- 解説一覧
- オオジュリン(Emberiza schoeniclus)について

オオジュリン(Emberiza schoeniclus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
-
Emberiza schoeniclus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・嘴峰:9~11 mm
・翼長:雄 79~86 mm 雌 75~78 mm
・跗蹠:19~21 mm
・尾長:58~72 mm
・体重:18~23 g
・卵:長径 18.5~21.5 mm × 短径 15~15.6 mm 平均長径 19.7 mm × 短径 15.2 mm 重量 1.8~2.4 g
参考文献
- 清棲幸保 1955 オオジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 105-107.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分布
-
旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方に幅広く分布し、とくに西部に偏って多く、冬はユーラシア大陸南部、インド、中東地域、アフリカ大陸北部に渡ってすごす。
日本では北海道で夏鳥として繁殖し、近年、本州の東北地方(青森県、秋田県)でも繁殖が確認された。
本州以南には冬鳥として渡来し、とくに関東地方以南に多い。
参考文献
- 中村登流 1995 オオジュリン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 196.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
-
スズメ目 ホオジロ科
参考文献
- 吉井正 2005 オオジュリン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 89-90.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 人間との関係
-
地方によっては栗・黍などの畑に多少の害を与える。
参考文献
- 山階芳麿 1980 オオジュリン, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 241-247.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
【雄】
頭部は黒色で、頬には白線が走っている。冬季は額、頭上、耳羽の各羽には黒色の軸斑と栗色の羽縁とがあり、更にその外側に淡灰褐色の縁がある。
冬季は眼の上に淡クリーム色の眉斑があり、腮、喉は淡褐色で、喉の両側には黒褐色の顎線が走り、顎線は淡褐色である。
後頸から頸側にかけ白色の横帯があり、冬季は後頸は灰褐色、頸側は淡褐色で、頸側の各羽の基部は白色である。
背、肩羽は栗色で、各羽には黒色の幅の広い軸斑があり、冬季は羽縁は灰褐色である。
胸、腹、脇、下尾筒は淡クリーム色を帯びた白色で、上胸と脇の各羽には赤褐色の軸斑があり、冬季は胸の各羽は淡褐色である。
腰、上尾筒は灰色で、各羽には暗褐色の軸斑があり、冬季は淡褐色で、各羽には暗褐色の軸斑がある。腋羽は白色。
初列風切、次列風切、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、淡褐色の細い縁があり、三列風切は黒褐色で、淡褐色の幅広い縁があり、更にその外側にはクリーム白色の細い縁がある。
大雨覆は黒褐色で、外弁には淡赤褐色の幅の広い縁があり、中雨覆は黒褐色で、各羽縁は赤褐色である。
小雨覆は赤褐色で、各羽の基部は暗褐色である。尾は中央の1対は暗褐色で、外弁には赤褐色の幅の広い縁があり、ほかの尾羽は黒褐色である。
外側の2対の尾羽の内弁には楔形の細長い白色の斑があり、最外側のものの方が大きく、外弁の基部の方までも及んでいる。
嘴の上嘴は暗褐色、下嘴は褐色、虹彩は暗褐色、脚色は暗褐色、脛羽は淡灰褐色。
【雌】
額、頭上は栗色で、各羽には黒色の軸斑があり、縁は淡灰褐色である。耳羽は暗赤褐色で、耳羽の後端は黒褐色である。
眼の上にはクリーム色の幅の広い眉斑がある。喉は赤味のあるクリーム色で、嘴の両側には黒褐色の顎線が走っている。
頸に白色の帯がない。上胸、脇の各羽には黒褐色の軸斑がある。
腰、上尾筒は淡褐色で、各羽には暗褐色の軸斑がある。ほかは雄と同様である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オオジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 105-107.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
-
【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、暗黒色の長く豊富な初毛が眼の上、後頭、上膊、前膊、背、腿、脛、腹などの羽域に生えているが、腹のものは疎生している。
口内は紅鮮色、口角縁は黄白色である。
【幼羽】
雌成鳥に似るが背面の縦斑は顕著で、羽縁はバフ白色またはバフ黄色を呈する。
腰と上尾筒はバフ色で黒色縦斑がある。下面はバフ黄色で喉と胸は濃く、胸と脇には黒色の縦斑と点がある。
腹の中央だけは白色で縦斑がない。大雨覆・中雨覆の羽縁は成鳥のものより狭くて淡い。
【第1回冬羽】
幼鳥は8月から9月に風切と尾羽以外を全部換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣は成鳥冬羽に似るが、頭上の羽毛のバフ色の縁は広く、後頸の白帯は小さく、バフ色の眉斑は明らかである。
喉と上胸の中央の羽毛の基部は黒色であるが、腮の羽毛の基部はバフ色である。
【第1回夏羽】
幼鳥は翌年の春季に成鳥と同様の部分を換羽する。
この羽衣は、ほとんど成鳥夏羽と同様であるが雄の後頸の白帯は狭く、胸の黒色は短い。
雌の頭上は褐色に富み、胸と脇に縦斑が多い。なお、この換羽は不完全なものも多い。
参考文献
- 山階芳麿 1980 オオジュリン, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 241-247.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 卵の形質
-
卵は淡灰褐色の地に、褐色または黒褐色の粗大な線形の斑と小斑点とがある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オオジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 105-107.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
湿地帯とその周辺の草原にすむ。繁殖地では水湿地のヨシ草原から、その周辺の丈の低いクサヨシやスゲの草原でもみられる。
しかし同所性のシマアオジに比べて比較的ヨシ型の草原に集中し(城殿, 1977)、シマアオジよりも水辺の丈の高い草原にいる(中村ほか, 1968)。
冬は湖沼や河川の沿岸のヨシやマコモ草原ですごす(山岸ほか, 1969)。
参考文献
- 中村登流 1995 オオジュリン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 196.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 食性
-
ヨシ原の地上や茎で採食する。
高い草の茎に斜めにとまったり、2本の茎の間にまたがって止まったり、垂直の茎を上下にずれるように移動したりできる(山岸ほか, 1969)。
こうして、枯れたヨシの茎で葉鞘をむしったり、はぎとったりして越冬中のワタムシ類をとり出す。
また、ヨシ草原は湿った地面がよく出ていて、落ちている種子が見つけやすい。
稲刈り後の2次出穂の種子をついばむため、ヨシ腹近くの水田にもよく出てくる。
植物の種子だけではなく、夏季には昆虫類などもついばむ。
参考文献
- 中村登流 1995 オオジュリン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 196.
- 清棲幸保 1955 オオジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 105-107.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
-
繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は草株の根元の地上や草株の上、藪の小枝の中などに置くようにつくる。
巣づくりは雌のみがおこない、雄はついてまわり、メイトガードをする。
1巣卵数は13~14日で孵化し、両親に給餌されて、10~13日で巣立つ。
参考文献
- 中村登流 1995 オオジュリン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 196.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 鳴き声
-
チュウイッ、チュウイッと地啼きする。
チュウイ、チュウイ、チュウイ、チッ、チッ、チッ、チュウイ、チュウイ、チュウイ、チッ、チッ、チッと囀り、囀るときには多くは草類(例えばススキ)の穂先にとまる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 オオジュリン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 105-107.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
-
繁殖期にはなわばり分散をする。行動圏は主要部が 4000~10000 ㎡、比較的円形で、同心円状に 1000~3000 ㎡のさえずり地域がある。
巣はその中にあり、場所によっては巣が近くに集まり、採食に外に出ていくルーズコロニーになることがある。
さえずりや対立のときに、雄は襟の白い羽毛を逆立てる。
雄は地上で翼と尾羽を開き、腰の白い羽毛を逆立てて求愛ディスプレイをする(中村ほか, 1968)。冬は大小のルーズな群れですごす。
参考文献
- 中村登流 1995 オオジュリン, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 196.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ