上面は春季は灰色が勝ち、秋季には褐色が勝っている。

胸は麦藁様の淡黄色で、暗褐色の細長い縦斑が散在している。

胸側は暗褐色、腹は麦藁様の淡黄色を帯びた白色、脇は粘土褐色で、暗褐色の細長い縦斑が散在している。

下尾筒は淡褐色、下尾筒の先端の部分の各羽縁は淡色で、白色の羽軸がある。

初列風切は褐色で、オリーブ色を帯びた粘土褐色の外縁があり、次列風切は暗褐色、三列風切は黒褐色で、いずれもオリーブ色を帯びた粘土褐色の羽縁がある。

大・中・小雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、風切羽と同様の外縁がある。

下雨覆、腋羽は麦藁様の淡黄色。尾はオリーブ褐色で、淡色の不明瞭な外縁があり、暗色の不明瞭な横縞が多数ある。

嘴色は上嘴は暗褐色、下嘴は淡褐角色。虹彩は褐色、脚色は淡黄褐色。脛羽は粘土褐色。

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最終更新日:2020-05-22 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
成鳥に酷似する。しかし、成鳥よりも背面の色が濃く縦斑の幅が広く、下面の斑点が大きくかつ多い。

下面の黄色味は必ず成鳥より濃いとは言えないが、大体は成鳥より濃いものが多い。

【第1回冬羽】
幼鳥は9月~12月(ときとして翌1月)に体羽全体・小雨覆・中雨覆・尾羽のみを換羽して第1回冬羽となる。

新たに生じた羽毛は成鳥と区別し難い。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の完全な換羽で成鳥冬羽となる。

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卵の形質

卵は白色、クリーム白色、クリーム色などの地に赤褐色、または紫褐色あるいは褐色を帯びた淡紅色の微細な小斑点と灰鼠色、淡菫色などの微細斑が散在し、斑点は鈍端の方に輪形に密在するのが常である。

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生態

生息環境

湿地や泥炭草原の、ヤチヤナギなどの矮性灌木が密生しているところにすむ。

笹原や草原の茂みの中に潜り込んでいて、囀りのために表面へ出てくるとき以外は容易に姿を見せない。

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食性

主として昆虫類を摂り、クモや鞘翅目、半翅目、双翅目などを好んで食物とし、カタツムリなどの軟体動物腹足類の有肺目も食する。

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ライフサイクル

6~8月に繁殖する。巣は草むらの中の、地上あるいは高さ 30 ㎝くらいまでのところに、イネ科の葉や茎で椀形につくる。

1巣卵数は3~5個、雌のみが抱卵する。抱卵期や育雛期などの詳しいことはわかっていない。なわばり分散についてもわかっていない。

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鳴き声

チッ、チッ、チッ、チッ、チッまたはギチ、ギチ、ギチギチと虫のような細い声で啼き、囀鳴期には終日囀る。

時折り、草むらから垂直に飛び上がって啼き立てることもある。

葉陰で囀るときには高く低く調子を変えるので、その声は遠く近く聞こえて、なかなか所在がわからないのが常である。

飛翔中にはチィ、チィ、チィと啼く。

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特徴的な行動

湿地、沼沢の草むらやヤナギの灌木、水辺の葦原などに潜み、姿を中々見せないが、繁殖期には雄は常に葉などに止まって囀り、時折り空中に垂直に舞い上がって囀り、翼を羽搏いて一時停空飛翔するが、また垂直に降下して草むらに潜むのが常である。

長距離を飛ぶときにはセッカの様に波形を描いて飛ぶ。

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種・分類一覧