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カラスバト(Columba janthina)の分類 ハト科(Columbidae)
カラスバト(Columba janthina)の概要 カワラバト属(Columba)

カラスバト(Columba janthina)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Columba janthina Temminck, 1830

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:18~21 mm
・翼長:213~246 mm
・跗蹠:29.5~37.2 mm
・尾長:149~177 mm
・卵:長径 39.5~44 mm × 短径 29~31 mm 平均長径 42.1 mm × 短径 30.5 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分布

旧北区。日本に限られた分布をする。

日本では著しく島嶼性で、本州西南部沿岸地方、四国、九州、南西諸島に生息するが、本州では非常に少なくなり、紀伊半島のごく一部に記録があるだけである(樋口ほか, 1982)。

四国でもすでに周辺の小さい島々だけにしかいなくなった(石原, 1982)。

本州、九州の状況も同じで、隠岐、壱岐、対馬、そのほか、玄界灘の小さい島々で見られるのみだが、福岡県沖ノ島には多い。

伊豆諸島ではまたかなり繁殖しており、青ヶ島、三宅島、御蔵島に多い。小笠原諸島、硫黄列島、八重山諸島の石垣島・西表島・与那国島などで繁殖する。

天然記念物と危急種に指定されている。

参考文献

  • 中村登流 1995 カラスバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 89.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

和名の解説

和名はカラスのように体が黒いことによる。

参考文献

  • 吉井正 2005 カラスバト, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 137.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

亜種・品種

アカガシラカラスバト、ヨナクニカラスバト

参考文献

  • 吉井正 2005 カラスバト, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 137.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ハト目 ハト科

参考文献

  • 吉井正 2005 カラスバト, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 137.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雄同色。頭部は石盤黒色で、薔薇紫色の金属光沢がある。喉は特に緑色の金属光沢が強い。

頸、背、胸は石盤黒色で、緑色の金属光沢があり、光線の具合では薔薇色の光沢を発する。

背の中央は緑色の光沢が強く、紫菫色の金属光沢がある。肩羽は石盤黒色で、緑色の金属光沢が多少あり、各羽には黒色の細い縁がある。

腹は石盤黒色、腰は石盤黒色で、緑色の金属光沢があり上尾筒と下尾筒は石盤黒色で薔薇色の金属光沢があり、下尾筒の各羽縁は緑色の金属光沢が強い。

下雨覆、腋羽は石盤黒色。風切羽は褐色を帯びた石盤黒色。

大、中、小雨覆は石盤黒褐色で緑色の金属光沢があり、各羽には黒色の細い縁がある。

初列雨覆、小翼羽は石盤黒色。尾は黒色を帯びた石盤黒色である。嘴色は暗青色、先端は緑色。虹彩は褐色、脚色は赤色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛の皮膚は青味のある紅肉色で、頭部だけが黒色が勝ち、からだには著しく長くて縮れた淡黄褐色の初毛が密生する。

嘴は青味のある紅肉色で嘴端は黒色である。

【幼鳥】
頭上は暗褐色で、金属光沢を欠く。

体の上面は成鳥に類似するが、後頭、翕、背、腰の羽縁にだけ金属光沢があり、体の下面は褐色で、赤錆色の縁がある。

【幼鳥】
頭上は暗褐色で、金属光沢を欠く。体の上面は成鳥に類似するが、後頭、翕、背、腰の羽縁にだけ金属光沢があり、体の下面は褐色で、赤錆色の縁がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

生態

生息環境

島嶼のシイ、カシ、タブノキ、ヤブツバキなどの常緑広葉樹林、スギ林にすむ。谷間の密生した樹林を好む。三宅島では二次林に多い。

参考文献

  • 中村登流 1995 カラスバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 89.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

食性

樹上や地上で採食する。シイ、カシ、ホルトノキ、タブノキ、クロガネモチ、アコウ、イボタノキ、モクセイ、ヤブツバキ、クワなどの樹木の堅果・多肉果を食べる。

とくにヤブツバキの果実を好み、丸飲みする。

ほとんどは地上を歩いて拾って食べるが、イボタノキなどの果実が熟すと、房状の果実の上に止まって、首を伸ばしてくわえとる。樹木の芽なども食べる。

参考文献

  • 中村登流 1995 カラスバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 89.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は2~9月ごろまでだが、冬に繁殖の記録もある。飼育下では年中繁殖できる。

密林の樹上の枝の上に小枝を集めて、粗雑な巣をつくる。

樹洞につくることもあり、伊豆諸島で見つかったものはほとんどシイ、タブノキ、モチノキの老樹の樹洞であった。

1巣卵数は1個。抱卵、育雛についての記載はない。

近縁のアカメカラスバトの飼育下の記載によると、抱卵日数は17~19日、雛は21日ぐらいで巣立つ。

参考文献

  • 中村登流 1995 カラスバト, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 89.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

鳴き声

樹上でウッ、ウー、ウッ、ウー、モーウ、モーウまたはグルグルウー、グルグルウーと間を置いて2声づつ啼き、飛翔中に啼くことは稀である。5月から6月頃に最も盛んに啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

特徴的な行動

密林の巨木の梢を塒とし、朝、昼、夕に時刻を定めて採食地に飛来する。

塒とする樹は一定しているのが常である。樹上でも餌を摂るが、地上で餌を漁ることが多い。

地上では両脚を交互にして歩む。翼を緩慢に羽搏いて直線的に飛翔し、飛び方はキジバトより雄大である。

塒に飛来するときには滑翔することもある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 カラスバト, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 664-665.

最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ

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