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ケイマフリ(Cepphus carbo)の分類 ウミスズメ科(Alcidae)
ケイマフリ(Cepphus carbo)の概要 ウミバト属(Cepphus)

ケイマフリ(Cepphus carbo)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Cepphus carbo Pallas, 1811

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:39~42 mm
・翼長:181~202 mm
・跗蹠:34~39 mm
・尾長:43.5~57 mm
・卵:長径 60~69 mm × 短径 39~45.3 mm 平均長径 64 mm × 短径 42.8 mm

参考文献

  • 清棲幸保 1954 ケイマフリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 840-841.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分布

旧北区。日本海とオホーツク海に限られて分布する。これらの沿岸で繁殖し、冬は周辺の海域に広がる。

日本では留鳥として北海道、本州北部の沿岸で繁殖する。

繁殖地は、北海道では天売島・大黒島・霧多布岬・落石岬・ユルリ島・モユルリ島・知床半島など、本州北部では青森県弁天島、岩手県姉ヶ崎・三貫島・大刀ヶ根島、宮城県双子島などが知られる。

冬は、11月から翌年の4月にかけて本州中部あたりまでの海域に南下し、日本海側では新潟県、富山県沿岸まで、まれに対馬で記録されている。

太平洋側では駿河湾以北、まれに八丈島、三重県志摩半島、和歌山県沿岸に記録されている。

繁殖地では、現在個体数が激減しており、天売島での減少は劇的で、1949年には7000羽もいたものが1959年には3000羽しかいなくなり、1985年にはたったの249羽、1987年には213羽になってしまった。

大黒島では1951年に168羽であったものが、1986年にはたったの1羽しか見当たらず、現在では絶滅したといわれる(Brazil, 1991)。

北海道全体としてももはや400羽台であろう(綿貫ほか, 1988)といわれ、日本では絶滅が近くなった。

参考文献

  • 中村登流 1995 ケイマフリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 147.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

和名の解説

和名はアイヌ語の赤い足(ケマフレ)に由来。

参考文献

  • 吉井正 2005 ケイマフリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 206.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 ウミスズメ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ケイマフリ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 206.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄雌夏羽】
頭部、頸、背、肩羽、腰、上尾筒は光沢のある石盤黒色で、眼の周囲には白色の輪になった斑がある。

胸、腹、脇、下尾筒は無光沢の石盤黒色である。下雨覆、腋羽は暗褐色である。初列風切は石盤黒色で、内弁は褐色である。

次列風切、三列風切、大・中・小雨覆、初列雨覆、小翼羽は石盤黒色で、翼縁の部分は褐色勝ちである。尾は石盤黒色である。

嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は赤色、爪は黒色。

【雄雌冬羽】
体の下面は白色で、脇の各羽の内弁は灰色である。

夏羽と冬羽の中間の時期には体の下面は白色で、黒褐色の小斑が多数散在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 ケイマフリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 840-841.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に灰黒色の幼綿羽が生え、嘴は黒色で、上嘴端に白色の小斑があり、口内は肉赤色、脚は黒色である。

【幼鳥】
成鳥の夏羽に似るが、眼の周囲の白色斑は不明瞭である。下腹の中央は白色を呈している。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 ケイマフリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 840-841.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は淡緑青色、淡灰白色、黄白色などの地に褐色、または黒褐色の粗斑紋、または粗大な点と灰鼠色の斑点とが散在し、ときにはこの斑紋が鈍端の方に密在するものもある。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 ケイマフリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 840-841.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

生態

生息環境

絶壁の多い海岸線、岬、無人島、岩礁地帯にすむ。非繁殖期には洋上にも出るが、むしろ沿岸の海域をあまり離れない。

参考文献

  • 中村登流 1995 ケイマフリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 147.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

食性

沿岸の岩礁の間や、断崖の囲まれた入江のような比較的波の静かなところで採食することが多い。

水面に浮いて泳ぎ回り、盛んに水中に潜る。

翼を使って泳ぎ、小型の魚、イカなどの頭足類、甲殻類などを追いかけて捕らえる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ケイマフリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 147.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は6~8月、一夫一妻で繁殖する。

海に面した断崖の中間が営巣地で、断崖でもとくに傾斜のきつい、垂直に近いかオーバーハングになるようなところを選ぶ。

ウミガラスのように岩棚は必要なく、岩の割れ目のでっぱりがあればよく、しばしばその上に止まっている。

岩の割れ目、岩の積み重なりの隙間などの、地面や岩の上に直に産卵し巣材などは置かない。1巣卵数は2~3個で、2個の場合が多い。

両親が交替で抱卵し、約30日ぐらいで孵化する。両親が餌を運び、雛を養育する。

抱卵行動や育雛期間、巣立ちなどの詳しいことはまだわかっていない。

参考文献

  • 中村登流 1995 ケイマフリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 147.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

鳴き声

低い声でピー、ピー啼くが、常にはあまり啼かない。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 ケイマフリ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 840-841.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期にはルーズなコロニーをつくる。なわばりについてはわかっていない。

巣の近くにくるものに対して、座ったまま首を伸ばし、くちばしを突き出すポーズをとってコーリングする。

番形成のディスプレイについても記載はない。

夏に、しばしば断崖の下の水面でチリリリリというコーリングをしながら、2羽が向き合って、首を斜めに起こし、くちばしを上方に向けるディスプレイが見られる。

このとき1羽のほうが魚をくわえている(中村, 観察)。非繁殖期には、沿岸で単独か2羽ぐらいで見られることが多い。

沿岸ではあまり社会性がないが、海上では20~30羽の群れで見られ、ときには1000羽にもなる大群が記録されている。

参考文献

  • 中村登流 1995 ケイマフリ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 147.

最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ

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