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- カンムリウミスズメ(Synthliboramphus wumizusume)について
カンムリウミスズメ(Synthliboramphus wumizusume)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Synthliboramphus wumizusume (Temminck, 1836)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:16~19 mm
・翼長:120~130 mm
・跗蹠:24~27 mm
・尾長:32~37 mm
・体重:160 g位
・卵:長径 49.2~56.7 mm × 短径 32~36.5 mm 平均長径 53.8 mm × 短径 34.8 mm
参考文献
- 清棲幸保 1954 カンムリウミスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 845-846.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の極東部のごく限られた地域にあたる日本列島のみで繁殖し、ウミスズメ類としては最も南に分布する種である。
冬は日本列島の周辺の海域ですごすが、繁殖は本州中部、九州の沿岸の岩礁や離島である。
伊豆諸島式根島・祇苗島(神津島)・三宅島三本岳・八丈島小池根・鳥島・伊豆半島神子元島、三重県耳穴島、若狭湾沓島・福岡県沖ノ島・桂島、長崎県男女群島ハナグリ島、宮崎県枇榔島(樋口, 1979)、石川県七ツ島大島・荒三子島(樋口・橘, 1986)などが今日残された繁殖地である。
山口県の相島と見島の間でも多数みられ、雛も観察されているので、周辺のどこかで繁殖しているらしい(三宅ほか, 1987)。
日本列島のごく一部に限られた遺存種である。危急種に指定されている。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 生息状況
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1975年に国の天然記念物に指定された。現在では日本近海に1000~1500羽ぐらいしかいないだろうと推定されている。
繁殖地の保護が完全でなく、最近の釣りブームによって巣や卵が破壊されるなど、繫殖が脅かされることによる減少が心配されている。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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チドリ目 ウミスズメ科
参考文献
- 吉井正 2005 カンムリウミスズメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 147.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄夏羽】
額、前頭は黒色で、細長い(40~60 mm位)羽が10~12枚羽冠をなして生えている。頭上、後頭は白色で、所々は黒色である。
頭側は石盤黒色、眼先、眼の後方、耳羽、腮、上嘴、頸側は暗石盤灰色である。
後頸は黒色で、白色の細長い毛の様な羽が多数生えている。
背、肩羽、腰、上尾筒は石盤灰色で、肩羽の内側のものは黒色に近い暗褐色である。
下喉、胸、腹、下尾筒は白色、脇は黒色で、所々は灰色を帯びている。下雨覆は白色、腋羽は白色で、外側のものは多少黒色を帯びている。
初列風切は黒褐色で、内弁は褐色、基部は白色を呈している。
次列風切は黒褐色で、内弁は灰褐色、基部は白色である。
三列風切、大・中雨覆は石盤灰色、小雨覆は黒色に近い暗褐色、初列雨覆、小翼羽は黒褐色である。尾は灰黒色である。
嘴色は灰白色、上嘴線と基部は暗褐色、虹彩は暗褐色、脚色は青味を帯びた灰白色、跗蹠の後端、趾の関節は黒色、趾膜は煤けた黒色。
【冬羽】
前頭の羽は短くて、羽冠をなさない。頭上、後頭は白色でなくて、石盤黒色を呈する。
参考文献
- 清棲幸保 1954 カンムリウミスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 845-846.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化直後の雛は全身に軟らかい幼綿羽が密生し、頭上、後頭、眼先、頬および翼、尾などは灰黒色で、背以下の体の上面は灰白色と暗灰色の霜降り様の斑をなしている。
耳羽の後方には不明瞭な白斑があり、腮、喉から以下の体の下面は純白色で、ときには下喉に灰白色の横帯のあるものもある。
参考文献
- 清棲幸保 1954 カンムリウミスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 845-846.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵は黄褐色、クリーム色、赤味を帯びたクリーム色、青味がかったクリーム色、灰白色などの地に褐色、暗褐色などの斑紋や斑点と灰色または青鼠色の斑点とが散在する。
参考文献
- 清棲幸保 1954 カンムリウミスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 845-846.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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海上では沿岸や離島周辺の海域で見られ、北緯25~41度、東緯125~150度の海域で生活する(樋口, 1979)。
洋上遠くには出ないようで、ウミスズメに比べてあまり移動しない種である。
無人島の巨大な岩礁で繁殖し、汀線よりかなり登った岩場、草地、林床などに営巣する。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 食性
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洋上で浮いて頻繁に海中に潜り、翼を使って水中を泳ぐ。小型の魚類、端脚類などの甲殻類、貝類などを食べる。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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鳥島では2~4月、耳穴島では3~5月、枇榔島では4~5月ごろに繁殖する。
八丈島小池根で8月に繫殖が確認されている(長谷川, 私信)。一夫一妻で繁殖する。
岩の割れ目、崩れた岩の隙間、草の根元、林床の根の間や穴などの地上に、わずかの枯れ葉を敷いて産卵する。
1巣卵数は1~2個で、2個の場合が多い。しかし、沖ノ島では1個の例が多かった(林ほか, 1975)。
抱卵は雌雄交替で行い、日中も巣内に残っているものがあるが、19~20時ごろもどり、翌朝4時頃に去るものが多い。
30~40日ぐらいで孵化する(樋口, 1975)。
雛は半早成性の半離巣性で、孵化後2~3日で巣を離れ、両親の誘導で海上に出る(樋口, 1975、小野, 1992)。
親のコーリングに導かれ断崖をも飛び降りるという(中村, 1992)。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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繁殖期にはツ、ツ、ツ、チ、チ、チ、チと低い声で啼くが、常にはほとんど啼かない。
参考文献
- 清棲幸保 1954 カンムリウミスズメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 845-846.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期にはコロニーへ集まるが、コロニーの規模ははっきりわかっていない。
沖ノ島では1963年には数百から1000個ぐらいの卵があったり(倉成, 1965)、1975年には約400羽ぐらい見られた(林ほか, 1975)といわれる。
耳穴島では1975年に150~200羽と見積もられた(樋口, 1975)。抱卵期には1~2日ぐらいで夜間に雌雄交替をする。
この際、飛来時や巣内で盛んにさえずる(小野, 1992)。なわばり行動や番の形成にかかわる行動についてはわかっていない。
日中は2~3羽ぐらいの小群で洋上ですごす。非繁殖期には群れですごすが、大群になるようなことはない。
参考文献
- 中村登流 1995 カンムリウミスズメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 144.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ