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- アトリ(Fringilla montifringilla)について

アトリ(Fringilla montifringilla)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Fringilla montifringilla Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:11~17 mm
・翼長:81~97 mm
・跗蹠:17~21 mm
・尾長:55~68 mm
・体重:17~26 ℊ
・卵:長径 18.1~22.2 mm×短径 13.5~15.6 mm 平均長径 19.5 mm×短径 14.6 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。スコットランド、スカンジナビア半島、ロシア、シベリア、アムール、サハリンなどユーラシア大陸の亜寒帯針葉樹林で繁殖し、日本には冬鳥として全国に渡来する。
参考文献
最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額、頭上、後頭、頸、背は藍光沢のある黒色を呈し、各羽縁は赤狐色で、基部は淡灰色であるが、春季は赤狐色を欠いている。
上背には白斑がある。眼先、耳羽、頬は藍光沢のある黒色で、各羽縁は狐色を呈し、春季は狐色を欠いている。
肩羽、胸、下尾筒は赤狐色、腹、脇、腰は白色で、脇の各羽縁は赤狐色を呈し、各羽には黒色の卵形の小斑がある。
上尾筒は大部分黒色で、各羽には赤狐色を帯びた灰色の縁がある。
風切羽は黒色で、初列風切の外側のものの外弁には淡黄色の細い縁があり、内弁の基部には白色の縁がある。
第5羽以下の外弁の基部は白色である。第1羽は痕跡的で極めて小さい。
次列風切の外弁の前半部には淡黄色の細い縁があり、外弁の基部は淡黄色を帯びた白色である。
三列風切の外弁の前半部には赤狐色の幅の広い縁があり、外側の基部は淡黄色を帯びた白色である。
内弁の基部には白色の縁がある。大雨覆は藍光沢のある黒色で、各羽には赤狐色を帯びた白色の幅の広い縁がある。
中雨覆は白色で、各羽縁はやや淡狐色を帯びている。小雨覆は黄味を帯びた赤狐色である。
初列雨覆は黒色で、各羽の外弁には淡黄色の細い縁があり、小翼羽は黒色で、各羽縁は灰色である。
腋羽は黄味を帯びた白色。尾は黒色で、淡黄色を帯びた灰白色の細い縁がある。中央の1対の尾羽の内弁は石盤色を帯びている。
最外側の尾羽の外弁の基半部は白色で、内弁には軸から先端に向かって斜め走る白色または灰白色の線がある。
嘴色はオレンジ黄色、冬季は先端黒色、春季は先端石盤黒色、虹彩は褐色、脚色は褐色を帯びた肉色、脛羽は雄は灰黒色、雌は灰白色。
【雌】
額、頭上、後頭、背、肩羽は暗褐色で、各羽には灰褐色の縁がある。
眼先、耳羽、頬は灰色、腮、喉は淡狐色、上頸、背は淡灰色である。胸は淡狐色で、腹は汚白色、脇は白色で各羽縁は狐色である。
上尾筒は暗褐色で、各羽には淡狐色を帯びた灰白色の縁がある。下尾筒は淡狐色を帯びた白色である。
初列風切、次列風切、中雨覆の外弁にはレモン白色の細い縁があり、小雨覆は暗褐色で、羽縁は狐色である。ほかは雄と同様である。
参考文献
最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、頭上、上膊、背、前膊、腹、腿、脛などの羽域にだけ白色の初毛が生えている。
【幼鳥】
雌成鳥に似るが腰と腹は黄色を帯び、大雨覆と中雨覆は黒色で、先端だけバフ白色である。
【第1回冬羽】
幼鳥は8月から9月に初列雨覆・風切と尾羽を除き、全体を換羽して第1回冬羽となる。新羽は成鳥冬羽と同じ。
【第2回冬羽】幼鳥は第2年の秋季に風切と尾羽を含む、すべてを換羽して成鳥の羽衣となる。
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生態
- 生息環境
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渡来初期には山地の森林で生活し、越冬期から春先にかけては山麓の雑木林や農耕地に現れ、ときには開けた水田地帯で数千羽~数万羽の群れをつくって採食する。
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- 食性
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ナナカマド、ズミなどの果実を食べるが、カエデ類などの翼果やモミなどの針葉樹の種子も集団で食べる。
群れのまとまりは比較的強く、水田や河原では密集して草本類の種子を採餌する。
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- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。カバノキ、モミ、マツなどの林に営巣し、主に枯れ草を用いて椀形の巣をつくる。
1巣卵数は6~7個、約2週間で孵化し、雛は14日前後で巣立つ。
参考文献
最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期には、番が比較的広いなわばりをもって生息環境内に均一に分散し、なわばりの中で雛に与える鱗翅類の成虫・幼虫など主に昆虫を採餌する。
捕獲した餌は、ヒワ類のように嗉嚢に大量に貯えて運ぶことなく、1度に1匹か2匹の虫をくちばしにくわえて運搬し、雛に給餌する。
本種は、まずなわばりを確立し、雄はその中でしきりにさえずることで雌を引きつけ、番を形成してから繁殖するという、同じアトリ科でもヒワ類とは異なる繁殖様式をもつ(Newton, 1972)。
非繁殖期には群れで越冬するが、渡来数は年によって違いが大きい。
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