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ギンザンマシコ(Pinicola enucleator)の分類 アトリ科(Fringillidae)
ギンザンマシコ(Pinicola enucleator)の概要 ギンザンマシコ属(Pinicola)

ギンザンマシコ(Pinicola enucleator)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Pinicola enucleator (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:15~16.5 mm
・翼長:100~108 mm
・跗蹠:20~23 mm
・尾長:74~86.5 mm
・体重:1.9~2.1 kg
・卵:長径 23~30 mm×短径 16.9~19.1 mm 平均長径 26 mm×平均短径 17.7 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

分布

全地区。ユーラシア大陸から北アメリカ大陸の亜寒帯の山地やツンドラ地帯に広く分布する。
日本では北海道の高山帯だけで繁殖する。冬は山麓から平地に移動するが、本州では新潟県、長野県、石川県にごくまれな記録しかない。

参考文献

  • 中村登流 1995 ギンザンマシコ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 230.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

分類学的位置付け

スズメ目 アトリ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ギンザンマシコ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 180.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

形態

成鳥の形質

雄:頭部、頸、胸はバラ色で、各羽の基部は灰色をしている。中央には灰白色の軸斑があり、灰白部はバラ色の羽が所々から見えている。

肩羽と背は暗灰色で、各羽にはバラ色の幅の広い縁があり、基部には淡灰色の軸斑がある。

腹と脇は淡灰色で、各羽には紅色の縁があり、腹の中央は淡灰色を呈する。腰、上尾筒は灰色で、各羽には淡紅色または淡橙色を帯びた灰白色の縁がある。下尾筒は淡灰色をしている。

風切羽は暗褐色で、初列風切の外弁にはやや淡紅色を帯びた白色の細い縁があり、三列風切のものはその幅が著しく広い。

大、中雨覆は黒褐色で、各羽には淡紅色を帯びた白色の幅の広い縁があり、小雨覆は暗灰色で、各羽縁は紅色である。腋羽は灰白色を帯びる。

尾は暗褐色で、やや紅色を帯びた灰白色の細い縁がある。嘴毛は暗褐色、嘴色は上嘴は暗褐色を帯びた角色、下嘴は褐色を帯びた角色、虹彩は暗灰色、脚色は暗褐色、脛羽は灰色である。

雌:頭部、頸、胸はオリーヴ黄色で、各羽の基部は灰色で、灰白色の軸斑があり、灰色部はオリーヴ黄色の羽毛の所々から見えている。肩羽、背は暗灰色、腹、脇は淡灰色で、各羽にはオリーヴ黄色の縁がある。

腰は灰色で、各羽にはオリーヴ黄色の幅の広い縁があり、上尾筒は灰色で、各羽にはオリーヴ黄色を帯びた灰白色の縁がある。

風切羽や大、中雨覆の羽縁は白色で、小雨覆の各羽縁はややオリーヴ黄色を帯びている。

尾は暗褐色で、オリーヴ黄色を帯びた灰白色の縁がある。ほかは雄と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

卵の形質

卵1巣の卵数は3~5個で、4個の列が多い。卵は濃緑青色の地に、黒紫色と褐紫色の斑点が散在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

生態

生息環境

大雪山では標高 1,800 m以上のハイマツ帯、日高山脈でも標高 1,600 mのハイマツ帯に生息する。冬は山麓部に標行し、カラマツ、トドマツ、エゾマツなどの針葉樹林や平地に現れる。しばしばナナカマドの実を求めて北海道内の市街地にも現れる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ギンザンマシコ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 230.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

食性

植物質の餌が主で、ハイマツなどのマツ科の種子、トドマツの冬芽、ミヤマハンノキ、コシアブラ、ナナカマドなどの実を食べる。夏は昆虫もついばむ。地上で餌を探すことも多く、あまり人を恐れない。

参考文献

  • 中村登流 1995 ギンザンマシコ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 230.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

鳴き声

ピㇽ、ピュルまたはピㇽ、ピュルまたはピーピーピュイとフルート様の声で囀り、チゥイ、チュー、チゥイ、チューと地鳴きする。飛び立つ時にはチャッ、チャッと鳴く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

産卵

北海道の高山のハイマツ林内で繁殖するが、詳しい生態は不明な点が多い。番で生活し、雄はハイマツの上でよくさえずる。また夏に、雌雄で大きな波形を描いて、飛ぶ姿が見られる。千島列島やサハリンでの観察記録によると、ハイマツなどの針葉樹やカンバ類のあまり高くない枝上に、小枝を組み合わせて椀形の巣をつくる。

産卵期は6~7月、1巣卵数は3~4個まれに5個で、抱卵日数は13~14日、雌だけが抱卵する(山階,1985)

大雪山における繁殖例では、地上から 1.2 mの高さのハイマツの枝に巣があり、8月8日に孵化して7日ほどの3羽の雛がいたが、8月14日には巣立っていたという(石川,1976)

参考文献

  • 中村登流 1995 ギンザンマシコ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 230.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

子育て

雛は抱卵後13~14日で孵化し、雛は両親から哺育される。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

特徴的な行動

夏季は雌雄で生活し、冬季は群れていることが多い。イスカと同様に枝から枝に跳ね移ったり、樹幹をよじ登ったりする。地上で餌をついばむことが多い。地上では両脚を揃えて跳ね歩き、ときには両脚を交互にして歩むこともある。飛翔は波形である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ギンザンマシコ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 66₋67.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

その他生態

夏は雌雄で生活するが、冬は小群を形成する。

参考文献

  • 中村登流 1995 ギンザンマシコ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 230.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

関連情報

その他

日米渡り鳥条約、日露渡り鳥条約指定種である。

参考文献

  • 吉井正 2005 ギンザンマシコ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 180.

最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン

種・分類一覧