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- キバシリ(Certhia familiaris)について

キバシリ(Certhia familiaris)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Certhia familiaris Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:11~16 mm
・翼長:59~69 mm
・跗蹠:14~16 mm
・尾長:51~65 mm
・体重:7~9 g
・卵:長径 14.1~16.5 mm × 短径 11.5~12.2 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 キバシリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 156-158.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中緯度地方を横断するように分布する。日本では北海道、本州、四国、九州に留鳥である。
参考文献
- 中村登流 1995 キバシリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 124.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 キバシリ科
参考文献
- 吉井正 2005 キバシリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 167.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。額・頭上・後頭・後頸は黒褐色と莨様の黄褐色との混在した色で、各羽の先端には白色の軸斑があり、後頸の白斑は頭上のものより大きい。
眼の上には白色の眉斑がある。眼先・耳羽・眼の下は頭上と同様である。腮・喉・頬は絹様光沢のある白色である。
背・肩羽は頭上と同様であるが、白色の軸斑が後頸のものより更に大きい。
胸・腹・脇・下雨覆・腋羽は絹様光沢のある白色で、各羽の基部は石盤黒色である。
腰・上尾筒は黄褐色で、各羽の基部は石盤黒色で先端には白色の軸斑がある。
下尾筒はやや淡黄褐色を帯びた白色である。
風切羽は暗褐色で、初列風切の第4羽では外弁に2箇所淡黄褐色の斑紋があり、初列風切の第5羽以後および次列風切も同様である。
そのほか、内弁の中央に淡黄褐色を帯びた白斑があり、羽端には白斑がある。
内弁の中央の斑は内側風切羽のものほど大きい。
三列風切では外弁の中央に淡黄褐色を帯びた白斑があり、羽端にも白斑がある。内弁は褪せた褐色である。
大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、羽端には黄褐色を帯びた白斑がある。
尾は褪せた褐色で、外縁に黄褐色の細い縁があり、羽軸は淡黄褐色である。
嘴色は上嘴は黒褐色、下嘴は黄褐色で、先端は暗褐色。虹彩は褐色、脚色は汚肉色。脛羽は黄褐色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 キバシリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 156-158.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、灰黒色の長い初毛が眼の上と後頭の羽域に生えている。口内は黄色、口角縁は黄白色である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 キバシリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 156-158.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は白色に淡紫色と紫褐色の微細な斑点が散在する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 キバシリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 156-158.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低山帯上部から亜高山帯にかけての樹林にすみ、ブナやハルニレのような落葉広葉樹林、モミ、シラビソ、トウヒ、コメツガなどの針葉樹林など、比較的大きい樹木の多い林や、霧が多くて地衣類が発達した林を好む。
参考文献
- 中村登流 1995 キバシリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 124.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 食性
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樹幹部、大枝部など、樹木の中心部で採食する。
主として幹の上方へ体をずり上げるようにして移動しながら、地衣類やコケ類の間、あるいは樹皮の裂け目などの細かい隙間を、頸をねじって覗き込む。
上方へはジグザグ、または螺旋状によじ登っていく。
登りつめると、近くの木の下方部へ飛び降り、再びよじ登り、樹木の樹皮の表面をしらみつぶしに探索し、特に樹枝状地衣類の根元などを念入りに調べる。
いくらか下弯した細長いくちばしを、首をねじって、いろいろな角度から隙間へ差し込んで、隠れている小型の甲虫、アブ、鱗翅類の幼虫、クモ類などを捕らえる。
場合によっては草の実などを食すこともある。
参考文献
- 中村登流 1995 キバシリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 124.
- 山階芳麿 1980 キバシリ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅰ. 出版科学総合研究所. 341-342.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は3~6月ごろ、一夫一妻で繁殖する。
巣は洞穴借用型で、樹洞、幹や大枝の裂け目の中に、樹皮片などで外装をつくり、内装には獣毛を敷く。
1巣卵数は4~5個、抱卵は雌だけが行い、雄は餌を運ぶ(宮下, 1975)。抱卵日数は14~15日、雛は14~15日ぐらいで巣立つ。
育雛は雌雄共同で行う。巣立った雛はしばらく群れており、しばしば樹幹の一部にかたまって休む。
参考文献
- 中村登流 1995 キバシリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 124.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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チッ、チッという鋭い金属性の声で地啼きする。幼鳥を伴っているときや、育雛ときにだけ啼き、常には黙っていることが多い。
繁殖期にはこの鳥の囀りとは思われないくらい優美な声でピチョ、ピチョ、ピイピイ、ピイピイ、ピリ、ピリ、ピリーと囀り続ける。
参考文献
- 清棲幸保 1955 キバシリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 156-158.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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常に単独、または番で見られる。同種だけの群れは家族期以外にはつくらず、カラ類などの混群に入る。
行動圏は直径約 200 mぐらい(宮下, 1975)。繁殖期には強いなわばりをもって分散する。さえずりは早春と秋によく聞かれる。
参考文献
- 中村登流 1995 キバシリ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 124.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ