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ショウドウツバメ(Riparia riparia)の分類 ツバメ科(Hirundinidae)
ショウドウツバメ(Riparia riparia)の概要 ショウドウツバメ属(Riparia)

ショウドウツバメ(Riparia riparia)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Riparia riparia (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:6~7.5 mm
・翼長:67.5~110 mm
・跗蹠:10~10.5 mm
・尾長:50~56 mm
・体重:12~18 g

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最終更新日:2020-07-08 キノボリトカゲ

分布

全北区、エチオピア区、東洋区。北半球の温帯以北に広く繁殖分布し、冬はアフリカ大陸、東南アジアなどの熱帯で越冬する。

日本には夏鳥として5月ごろに渡来し、北海道のみで繁殖する。

かつて、秋田県八郎潟付近で幼鳥が観察されたという報告もあるが、本州での繁殖地は発見されていない。

春と秋の渡りの時期に、本州以南を旅鳥として通過する。

とくに、秋には河原や干潟に大群で出現し、しばしばツバメと混じってアシ原などで集団で塒を形成する。

最近、茨城県霞ヶ浦などで一部の個体が越冬することが判明した(吉井・叶井, 1979)。

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分類学的位置付け

ツバメ科

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形態

成鳥の形質

【雄雌同色】
額・頭上・後頭・後頸・眼先・耳羽・頬は土のような暗褐色、腮・喉は白色である。

背・肩羽・腰・上尾筒も頭上と同様な暗褐色で、秋季には肩羽・腰・上尾筒の各羽には白色の羽縁がある。

胸・腹・脇・下尾筒は白色で、胸には暗褐色の幅の広い帯があり、脇の各羽の羽端は暗褐色である。

下雨覆・腋羽は暗褐色、翼も暗褐色である。尾は暗褐色で、白色の細い羽縁がある。

嘴色は黒色、虹彩は褐色。脚色は暗褐色、脛羽は暗褐色。

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最終更新日:2020-07-08 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、眼の上、後頭、背、上膊などの羽域に淡灰色の長い初毛が生えている。

口内は淡黄色、口角の縁は淡黄色である。

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卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。長卵形、短卵形、楕円卵形、洋梨形などがある。

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似ている種 (間違えやすい種)

チョウセンショウドウツバメ

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生態

生息環境

北海道の河川や湖の岸、海岸の砂土、泥炭などの崖に集団で巣を掘る。何百という巣穴が同一の崖にある場合もある。

湿原を割って流れる北海道の河川には、本種の営巣に適した崖が多い。

しかし、近年は河川や道路の改修などによって、砂や土の断崖面が減少し、営巣できる環境が徐々に少なくなってきている。

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食性

営巣地周辺の原野、湿地、海岸などの上を飛び回り、空中で飛翔中のウンカ、フウセンムシ、ミズムシ、ハエなどの昆虫を捕食する。

ヒラヒラとはばたいて飛ぶが、イワツバメより飛び方が遅く、ツバメより滑空することが少ない。

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鳴き声

チュリ、チュリ、チュリと飛翔しながら啼く。

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特徴的な行動

繁殖期は6~8月、年に2回、一夫一妻で繁殖する。巣穴は直径 5~9 cmで。深さ 1 mにも及ぶものもある(清棲, 1978)。

巣の最深部に獣毛、羽毛、枯れ草を利用した椀形の産座がある。

巣づくりは雌雄とも行い、2週間以上をかけて巣穴を掘る場合がある(Cramp, 1988)。

産卵前の約1週間は雌が巣の外へ出ると、雄はその後ろにピッタリくっついて飛び、婚外交尾を防ぐためにメイトガードを行う(Beecher & Beecher, 1979)。

産卵期の雌は体内に卵をもっているので、体が重くなって飛び方が重々しくなり、それによって周りの雄は受精可能な雌を識別し、婚外交尾を試みるという。

1巣卵数は3~5個、抱卵日数は12~16日、雌雄国体で抱卵する(Cramp, 1988)。

抱卵の仕事量は雌雄ともほぼ等しい。雌雄とも雛に給餌し、雛は約19日で巣立つ。

巣立ち間近の雛たちは巣から飛び出し、隣接する巣穴に飛び込むため、親は間違えて自分の子以外の雛に給餌することがあるが、雛は成長するにつれて認識コール(signature call)とよばれる2音節の声を発達させるため、親は自分の子を区別して給餌することができる(Beecher et sl., 1981)。

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その他生態

集団で繁殖する。渡りの時期には大群を形成する。繁殖活動を終えた成鳥は、先にコロニーを離れて渡りを開始し、幼鳥は成鳥より遅れて渡りを開始するが(玉田ほか, 1993)、愛知県鍋田では、明らかに渡りの途中と思われる群れの中で餌の授受が行われている写真があるので、渡りのときにも親子関係が持続されている場合があるらしい(高野, 1980)。

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