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キジバト(Streptopelia orientalis)の分類 ハト科(Columbidae)
キジバト(Streptopelia orientalis)の概要 キジバト属(Streptopelia)

キジバト(Streptopelia orientalis)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Streptopelia orientalis (Latham, 1790)

基本情報

大きさ・重さ

成鳥全長:約 33 cm

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最終更新日:2020-07-15 En

渡り区分

北海道以北樺太、千島には夏鳥として春の3月下旬ごろに渡来し、冬の12月ごろまで留まるが、北海道では極めて稀に越冬するものもある。
本州中部の山地(標高 800〜1900 mくらい)のものは夏鳥で、春は4月上旬ごろに山麓から渡来し、秋の10月下旬ごろまで留まっているが、標高 800 m以下の地では冬季にも生息し、冬季は特に平地に多い。

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分布

シベリア西部から中国・インド南部・ミャンマーに分布。日本では全国で繁殖する。

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生息状況

低危険種LC(IUCN)、環境省記載なし

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亜種・品種

奄美諸島・琉球諸島に亜種リュウキュウキジバト S. o. stimpsoni が生息。

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別名・方言名

ヤマバト(山鳩)、ノバト(野鳩)などとも言う。

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人間との関係

以前は山地で繁殖し、冬は平地に降りてくる漂行を行なったが、1960年代からは市街地で繁殖するものが出始め、1980年代には大都会の繁華街の並木でも営巣するようになった。
豆類やムカゴなどを好み、豆畑や長芋畑によく降りて、しばしば豆畑に被害を及ぼす。

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形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上は灰色で後頭の方ほど赤葡萄酒色を帯びた灰褐色である。
耳羽、腮、喉は淡赤葡萄酒色を帯びた汚灰色または灰白色である。
眼の周囲は鉛色を帯びた菫色である。頸は赤葡萄酒色を帯びた灰褐色で、両頸側には黒色で、縁が灰鼠色の羽からなる数条の横帯様の斑点がある。
肩羽は石盤黒色で、各羽には赤錆色の幅の広い線があり、背は石盤色で、背の上部の各羽には赤錆色の縁がある。
胸、腹は淡赤葡萄酒色を帯びた淡灰色、脇、下尾筒は淡灰色である。腰と上尾筒は青味がかった石盤灰色で、上尾筒の各羽縁は赤錆色である。下雨覆、腋羽は淡灰色。
初列風切は暗石盤褐色で、羽端と外弁には赤錆色の縁がある。次列風切は暗石盤色で、羽端と外縁には灰鼠色の縁がある。三列風切は暗石盤色で、赤錆色の縁があり、外側のものは羽縁が灰色である。
初列雨覆、小翼羽は暗石盤褐色である。尾は灰黒色で、羽端には淡灰色の幅の広い帯があるが、中央の1対ではその幅が狭い。外側の1対の尾羽の外弁は大部分が淡灰色である。嘴色は暗鉛灰色、虹彩は橙黄色から橙赤色までの各種の色。脚色は赤紫色。

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幼鳥の形質

【雛】孵化直後の雛は青味のある紅肉色の皮膚で、全身に淡黄褐色の長くて縮れた初毛が密生する。
【幼鳥】額、頭上は褐色で、頸側には成鳥にある黒色と灰鼠色からなる横帯様の斑を欠いている。嘴の各羽には赤錆色の縁がある。
肩羽と雨覆羽の縁は淡赤錆色であるが、その縁の幅は成鳥のより狭い。体の下面は成鳥より淡色で、褐色が強い。虹彩は褐色。

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卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。

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生態

生息環境

低地から亜高山帯まで、また農耕地や雑木林から原生林まで、幅広く住む。特に畑地と周辺の集落、雑木林に多い。公園や街路樹、庭木などのある市街地にも住む。ニセアカシアが多い河川敷にも多数生息する。

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食性

地上に降りて交互歩行をしながら、落ちている種子、果実などをついばんで食べる。低木の小果実もよく食べ、樹枝場でゆっくりと近づき、首を伸ばして、ときには逆さになったりして、くちばしでくわえてむしり取り丸呑みにする。主として植物食であるが、昆虫やミミズなどの動物質も食べる。

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ライフサイクル

繁殖期は長く3〜11月におよび、多くは4〜6月。
一夫一妻で繁殖するが、番の関係は長く続かず、1つの養殖サイクルだけで、失敗した場合も番を解消する場合が多い(野沢, 1976)。
巣は樹上の横枝の上の、地上 1〜10 mくらいのところに小枝を粗雑に組んで浅い皿形につくる。雄が小枝をくわえて雌を巣場所へと導くディスプレイを行い、雄が巣材を運び、雌が4日ぐらいでつくる(野沢, 1976)。
この時期に巣を覗くと、ほとんど巣場所を変更する。1巣卵数は2個、抱卵は雌雄交代で行うが、雌は主として夜間を、雄が日中を担当する(野沢, 1976)。
ヒナは15〜16日ぐらいで孵化し、両親に養われて15〜17日ぐらいで巣立つ。ヒナは親の口の中へくちばしを入れて、親の分泌するピジョンミルクを食べる。このため、キジバトの給餌状態はほかの樹林性の鳥とかなり違った印象を与える。

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鳴き声

デデポーポ、デデポーポーと鳴く。最もよく啼くのは5月から8月頃までである。

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生殖行動

繁殖期にはなわばり分散をする。範囲は 150 m四方くらいで、雄が防衛行動を取る(野沢, 1976)。雄は目立つところに止まり、じっと座り込み、喉を大きく膨らませてしきりにさえずる。
雄の雌に対する求愛行動は、雌が何回も飛翔ディスプレイをした後で、雌が止まっている枝の上や雌の近くに止まり、枝上でウグッウグッと鳴きつつ行われる。喉を膨らませて、おじぎのような動きをしながら、雌の方へ歩いたり、雌の前で回ったりする。

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種・分類一覧