- 解説一覧
- オガワコマドリ(Luscinia svecica)について

オガワコマドリ(Luscinia svecica)
- 【 学名 】
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Luscinia svecica (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:11.5~13 mm
・翼長:70~75 mm
・跗蹠:26~28 mm
・尾長:51~52 mm
・卵:長径 17~20.7 mm × 短径 12.8~15 mm 平均長径 18.5 mm × 短径 14 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区分布型。ユーラシア大陸の中・高緯度地方で広く繫殖し、冬はアフリカ大陸北部からインド、中国南部にわたってすごす。
個体群としてはかなり大きいが、日本は越冬地の東はずれにあり、ごく稀にしか現れない冬鳥か迷鳥とされる。
日本での記録は12月から翌年の4月で、新潟県や東京と以西の西南部に多い。
参考文献
- 中村登流 1995 オガワコマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 201.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名はスウェーデンに由来。
参考文献
- 吉井正 2005 オガワコマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 102.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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E. s. svecicus
参考文献
- 吉井正 2005 オガワコマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 102.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 ヒタキ科
参考文献
- 吉井正 2005 オガワコマドリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 102.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄春羽】
額・頭上・後頭・後頸はセピア色で、各羽の中央は暗色を呈し、縁は淡色である。
眼の上にはクリーム黄白色の眉斑がある。眼先は黒色を帯び、耳羽は赤錆色を帯びた褐色で、各羽には暗色の軸斑がある。
腮・喉・前頸は青色で、その中央よりやや下部に濃赤錆色の大きな斑紋がある。
ときにはこの斑紋の周囲には白色の縁があるものや、極く稀にはこの斑が白色で中央に赤色の斑点のあるものなどもある。
この青色の部分の下部の上胸には、黒色、白色、濃い赤錆色の順の太い3つの帯がある。
頸側はセピア褐色、肩羽・背・腰はセピア褐色で、各羽には暗色の不規則な軸斑があり、羽縁は淡色である。
胸・腹はクリーム白色、脇・下尾筒はクリーム色、上尾筒の基部は赤錆色で、その先はセピア褐色である。
下雨覆・腋羽は黄味がかった赤錆色である。風切羽・雨覆羽はセピア褐色である。
尾は中央の1対は暗褐色であるが、ほかの尾羽は濃い赤錆色で、先端は暗褐色である。
秋季は体の上面は灰色勝ちで、眉班は黄色を帯びている。
腮・喉はクリーム褐色で、下部には淡青色、黒色、濃赤錆色の順になるやや不明瞭な3つの帯がある。
喉の両側には黒色と青色の斑がある。喉の羽は冬季の初めに羽換して3月には完全な春羽になる。
【雌】
体の上面は雄と同様である。
腮・喉は白色で、多少赤錆色の斑点があり、下部には黒色、白色の順の2つの帯があり、多少青色を帯びている。
前頸には暗褐色の斑点があり、喉の両側には青色の線があり、下部には黒色の線が沿って走っている。
胸には褐色の斑がある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、暗石盤色の長くて豊富な初毛が眼の上、後頭、上膊、背などの羽域に生えている。
口内は橙黄色、口角縁は白黄色である。
【幼鳥】
幼羽は雌雄共同色。全上面は黒褐色で、各羽は先で広くなったバフ色の軸斑を有する。
上尾筒は赤褐色で僅かな暗褐色の縁を有する。尾は成鳥と同様。初列風切と次列風切も成鳥と同様。
三列風切も成鳥と似ているが、バフ色の縁は広く、また先に近いところにバフ色の小斑を有している。
初列雨覆は先にバフ色の小斑があり、大雨覆はバフ色の縁を有するとともに先は広くバフ色を呈する。
中雨覆・小雨覆も先にバフ色斑がある。眼先・耳羽はバフ色で、各羽の先のみが暗褐色。
腮は淡バフ色で各羽の先にはわずかな暗色斑がある。腋も同様であるが黒褐色縁はすくない。
腹の中央はバフ白色で暗褐色斑を混じている。下雨覆・腋羽・下尾筒は成鳥と同じ。
【第1回冬羽】
幼鳥は8月~9月に体羽全体・小雨覆・中雨覆・内側大雨覆の数枚を換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣で既に雌雄は羽色を異にする。雄の場合は雄成鳥冬羽に似るが、顎線部の青色は少なく、腮は白色味勝ちであり、喉の中央は白色で基部に少量の栗色を有するのみのものから淡栗色のものまでいろいろあるが、成鳥のような鮮やかな栗色にはならない。
上胸の栗色帯も成鳥より淡いのが常である。
なお翼羽のうち、換羽しない三列風切・初列雨覆・外側大雨覆には幼羽のときのままのバフ色斑があるので、この部分で成鳥と区別することができる。
雌の場合は雌成鳥冬羽に酷似するが、雄と同じく翼羽を換羽しないため、風切および雨覆の先にあるバフ色斑で成鳥と区別することができる。
なお腮・喉の中央は白味勝ちで斑点はなく、極く稀に帯赤褐色を帯びているのみである。
また極く稀には胸の横帯中に青色味を混じているものがある。
【第1回夏羽】雄雌とも春季に成鳥と同じ部分を換羽して第1回夏羽となる。
この羽衣は雄雌それぞれ成鳥夏羽に酷似するが、換羽しない翼羽に幼羽のままのバフ色斑がある点で成鳥と区別することができる。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋季の全身の換羽により成鳥冬羽となる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
- 山階芳麿 1980 オガワコマドリ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 342-346.
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- 卵の形質
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卵は緑青色、淡緑青色、赤味を帯びたクリーム色、緑褐色などの地に赤褐色の斑点および雲形斑が散在し、斑紋は鈍端の方に密在するのが常である。
ときには赤褐色の斑が一面に密在するものもある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
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生態
- 生息環境
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繁殖地ではツンドラや谷地坊主のある湿地などの中の流れのふちや沼緑、また密生した丈の低い藪地、ヤナギ類の灌木林、ハンノキ類が散在し矮性木本の多い草原などにすむ。
日本では河川敷や湖沼緑のヨシ原、その周辺の草地や農耕地に現れる。
参考文献
- 中村登流 1995 オガワコマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 201.
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- 食性
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動物質では蚊やガガンボの幼虫、アワフキムシなどのほか、鞘翅目の幼成虫、鱗翅眼の幼成虫、環形動物、軟体動物の腹足類のタマキビ、マイマイなどを食物とする。
植物質ではニワトコの実なども食べる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
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- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、巣は藪の下、谷地坊主の上や脇などの地上につくり、草の葉や藪の枝に覆われる。
1巣卵数は5~7個、抱卵期は13日ぐらい。雛は13~14日ぐらいで巣立つ。
参考文献
- 中村登流 1995 オガワコマドリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 201.
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- 鳴き声
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チャッ、チャッ地啼きする。
低い樹上にとまったり、または灌木の茂みの間などからツン、ツン、ツン、ツン、チル、チル、チル、チルと麗しい声で囀ることもある。
ときには地上を走りつつ樹上から少し飛び上がって、翼や尾を広げて舞い降りつつ囀ることもある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
最終更新日:2020-05-27 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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冬季は単独、夏季は雌雄で主として地上に生活し、コマドリよりもっと胸を反らし尾を高く上方に上げ跳ね歩きつつ活発にあちこちと餌を漁る。
主として灌木の茂みの間をわたり歩くが、ときには見通しのよい場所にとまることもある。
人を見るとネズミなどの様に迅速に走って茂みの間に隠れる。
時折り尾を上下に活発に打ち振るが、ときには尾を扇形に広げたり、左右に振ったりすることもある。
飛び立つと低く飛翔しすぐ茂みの中に潜む。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オガワコマドリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 320-322.
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