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ツノメドリ(Fratercula corniculata)の分類 ウミスズメ科(Alcidae)
ツノメドリ(Fratercula corniculata)の概要 ツノメドリ属(Fratercula)

ツノメドリ(Fratercula corniculata)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Fratercula corniculata (J. F. Naumann, 1821)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:46~59 mm
・翼長:179~200 mm
・跗蹠:32~34 mm
・尾長:60.5~70 mm

参考文献

最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

分布

全北区。オホーツク海、北太平洋、ベーリング海、ベーリング海峡などに分布し、分布はエトピリカより北に寄っているが、ほとんど重複する。

これらの沿岸で繁殖し、冬は周辺の海域に広がり、多少南下する。

日本には冬鳥として北海道、本州北部の海域に現れる。日本海側では新潟あたりまで現れる。

北海道東部の大黒島・落石岬の沿岸に夏の記録があり、繁殖しているかもしれない。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ウミスズメ科

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雌雄夏羽】
額、頭上、後頭、後頸は暗灰褐色、眼先、眼の上、眼の後方、耳羽、頬は白色で、眼の後方は灰色である。

眼瞼は赤色で、眼瞼の下部には黒色のレザー様の細管があり、眼瞼の上には黒色のレザー様の長さ 15 mm位の柔らかい細管が後方に出ている。

腮、喉は石盤黒色で、前頸まで幅の広い帯をなして背の方まで引き続いている。下嘴の基部の羽は灰色を帯びている。

肩羽、背、腰、上尾筒は黒色、胸、腹、脇、下尾筒は白色である。

翼と尾は黒色である。嘴色は先端が赤色、中央の部分は赤褐色、基部はレモン黄色、嘴角はオレンジ色である。

虹彩は灰褐色、脚色はオレンジ赤色。

【雄雌冬羽】
頭部は夏羽にある白色部が灰褐色となり、眼の周囲は黒褐色となる。

眼瞼の上、株にある細管様の突起物を欠いている。

眼瞼は褐色、嘴の基半部は夏羽にある角質の覆と飾とを欠き、嘴の基部は褐色で、先端の赤色は夏期ほど鮮やかではない。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

成鳥の冬羽に類似する。嘴は成鳥より幅がなく、全部褐色である。

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生態

生息環境

繁殖期には、岩石海岸、断崖で草が茂る土壌のあるところ、あるいは削れた岩石が堆積する斜面などに営巣し、周辺の海域で採食する。

非繁殖期には大陸棚海域でみられる。ベーリング海峡以北では、個体数がエトピリカよりはるかに多く170倍にもなる(小城, 1989)。

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食性

水面に浮き、水中に潜って魚などを追い回して捕え、水中で呑み込む(Wehel, 1980)。

昼行性の潜水追跡タイプで、翼を半開にしてはばたいて泳ぎ、エトピリカより巧妙にターンする。また、エトピリカより魚食性が強く(小城, 1989)、イカナゴ、ホッケ、スケトウダラ、アイナメなど多様な魚を捕える(Johnsgaed, 1987)。

イカ類、甲殻類も食べる。水中 10 mぐらいのところでとることが多いが、50 m余も潜ることがある(Wehel, 1980)。

繁殖期には、コロニー近くの海域のおよそ 1~2 km以内に採食に出るが、盛んにコロニーとの間を往復する。

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鳴き声

オルルルー、オルル―と鳴く。

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特徴的な行動

繁殖期は5~9月、一夫一妻で繁殖する。

エトピリカのように草つきの土壌に穴を掘ることもあるが、むしろ岩石の割れ目や堆積した岩砕堆積斜面の岩の隙間の中に営巣することが多い。

特に岩砕堆積地の岩の隙間には複雑な地下迷路ができていて、好適な営巣地となる(Wehle, 1980)。

以前の穴を利用するときは、雌雄で中にある古い巣材を捨て、新たに産座をつくる。

産座には蘚類やシダ、枯れ葉などを敷く。1巣卵数は1個。

抱卵は両親が交替で行い、夕方に交替すると思われるが、日中に交替することもあり、1日以上巣を空けることもある。

雛は40~43日ぐらいで孵化するが、完全に孵化するには4日を要する(Wehle, 1980)。

孵化後5~7日ぐらい抱雛する。両親の給餌を38~42日ほど受けて、親の体重の71%ぐらいで巣立っていく。

雛への給餌は1日に2~6回、1回あたり平均5.2匹の魚を持ってくる。

1度に65匹という信じられないような数を持ってきた例がある(Wehle, 1980)。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

その他生態

繁殖期にはコロニーへ集まる。上陸してくる前にはコロニーの近海で大群になって密集する。

アラスカには1万羽余のコロニーがあり、アマガット島では14万羽の大コロニーが知られる。

エトピリカより後で侵入してきて重複分布に至った種と考えられ、共存地では岩の間に巣をつくるが、共存していないところでは土壌に穴を掘っているといわれる(小城, 1989)。

なわばり防衛は巣の入口だけで、エトピリカより狭い(Johnsgard, 1987)。

求愛にはくちばしを打ち合うディスプレイや、嘴を斜め上方に向けて前に振るディスプレイがある。

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最終更新日:2020-07-06 キノボリトカゲ

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