- 解説一覧
- マミチャジナイ(Turdus obscurus)について

マミチャジナイ(Turdus obscurus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Turdus obscurus Gmelin, 1789
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:18~20 mm
・翼長:114~133 mm
・跗蹠:29~33 mm
・尾長:80~94 mm
・体重:50~117 g
・卵:長径 23.5~30.5 mm × 短径 17.5~21.1 mm 平均長径 21.1 mm × 短径 19.6 mm 重量 6 g
参考文献
- 清棲幸保 1955 マミチャジナイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 285-287.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。中国東北部、シベリア、バイカル湖からカムチャッカ半島にかけて繁殖し、インドネシア、フィリピン、ミクロネシアで越冬する。
日本には秋の渡りの時期に旅鳥として現れるが、沖縄や西南日本では少数が越冬する。
1930年代に富士山麓で繁殖した記録があるが、これは眉斑の出たアカハラの変異個体ではないかと考えられる(Morioka, 1982)。
参考文献
- 中村雅彦 1995 マミチャジナイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 134.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名はくすんだ色の意味。
参考文献
- 吉井正 2005 マミチャジナイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 471.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 和名の解説
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シナイとはシロハラまたはツグミのことである。
参考文献
- 吉井正 2005 マミチャジナイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 471.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 ツグミ科
参考文献
- 吉井正 2005 マミチャジナイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 471.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額・頭上・後頭・後頸は赤錆色を帯びたオリーヴ褐色で、頭上、後頭はやや灰色を帯び、各羽の中央は暗色である。
眼先は黒色、眼の上には白色の細い眉斑があり、眼の後方と耳羽はややオリーヴ色を帯びた灰色である。
眼の下には白色の三角形の斑がある。腮と下嘴の基部は白色、喉は灰色、頬は暗灰色である。
背・肩羽・腰・上尾筒は赤錆色を帯びたオリーヴ褐色、胸、脇は黄味を帯びた赤錆色、腹は白色である。
下尾筒は白色で、各羽の基部の縁はオリーヴ褐色である。
下雨覆・腋羽は灰白色。風切羽は暗褐色で、初列風切、次列風切には赤錆色を帯びたオリーヴ褐色の外縁があり、三列風切の外弁は赤錆色を帯びたオリーヴ褐色である。
大・中・小雨覆は赤錆色を帯びたオリーヴ褐色、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、赤錆色を帯びたオリーヴ褐色の外縁がある。
尾は暗褐色で赤錆色を帯びたオリーヴ褐色の縁がある。最外側の尾羽の内弁の先端には白色斑があるが、ときには痕跡的に小さいものもある。
嘴色は褐色、下嘴の基部は褐色を帯びた黄色、虹彩は褐色、脚色は淡褐色、脛羽はオリーヴ褐色。
【雌】
頭上・後頭は灰色を帯びず、喉は白色で、褐色の小縦斑があり、喉の両側ではその斑紋が大きい。
胸・腋の黄味を帯びた赤錆色は雄より淡い。ほかは雄と同様である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 マミチャジナイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 285-287.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
初毛はバフ白色。羽域は内眼上域・外眼上域・後頭域・上膊域・前膊域・背域。皮膚は肉色。
口内は濃黄色で斑紋はない。口縁は黄白色。
【幼鳥】
背面の地色は赭色を帯びたオリーヴ褐色で、各羽に有する赭色の軸斑は頭上で小さく、背に於いてはやや大きいといえる。
尾羽と風切は成鳥と同じ。小雨覆、中雨覆は帯赭オリーヴ褐色で、先のやや広い赭色の縦斑はある。
大雨覆は帯赭オリーヴ褐色で、先端に小さい淡赭色斑がある。眼先は暗赭褐色。眉斑は帯褐赭色。
耳羽は帯赭オリーヴ褐色で、淡赭色の中央縦斑がある。
頬・喉の両側・頸側・胸はバフ赭色、腮と喉の中央は淡バフ色、脇は橙赭色。
しかし腮・喉の中央と下腹以外の全下面には淡黒色の円形斑を有する。下雨覆は帯灰赭色。
【第1回冬羽】
幼鳥は秋季に体羽・中雨覆と小雨覆のみを換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣の雄の場合は、頭上は背より幾分か灰色を帯びているが、頭上と背との色の差は未だ成鳥のように明瞭ではなく、顔・腮・喉は雌成鳥と全く同様である。
また雌においては雌成鳥に酷似するが、腮と喉は成鳥よりもバフ色を帯びている。
なお大雨覆は換羽しないため、その先端に淡赭色またはバフ白色(摩耗のため褪色)の小斑を有する。
そのほかの背面と下面は成鳥と同じ。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋季の全身の換羽で成鳥冬羽となる。
参考文献
- 山階芳麿 1980 マミチャジナイ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 228-233.
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- 卵の形質
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新鮮卵は緑青色の地に赤褐色と灰鼠色の微細な小斑点が散在し、抱卵が進むと緑青色の地色が薄れて赤クリーム色または褐オリーヴ色などを帯びるのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 マミチャジナイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 285-287.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 似ている種 (間違えやすい種)
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アカハラ
参考文献
- 吉井正 2005 マミチャジナイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 471.
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生態
- 生息環境
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低地に出現する時期はシロハラ、ツグミなどより早く、9月下旬から10月上旬に姿を見せ、丘陵、山地の明るい林ですごす。
市街地の公園にも現れることがある。
参考文献
- 中村雅彦 1995 マミチャジナイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 134.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 食性
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動物質では昆虫類の鞘翅目(オサムシ、カミキリ)、直翅目(イナゴ、キリギリス)、鱗翅目、軟体動物、腹足類の有肺目(マイマイ)、多足類唇脚目のヤスデなどを摂り、植物質では薔薇科のヤマザクラ、ノイバラの実を好んで食物とする。
参考文献
- 中村雅彦 1995 マミチャジナイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 134.
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- 鳴き声
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樹頂にとまってキュル、キュルン、チュリーとアカハラに類似した声で囀り、薄暗い早暁からさえずり、昼間は囀りが少なく、日暮時にまた一頻り盛んである。
警戒時にはキョッ、キョッ、キョッと啼き、飛び立つときにはシーと鋭い声で啼く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 マミチャジナイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 285-287.
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- 特徴的な行動
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渡りの時期にはおびただしい数で群れるというが、ふだんは単独または小群でいることが多い。
参考文献
- 中村雅彦 1995 マミチャジナイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 134.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ