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アオバト(Treron sieboldii)の分類 ハト科(Columbidae)
アオバト(Treron sieboldii)の概要 アオバト属(Treron)

アオバト(Treron sieboldii)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Treron sieboldii (Temminck, 1835)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:18~21 mm
・翼長:雄 183~196 mm 雌 177~187 mm
・跗蹠:24~28 mm
・尾長:雄 109~133 mm 雌 103~123 mm
・体重:217~300 g
・卵:長径 29~32.6 mm×短径 21~27.4 mm、平均長径 31.9 mm×短径 24.3 mm。重量 8.3~10.1 g。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分布

旧北区。繁殖分布は日本列島に限られ、冬は台湾や中国南部に渡る。

北海道、本州、四国、九州で繁殖し、北海道では夏鳥、ほかは留鳥、薩南諸島、南西諸島には冬に現れる。本州中部以南に多い。

参考文献

  • 中村登流 1995 アオバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 88.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ハト目 ハト科

参考文献

  • 吉井正 2005 アオバト, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 6-7.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額は多少緑色を帯びた黄色、頭上、後頭、耳羽の上部、後頸はオリーブ緑色である。

耳羽の下部、眼先、頬、腮、喉、前頸、頸側は多少緑色を帯びた黄色である。

肩羽はやや赤褐色を帯びた暗オリーブ緑色、背はやや灰色を帯びたオリーブ緑色である。

背の各羽の基部は灰鼠色であるが、外部からは見えない。

胸はやや緑色を帯びた黄色、腹、脇はミルク色またはクリーム白色で、下腹と脇には暗オリーブ緑色の軸斑がある。

腰、上尾筒はオリーブ緑色、下尾筒は長くて尾羽の先端までも達し、クリーム黄色で、オリーブ緑色の幅の広い軸斑がある。

下雨覆、腋羽は暗石盤灰色。初列風切、次列風切は石盤黒色で、各羽には硫黄様の淡黄色の細い外縁があり、次列風切の外縁は初列風切より幅が広い。

三列風切はオリーブ緑色、大雨覆は暗オリーブ緑色で、硫黄様の淡黄色の細い縁があり、中、小雨覆は赤褐色である。

初列雨覆、小翼羽は石盤黒色。

尾は中央の1対は黄色を帯びたオリーブ緑色、次の1対も大部分同様であるが、ほかの尾羽は石盤灰色で、外弁は緑色を帯び、先端の部分(全体の3分の1)は石盤黒色で、羽端には更に緑灰色の細い縁がある。

尾の下面は石盤黒色で、羽端には灰色の縁がある。

嘴色は鉛灰色、先端は黄色を帯びている。虹彩は赤色、脚色は赤色。

【雌】
雄に類似するが、額、前頸、胸は緑色が強く、中、小雨覆は赤褐色でなく、黄色を帯びたオリーブ緑色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

雌成鳥に類似するが、額、頸、上胸は黄色勝ちである。雄幼鳥では小雨覆に赤褐色の斑が少しばかりある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は乳白色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

生態

生息環境

山地帯の常緑広葉樹林、落葉広葉樹林にすむ。

亜高山帯の針広混交林や、冷温帯のブナ林にも現れるが少なく、西南日本のシイ、カシなどの常緑広葉樹林に多い。

参考文献

  • 中村登流 1995 アオバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

食性

樹上、とくに小枝や葉が茂る樹冠部で採食したり、林内や林緑の地上で採食したりする。

樹木や草の実・果実・種子などを食べるが、どんぐりのような堅果もくわえてむしりとり、丸のみする。

シイやカシ類の樹冠の茂みの中に静かに止まって、黙々と食べる。

北海道ではヤマザクラやクワの実がなると、そこに集まる。

海岸の岩礁地でミネラルをとるために、海水を飲みに集まる場所があり、北海道の小樽市、神奈川県の大磯などが知られる。

参考文献

  • 中村登流 1995 アオバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 88.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖についてほとんどわかっていないが、おそらく一夫一妻で繁殖する。

巣が見つかっているのは6月。地上 1~6 mぐらいの樹木の枝の上に、小枝を集めて粗雑な巣をつくる。

1巣卵数は2個。雌雄関係や分担などの記載はない。

人家近くにもいる鳥ではありながら、常緑樹の茂みの中に潜んでいて、あまり見る機会がないことによるものであろう。

近緑のオナガバトの飼育下の観察では、抱卵日数は14日ぐらい、雛は12日ぐらいで巣立つ。

雄には巣へ雌をよぶディスプレイがあり、喉の羽毛を逆立て、翼と尾羽を開いて頭を下げるという。

参考文献

  • 中村登流 1995 アオバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 88.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

鳴き声

オ、ア、オー。オ、ア、オーまたはオ、マ、オー。オ、マ、オーまたはホーホ、ヒーオー、ホーホ、ヒーオーなどと尺八の音に似た声で長く続けて啼き、九州では冬季にも啼き、警戒するときにはピューと鋭い声で啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

特徴的な行動

細い樹枝を主材として、浅い皿形の巣をつくり、外径 20~30 ㎝位で、キジバトの巣よりやや精巧である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 アオバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 674-676.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

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